この記事は Soracom Global, Inc. の Jason Segarra による “How IoT in Trucking is Reshaping the Industry” を翻訳したものです。
世界がますますつながりを深める中、IoT(モノのインターネット)デバイスはほぼすべての業界に進出しています。病院や建設現場、教室に至るまで、スマートデバイスは世界の働き方を再定義しており、その中でも特に顕著なのがトラック輸送業界です。
トラック輸送業界におけるIoTの形態はさまざまです。多くのトラックでは、電子記録装置(Electronic Logging Devices)の導入が法律で義務付けられており、IoTセンサーは最新の資産追跡技術における重要な要素です。これらの典型的な利用例以外にも、IoTソリューションがトラック輸送業界および物流業界を再構築する可能性を秘めたさまざまな応用例が存在します。
それでは、トラック輸送業界におけるIoTがどのように業界全体を再構築する助けとなっているのか、その一部を見ていきましょう。
テレマティクスが車両管理とドライバーの安全性向上を支援
テレマティクスとは、通信技術を利用して車両のパフォーマンスを追跡・分析することを指します。この目的を達成するために、管理者は車両に多種多様なセンサーを装備し、燃料消費量やタイヤの空気圧、走行速度などを追跡します。
このデータにより、輸送・物流会社は車両ネットワークの位置やパフォーマンスを監視するだけでなく、設備や人員を保護することも可能になります。車両の性能に関する重要な情報は、メンテナンススケジュールの計画に役立つだけでなく、万が一の事故の際にはドライバーの無実を証明するための証拠としても活用できます。
また、テレマティクスはロードサービスをより迅速かつ効率的にする助けにもなります。センサーデータを利用することで、レスキューが到着する前に問題を診断し、現場での状況把握を簡略化し、迅速に作業を開始できるようにします。同様に、メンテナンスでもIoTデータを活用することで、技術者が現場に到着する前に必要な修理内容を具体的に把握することが可能になります。
また、トラック輸送業界におけるIoTの恩恵は輸送分野だけにとどまりません。建設業界もテレマティクスを積極的に導入しており、最近の調査では、86%の建設会社が何らかの形でテレマティクスを活用しているとされています。これらの企業は、パフォーマンスデータを利用してドライバーの行動を分析し、最良の実践に基づく「安全文化」を構築することができます。
トラック輸送業界におけるIoTを活用したルート最適化
テレマティクスはトラック輸送会社にデータを提供し、より効率的な配送ルートを設計する手助けをします。2017年には、フランスのデザイン企業Faureciaが、ドライバーの心拍数やその他の生体データをモニタリングする「ウェルネスシート」を発表しました。この情報により、配車担当者は特定のルートがドライバーの状態に与える影響をこれまでにない形で把握できるようになります。
疲労やストレスの原因を学ぶことで、配車担当者はより効率的なルートを設計することが可能になります。例えば、特定の道路がドライバーの心拍数を上昇させていることが分かれば、配車担当者は代替ルートを提案したり、シフトを短縮したり、休憩を増やすなどの対応を取ることができます。
また、このデータは、配送時間に影響を与えるドライバーの問題行動を特定するのにも役立ちます。データから長い休憩やアイドリング時間が判明した場合、会社はドライバーを指導・教育し、これらの行動を改善することで効率を最大化することができます。逆に、配送時間に影響を与える問題のあるドライバーを特定し、緊急性の高い配送案件から外す判断にも活用できます。
IoTが自動運転トラックを支える
多くの業界関係者にとって、自動運転車(AV)はトラック輸送業界におけるIoTの最終目標を象徴する存在です。信頼性の高い自動運転車は、人間のドライバーに伴うリスクや課題の多くを解消すると期待されています。しかし、自動運転車が一般利用可能になるのは最近になってようやく進展を見せ始めた段階です。
現在、世界各地で自動運転の大型トラックの本格導入に向けてテストや評価が行われています。多くの自動運転車はまだ車内に人間のオペレーターが乗車する必要がありますが、これは主に予防的な措置として行われています。テスト中のほとんどの車両は「レベル4自動運転」に達しており、これにより、特定の運行範囲(例:馴染みのあるよく使われるルート)では完全に自動操縦が可能です。
この技術は絶好のタイミングで登場しています。現在、アメリカのような国々ではトラック運転手の不足に直面しているためです。最近の試験結果では、自動運転トラックがより燃料効率が高い可能性が示唆されています。この結果は、自動運転車が一貫したペースで走行できることに起因しています。そして、1日8時間の休息を必要とする運転手が不要な車両によるさらなる効率向上は言うまでもありません。
すでに、WalmartやFedExなどの大手企業が、この輸送業界における大きな変革を受け入れ、IoTを活用した自動運転車に信頼を寄せています。
トラック輸送業界におけるIoTの未来
トラック輸送業界が今後数年間でさらなる成長を遂げる中で、IoTやAIといった技術がその成長に大きく寄与しています。技術系物流スタートアップへの20億ドル以上の投資、IoTベースの資産追跡における年平均成長率(CAGR)11.3%、そしてIoT技術全体の成熟化を考えると、スマート輸送が今後も定着していくことは明らかです。
IoTベースの資産追跡について、2024年から2029年の予測期間では年平均成長率(CAGR)12.8%、2024年の50億米ドルから2029年には92億米ドルに成長すると予想されています。
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翻訳はソリューションアーキテクトのtakuyaが担当しました。原文はこちらです。
― ソラコム takuya @okeee0315