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低トラヒック用途向け新料金体系 「Low Data Volume」の購入方法&使いどころ

5/10に発表された、1ヵ月の基本料金が 0.4 USD (約45円) となるグローバル向け Air SIMの新料金体系「Low Data Volume」

1ヵ月の基本料金が従来の約10分の1になるということもあり大変ご好評をいただいておりますが、5/16よりご注文いただくことができます!※
「グローバル向け Air SIM」としていますが、実は Low Data VolumeのSIMは日本国内でもご利用いただけます!

ここでは「購入の仕方」に加え、通信料やユースケースに応じて、どのSIMを選んだらよいのかをご紹介します

※出荷は5月末から順次行います (5/21時点)

「Low Data Volume」のおさらい

プレスリリースにもありますが、Low Data Volumeの特徴をピックアップしました

  • 1 SIM毎(1回線)から契約可能
    • 初期費用は 5.0 USD/枚 (送料別)
  • 基本料金は 0.4 USD/月
    • 契約単位は月毎
      • e.g.) 6/10にデータ通信を開始しても、6/30にデータ通信を開始しても6月中の基本料として 0.4USDが課金されます。(日割りはありません)
  • データ通信料金は 0.5 USD/MB
    • 利用する国や地域によらず固定 (課金の単位は従来通り。例えば Japan の場合は 100KB単位 → 0.05 USD毎に課金されます)
  • お支払方法はクレジットカードのみ (5/17現在)
  • 決済通貨は USDのみ (5/17現在)
  • SIMの管理および購入は SORACOM Webコンソール / グローバル で行えます
  • 利用可能な国はアメリカ、ヨーロッパ、アジア各国 (詳細はグローバル向け Air SIM / プラン01 Low Data Volumeで確認ください)
    • 日本国内でも利用可能です!
  • 使用可能なデバイスはサポートをご覧ください

「Low Data Volume」対応 SIMの購入の仕方

購入は SORACOM Webコンソール から行うことができます

1. カバレッジタイプ=グローバル へ切り替え

Webコンソール右上の「日本」をクリックした後、「グローバル」をクリックします

(オプション). カバレッジタイプ=グローバルでのお支払方法設定

SORACOMでは、カバレッジタイプごとにお支払方法を設定していただいています
そのため、カバレッジタイプ=グローバル でお支払方法が設定されていない場合は、下記のような注意書きが表示されます。表示に従い、支払方法を設定してください

カバレッジタイプ=グローバルでの支払方法が設定済みの場合は、次にお進みください

2. 発注

Webコンソールのメニューから「発注」をクリック

注意事項を確認の上、「新規注文」をクリック

購入商品一覧から「plan01-low_data_volume」を選びます。ここでは1枚注文しますので 1 SIM pack の数量を 1 としました
10枚や100枚といったまとまった単位をご購入する場合は、10 SIM pack や 100 SIM pack をご選択ください

ちなみに SIMはまとめて購入すると、大変お得です!
1枚ですと 5 USDですが、10 SIM pack(10枚入り) では 1枚あたり 4 USDに、一番最大の500 SIM pack(100枚入り) の時は 1枚あたり 2 USDまで単価が下がります!

商品が決まりましたら「次へ進む」をクリック

SORACOMでは、お支払方法の時同様に、カバレッジタイプごとにお届け先を設定していただいています
そのため、カバレッジタイプ=グローバル でお届け先が設定されていない場合は、下記のように新しいお届け先を入力することになりますので、表示に従い、お届け先を設定してください

カバレッジタイプ=グローバルでのお届け先が設定済みの場合は、次にお進みください

お届け先が決まりましたら「次へ進む」をクリック

ご注文内容の確認画面となります。よろしければ「注文を確定する」をクリック

出荷は5月下旬を予定しています!

「Low Data Volume」の賢い選び方

まず日本向けAir SIMで一番金額の安い深夜時間帯と「Low Data Volume」を比較してみると、一か月あたり※の基本料込みでおおよそ 4,600KiB 以内 は「Low Data Volume」のほうが安いということがわかります

※一か月あたり = 30日 で換算

※1USD = 111.26円 で換算

一か月あたり 4,600KiBのデータ送受信 でできること

一日当たりに換算すると 153.3KiBになります。一時間当たりでは 6.3KiBです
後述しますが、UDPで 1バイトのデータを送るとDNSの名前解決、UDPヘッダ含めて 377バイト/回となるので、その場合は 約3.5分に一回送信できます
この中でできることを検討していくという形です

パケット調査の方法

Raspberry Pi 3のRasbian上にpmacctをインストールしてppp0のトラフィック量を計測しました
(pmacctの使い方は別途ブログ書きます!)

DNSとNTPの通信量

通信量を検討するにあたり、まず最初に注意することがあります
それは、システムを維持するための最低限のサービス DNS と NTP の通信量です

DNS

DNSは /etc/resolv.conf にリストされているサーバに照会します。通常はリストされている中の1サーバのみですが、dig等を使うと複数のサーバに照会することがあります

1サーバの名前解決で 上り 71バイト、下り 152バイト~回答内容に応じてのサイズ が発生します

名前解決については必須です。通信毎に発生することを忘れないようにしましょう
nscd や UnBound を使って照会結果をキャッシュし、問い合わせ回数を減らす方法が考えられます。その場合はキャッシュ期間の調整を検討してください

NTP

NTPは /etc/ntp.confserver 毎に照会と応答をします

NTPを動かしていると 上り=76バイト、下り=76~152バイト が発生します
poll interval の間隔で上記通信が発生します
また、先に照会したDNSのパケットも発生するので、その分をお忘れなく

pmacctを動かしているとわかりますが、思った以上に通信が発生します。Rasbianの標準状態ですと、10秒~20秒に一回発生します
そのため /etc/ntp.conf のpoll intervalを調整することが必須となるでしょう。また server の数も減らしたほうが良いです

時刻同期については、NTPの照会回数を調整する方法のほか、セルラー通信モデムから得られる時刻を使うといったことが考えられます。また、そもそもクロックをデバイスに持たせずに、上位で解決するといった考えも良いでしょう

SORACOM Beamを使って1バイトを送る例

socat を使って 1バイトを送信してみます

UDPの場合
$ echo "a" | socat stdin udp:beam.soracom.io:23080
$ sudo pmacctd -P print -r 10 -i ppp0 -c src_host,dst_host,dst_port
SRC_IP                                         DST_IP                                         DST_PORT  PACKETS               BYTES
RaspberyPi                                     SORACOM_DNS_Server                             53        2                     122
SORACOM_DNS_Server                             RaspberyPi                                     49154     2                     225
RaspberyPi                                     BEAM.SORACOM.IO                                23080     1                     30
  • 上り = 152バイト (内、DNS=122)
  • 下り = 225バイト (内、DNS=225)
TCPの場合
$ echo "a" | socat stdin tcp:beam.soracom.io:23080
$ sudo pmacctd -P print -r 10 -i ppp0 -c src_host,dst_host,dst_port
SRC_IP                                         DST_IP                                         DST_PORT  PACKETS               BYTES
RaspberyPi                                     SORACOM_DNS_Server                             53        2                     122
SORACOM_DNS_Server                             RaspberyPi                                     50941     2                     225
RaspberyPi                                     BEAM.SORACOM.IO                                23080     5                     270
BEAM.SORACOM.IO                                RaspberyPi                                     49348     3                     164
  • 上り = 392バイト (内、DNS=122)
  • 下り = 389バイト (内、DNS=225)

LoRaWANとの比較

少ないデータの送信と言いますと、すでにリリースされている SORACOM Air for LoRaWAN があります
こちらのとの比較もしてみましょう

まずLoRaWANは 約4.4秒に1回、11バイトを送信でき※これを一か月あたりに換算すると、6,328KiBとなります

11バイトというのは純粋にユーザのデータで使うことができます。条件を「UDPにて 11バイトを送信」とすると、DNSの名前解決、UDPパケットヘッダ等含めて 1回あたり 387バイトとなります
一か月あたりの通信量を 4,600KiBに収める場合、約3.6分(216秒)に1回、387バイトを送信できることになるので、量や頻度ではLoRaWANの方が有利です

ただし、1回あたりのデータサイズが 11バイトで収まらない場合は、アプリケーション側で組み立てる必要が出てくるため、データサイズによっては「LoW Data Volume」のほうが使い勝手が良い場合もあります
そして、現在のLoRaWANの下り通信は、上り通信の返りに乗せる形態(Class A)が主流であるため、即応性をもとめる場合にもセルラー通信である「Low Data Volume」が有利でしょう

LoRaWANの通信モジュールはセルラー通信モジュールに比べて圧倒的に消費電力が低いため、電源制約においてはLoRaWANの方が有利になるでしょう
また、LoRaWANは自前で基地局となるLoRaWANゲートウェイを設置することができるため、セルラー通信の及ばない山間部等におけるネットワーク構成で有利となります

※LoRaWANを日本国内で運用するにあたっては、ARIBの規定上 SF=10の時は4.4秒よりも短い間隔でデータ送信が行えない等といった制約があります

LoRaWANとの比較のまとめ

  • 数バイトのデータ送信をおこなうユースケースであれば、LoRaWANでも「Low Data Volume」でも同じ
  • 「Low Data Volume」が有利になる場合
    • (頻度は少ないが)一回当たりの通信量が12バイトを超える場合
    • 下り通信における即応性が必要となる場合
  • LoRaWANが有利になる場合
    • 省電力デバイスを必要とする場合 (セルラー通信モデムは消費電力がまだ高いため)
    • セルラー通信の範囲が及ばない山間部等での通信を必要とする場合 (自前でゲートウェイ(基地局)を設置できるため)

よくある質問

  • Q: SORACOM Web コンソールの「発注」に plan01-low_data_volume が表示されない!?
    • A: カバレッジタイプ=日本では販売しておりません。購入のしかたに沿って、カバレッジタイプ=グローバルに切り替えた後、発注してください。ご注文お待ちしています!
  • Q: すでにグローバル向け Air SIM(プラン01)を持っているが、このSIMを「Low Data Volume」に変更できないか?
    • A: 大変申し訳ありません、「Low Data Volume」は専用のSIMとなってるため変更できません。新たに「Low Data Volume」対応のグローバル向け Air SIMをご購入いただくことになります

ソラコム 松下