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3Gのサービス終了に向けたIoTデバイスの準備方法

この記事は Soracom Global, Inc. の Jason Segarra による “The 2G/3G Sunset: How To Prepare IoT Devices For The 3G Shutdown” を翻訳したものです。

スマートIoTデバイスを導入したり、接続性を管理したりした経験がある場合、3Gのサービス終了が進行中であることをご存じでしょう。日本や米国などの多くの国では、2Gおよび3G技術はほぼ完全にその地位を失いつつありますが、一部の地域ではこれらのレガシーな接続方式を更新するペースも遅れています。

長年利用されてきたこれらの接続ネットワークの終了は、より現代的な接続ソリューションにまだアップグレードしていないIoT導入に問題を引き起こす可能性があります。そのため、2Gおよび3G技術からの大規模な移行が長引いていることは、まだ準備が整っていない企業にとってある意味では恩恵となっています。しかしながら、サービス終了は確実に進行しており、より現代的なインフラへのアップグレードは避けられないものです。

IoTインフラを完全に新しい接続技術へアップグレードすることは、新しいプロバイダーを選ぶだけで済む簡単な作業ではありませんが、導入を更新するための取り組みは、一見すると災い転じて福となる場合もあります。

このブログでは、3Gサービス終了への準備を最大限に活用する方法を探り、IoT導入をアップグレードする際に自問すべき重要な質問を提案します。

3Gサンセット(3G停波)とは何か?

3Gサンセットとは、従来の接続技術を段階的に廃止し、それらを支えていたインフラを4G LTEやCat-M1といった新しく高速な接続ソリューションとして活用するプロセスのことです。このプロセスは「リフレーミング」と呼ばれます。

リフレーミングのプロセスが複雑であるため、3Gサンセットは数か月から数年にわたって徐々に展開されます。そのため、世界中の通信事業者がそれぞれ独自の移行日程を設定しています。このため、3Gサンセットは2019年頃に始まりましたが、現在のところ世界共通の終了日は決まっていません。

このプロセスは進行中ではあるものの、技術の成熟とニーズの進化に伴い、より高速な接続ソリューションへの移行は避けられない流れです。

「3G技術の廃止は、モバイル通信技術の進化における重要な節目です」と、Soracom Global, Inc. のグローバルキャリアリレーションズ部門責任者である大槻 健 氏は述べています。「IoTデバイスの運用に一時的な課題を生じさせる可能性はありますが、最終的にはより高度で効果的な接続オプションを活用する道を開く機会となるでしょう。」

3Gネットワーク終了後に何が起こるのか?

2G/3Gインフラが徐々に停止されたり、マイグレーションされる中、それらの接続はしばらくの間は動作する可能性がありますが、速度や信号強度は低下するでしょう。しかし、これらのネットワークが完全に終了すると、それに依存していたIoTデバイスは使用不能になる可能性があります。

ただし、すべての導入例が同じ影響を受けるわけではありません。特に過去数年間に購入された一部のデバイスは、4G接続での動作が可能な場合があります。こうしたデバイスは、4Gカバレッジがある地域であれば引き続き使用可能ですが、その地域に限定されることになります。

これは、多くの導入における最大の課題の1つを示しています。それは、運用地域に適した代替技術を特定することです。遠隔地や農村地域では接続オプションが限られている場合が多く、IoT導入を支えるための好ましい選択肢が絞られる、または全くなくなる可能性があります。

このシナリオは、他の接続技術で動作可能なデバイスを使用している場合を前提としています。古いデバイスを使用している企業は、利用可能なネットワークが全くなくなる可能性があり、プロジェクトマネージャーは、より現代的な接続プロトコルをサポートできない旧式のデバイスを完全に新しいハードウェアに置き換えざるを得なくなるかもしれません。

3Gサンセットへの準備方法

IoTを運用している場合、理想的にはすでにポスト3G時代の接続ニーズに向けた準備を開始している、または計画を立てているべきです。もし計画が遅れている場合でも、以下のステップを参考にして準備を進めてください。

  1. 機器資産の確認
    • 接続デバイスの一覧を確認し、他の接続ソリューションとの互換性を評価しましょう。デバイスの一部または全てを交換する必要があるか、またそれが展開の効率にどのように影響するかを把握する必要があります。
  2. 接続オプションの評価
    • 運用地域を考慮し、その地域で利用可能な他の接続オプションを確認しましょう。新しい接続技術が通信料金や速度にどのように影響を与えるかも検討する必要があります。新しいスマートデバイスを購入しても、そのデバイスが対応する接続が運用地域でサポートされていなければ意味がありません。
  3. サービスプロバイダーに相談
    • 信頼できる接続パートナーは、状況の評価、ユースケースに最適なカバレッジの選択、さらには新しいデバイスの検索を支援してくれる可能性があります。
  4. デバイスのアップグレード/交換の計画
    • デバイス、またはIoT SIMだけでも交換する必要がある場合、何らかのダウンタイムが発生します。この影響を最小限に抑えるよう、アップグレードプロセスを計画的に進めましょう。
  5. 導入前のテスト
    • 可能であれば、新しいソリューションを全面的に導入する前に十分なテストを行いましょう。計画上ではうまくいくと思われるものが、実際にはそうでない場合もあります。そのため、IoTデバイスの一部をサンプルとしてアップグレードするのが理想的です。

接続性だけでなくシステム全体をアップグレードするチャンス

3Gサンセットへの対応としてIoTインフラをアップグレードすることは、多くの組織にとって気乗りしない出費かもしれません。しかし、このプロセスには明るい側面もあります。システムをアップグレードすることで、導入全体のパフォーマンスを向上させる新しいソリューションに投資する機会を得られるのです。

例えば、この機会を活用して、サプライチェーンや現場運用に施設モニタリング機器追跡ソリューションを追加することを検討するのも一つの方法です。SORACOMのパートナーであるThinxtraが設計したスマートユーティリティモニターのようなデバイスを活用すれば、工業運用における無駄な部分を特定し、それらを解消することで施設の効率を最大化することができます。

また、SORACOM Arcのようなハイブリッドネットワークソリューションに投資することで、ネットワークの問題に対する安全策を講じることができます。これにより、WiFiやSigFox、衛星通信など、ほぼすべての接続技術を活用することが可能になります。複数の異なるプロトコルを同時に利用することもでき、そのすべてをSORACOMユーザーコンソールで一元管理することができます。

「3Gネットワークの終了は、特にこうした厳しい状況下において、企業が業務をアップグレードし、強化するチャンスです」と、IoTソリューションデザイナーThinxtraのCOOであるサム・シャリーフ氏は述べています。「アップグレードは避けられないものであるため、この機会を活かし、コストを削減し、企業を将来に備えたものにすることが賢明です。事前にしっかりと計画を立て、適切なパートナーと連携して、そのメリットを最大化し、サービスの継続性を確保しましょう。」SORACOMに質問がありますか?既存のお客様、製品やサービスについてもっと知りたい方、またはパートナープログラムに興味のある方、どなたでもお気軽にお問い合わせください

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翻訳はソリューションアーキテクトのtakuyaが担当しました。原文はこちらです。

― ソラコム takuya @okeee0315