桜の開花予想よりも、SORACOM の料金予想の方が得意な松下(max)です。
SORACOM は 2018年3月時点で 9000 を超える多くのお客様にご利用いただいております。また、現在ご検討いただいている方からのお声も日々増えており、大変感謝しております!
その中でも良くいただくご質問が「 SORACOM を利用する際の料金」についてです。
SORACOM は「使ったら使っただけ」の従量課金
少し解説しますと、 SORACOM はクラウドサービスと同様に、通信やサービスの利用に応じてご請求させていただく従量課金の仕組みとなっています。
従量課金の仕組みはスモールスタートをするためにはとても最適な方法なのですが、一方で社内で利用する際に必要となるのが「お見積り」です。
SORACOM では 料金見積もりツール、見積書作成(日本向け Air SIM) といった Web ページをご用意しており、皆様自身で色々なシミュレーションを基に料金を算出する仕組みをご利用いただくことができます。
また、このページで確認したシミュレーションの結果を「見積書 PDF 」として取得することができるため、皆様の社内での申請にご利用いただくことが可能です!
料金見積ツールを使ってみましょう
下記のような条件で 30 日運用した場合の費用を見積もりしてみましょう。
- 1 デバイス(SIM) あたり、 1 回あたり 250 バイトを送信 (データ+プロトコルヘッダの合計値)
- 送信に対するサーバ側のレスポンスで 100 バイトが発生
- デバイス(SIM) の総数は 3 台で、データは昼夜関係なく 3 分に 1 回に送信 ( 1 日あたり 480 回の送信)
- データ送信には SORACOM Funnel を使用
- SIM の購入費用(契約手数料)は別とする
見積もりに必要な情報を算出
料金見積ツールでは、以下の情報が最低限必要となります。
- 1 SIM あたり 1 日の 日中 における 上り通信量 (上り = デバイス → クラウド)
- 〃 日中 における 下り通信量 (下り = クラウド → デバイス)
※正確な料金見積を行う場合は、夜間における通信量も準備する必要があります。夜間の定義は日本時間における午前 2:00 – 午前 6:00 となっていますが、夜間に通信するかわからない場合は全ての通信を日中側に計上しておくことで目安の料金を得ることができます。本ブログでも目安を得る方法として全て日中の通信で計算しました
通信量の計算方法
今回の例では 1 SIM あたり 1 日の 日中 における通信量は以下の通りです。
- 上り通信量 = 120,000 バイト/日/SIM = 250 バイト × 480 回/日
- 下り通信量 = 48,000 バイト/日/SIM = 100 バイト × 480 回/日
料金見積ツールでは「全ての SIM を合算した 1 日あたりのデータ通信量」が必要です。また KB が必要ですので 1024 で割ります。
- 総 上り通信量 = 約 351 KB /日 = 120,000 バイト/日/SIM × 3 SIM / 1024
- 総 下り通信量 = 約 140 KB /日 = 48,000 バイト/日/SIM × 3 SIM / 1024
SORACOM Funnel のリクエスト数の計算方法
SORACOM Funnel を利用した際のリクエストは、日数や SIM 数に関係なく総リクエスト数を算出する必要があります。
今回の例では送信データのすべてを SORACOM Funnel 経由にすることにしましたので、リクエスト数は下記の通りです。
- 総 リクエスト数 = 43,200 回/30日間 = 480 回/日/SIM × 3 SIM × 30 日
入力の手順
必要な情報が揃ったら見積もりをしてみましょう!
料金見積もりツール、見積書作成(日本向け Air SIM) にアクセスしてください。
表示された「データ通信」フォームに入力していきます。
- SIM 枚数は 3 (枚)
- 利用日数は 30 (日)
- 速度クラスは s1.slow としました
- 1 SIM あたりの日中における上り通信量は 351 KB
- 〃 日中における下り通信量 140 KB
ここまで入力したら「アプリケーション連携」をクリックします。
表示された「アプリケーション連携」フォームに入力していきます。
- SORACOM Funnel のリクエスト数は 43200
ここまで入力したら「データ通信」をクリックします。
表示された「データ通信」フォームの一番下を見ていただくと、見積総額が表示されています。
ここから条件を変更していくことができますので、いろいろなシミュレーションが可能です。
皆様の会社では「見積書」のフォーマットが必要になる場合があるかと思います。この画面から「見積書の作成」をクリックしてみましょう。すると、見積書に記載する必要事項を入力するフォームが出現します。
※注意: 見積書 PDF ファイルは 入力いただいたメールアドレスにダウンロードリンクが送付されます。そのためメールアドレスはお間違いなく入力ください
「見積書を作成」すると、下記のようなメールがお手元に届きます。メール内の URL から PDF をダウンロードしてください。
先ほど作成した見積もりの内容で PDF がダウンロードできます。
初期費用 (SIM の費用) だけの見積もりが欲しい場合
ご紹介している “料金見積もりツール” ですが、実は 初期費用 (SIM の購入費用) のお見積りツール としてもご利用いただくことができます。
「SIM カードの初期費用を含める」にチェックを入れ、そして「利用日数」を 0 日にすることで、 SIM カードのみのお見積書としてご利用いただくことができます。
より精度の高い利用料の見積もりをするために
より精度の高い利用料の見積もりには、測定が欠かせません。
Linux ベースの OS であれば pmacct を利用することで、特定のネットワークインターフェイスの通信量を計測することができます。使用方法は トラヒック計測ツール pmacct を使ってみる / Qiita をご覧ください。
想定外の通信量を防ぐには
検証の段階から想定通りの通信になるとは限りません。時には予想を超えた通信量になる可能性もあり得ます。
そこで SORACOM を使い始めたらご活用いただきたいのが イベントハンドラー です。
例えば「 2 GB を超えたら 32 Kbps へ強制切り替え」のような、本来だったら通信事業者しかできないようなプランを、みなさま自身で作り上げることができます。
この機能を活用いただくことで、社内決裁がされた費用の中に抑えることが可能となりますので、ぜひご活用ください。
夜間の通信を見積もる
また、定期的な通信が発生するデバイスからの夜間の通信量を見積もりたい場合は、総通信回数に対して割合を計算します。
今回の 3 分に 1 回の送信 = 480 回/日 の場合であれば下記の通りです。
- 日中の回数 = 480 回 × ( 20 時間 / 24 時間 ) = 400 回/日中
- 夜間の回数 = 480 回 × ( 4 時間 / 24 時間 ) = 80 回/夜間
これは、夜間の定義が「日本時間における午前 2:00 – 午前 6:00」= 4 時間分 という事から算出できる方法です。
おわりに
今回ご紹介した 料金見積もりツール、見積書作成(日本向け Air SIM) そして イベントハンドラー の活用で、みなさまの社内における IoT プロジェクトが円滑に進むことをサポートいたします。
また、見積もり機能で不足している部分がございましたらお気軽にご相談ください!
ソラコム “MAX” 松下