こんにちは。SIM を作り続けて気づいたら早15年、ソラコムビジネス開発の大槻です。
本日はSORACOM Discoveryにおける新サービス発表に合わせまして、日本をはじめ世界中で幅広くご利用頂いているSORACOM IoT SIMについて、2つの大きなアップデートをお知らせしたいと思います。
- IoT SIMのカバレッジ拡大
- IoT SIMにおけるサブスクリプションコンテナ機能のご提開始
カバレッジの拡大
SORACOM IoT SIM (plan-01s)は日本を含む世界中でご利用頂けるIoT向けSIM/eSIM製品です。従来plan-Dやplan-Kなど国内向けSIMでご提供していたソラコムの各種プラットフォームサービスに加え、より柔軟な回線管理機能、SMSやUSSD、Local Information、Kryptonなど独自の様々な機能をご利用頂ける製品です。従来130か国でのご提供になっておりましたが、今回145か国、285キャリアまでに対地を大幅拡大しました。従来から日米欧の主要マーケット以外にも多くの国・地域へのご要望を頂いており、今回のアップデートでさらにみなさまのIoT製品・サービスのグローバル展開に貢献できればと考えています。最新のカバレッジリストについては以下をご覧下さい。
サブスクリプションコンテナ機能のご提供開始
そんな世界中でご利用頂いているIoT SIMですが、国・地域によってはデータ通信料金が高かったり、希望する通信キャリアの契約がなかったりと、必ずしもお客様のご期待値に添えていないケースがありました。特に日本やアジアについては、plan-Dやplan-Kなどの国内専用SIMと比べるとデータ通信単価が高めになっており、日本での大容量通信利用やアジア各国への大規模展開が難しい課題がありました。
そんな課題を解決するために、今回新たにサブスクリプションコンテナという新機能と各地域に特化した新サブスクリプションのご提供を開始します。
サブスクリプションコンテナとは
コンテナと聞くと、エンジニア特にクラウド界隈の方であれば、Dockerをイメージされると思いますし、一般的には船舶や貨物等に詰む物理的なものをイメージされるかもしれません。いずれにしてもイメージされるのは何かしらの「入れ物」ですね。サブスクリプションはIMSI(加入者識別情報)やMSISDN(電話番号)等をまとめた通信回線契約の総称です。
SORACOM IoT SIMの中には予め専用のSIMアプレットが実装されており、アプレット内部のサブスクリプションコンテナエンジンにより複数のサブスクリプションを追加、管理、切り替え出来るようになっています。簡単ですが絵に書いてみるとこんなイメージです。1枚のSIMの中に複数のサブスクリプションがそれぞのコンテナに格納される形ですね。
これまでのIoT SIM利用時
サブスクリプションコンテナ機能利用時
今回発表するサブスクリプションコンテナでは、上記コンテナ的な概念を利用することで従来1枚のSIMの中では1つのサブスクリプション(IoT SIMの場合はplan01s)しか扱えなかった課題を解決し、1枚のSIMで複数のサブスクリプションをご利用頂けるようになりました。本機能に対応した新planとして以下2つのplanを本日発表しました。
- planX1: 日本においてKDDI LTE回線に接続可能なplan。従来のplan01s (NTT ドコモ網$0.2/MB)に対し、$0.02/MBでご利用頂可能
- planP1: 日本においてSoftBank 3G/LTE回線、及びアジア、パシフィックの20か国で利用可能なAPAC特化plan。従来のplan01sで高止まりしていたAPACの各地域を$0.02/MB~からご利用可能。2G/3G/4G(LTE)までの全ての通信規格に対応
対象国、対応キャリア詳細情報についてはこちらをご覧ください
- オレンジ:planX1/P1両対応国
- グリーン:planP1対応国
また、サブスクリプションコンテナにおけるもう1つのユニークな機能として、デバイスの在圏している国を判定して、自動的に格納されている複数のサブスクリプションの中から各国に最適なplanを選択する機能があります。本機能によりお客様は当該国で常に最安のplanをご利用頂くことが可能になります。
サブスクリプションの追加操作
概念は分かったけど、では実際にどう使うのか、以下手順を追ってみていきましょう。
先ほどお伝えした通り、SORACOM IoT SIMには既にサブスクリプションコンテナ機能が実装されているので、ご利用にあたりSIM交換や新たにご購入頂く必要はありませんが、イメージ図の通り、ご希望のplanをSIMの中へ追加いただく必要があります。追加方法はユーザコンソールあるいはAPI経由で可能となっており、今回はユーザコンソールで実施してみたいと思います。テスト端末は弊社で販売している、NTTドコモ、KDDI両ネットワークに対応のLTE USB dongle: GH-UDG-MCLTEC-WHを準備しました(*1)。
- ユーザコンソールにログインし、グローバルカバレッジへ遷移
- 対象回線を選択し、「操作」→「サブスクリプションを追加」に進みます
- こちらの画面で追加するサブスクリプション種別を選択します。今回はplanX1を選択し、「追加」を押します。するとSORACOM OTAサーバーから指定したサブスクリプションの配信が即座に開始されます。
- その後OTA serverから指定したサブスクリプションが配信・完了するとコンソール上のステータスが「Shipped(OTA配信開始)」から「Ready(配信完了)」に遷移し、デバイスからのネットワーク接続を待ちます (*2)
- 実際にネットワークへの接続が完了すると従来のSIM同様にステータスが「Active」に遷移します (*3 )
実際に追加ボタンを押した後、コンソールを見ると対象回線(SIM ID)に紐づくIMSIが1つ→2つに変わりplanX1のスタータスがShippedになりました。その後数十秒待つとplanX1のステータスがReadyになりました。これでOTA配信が無事に終わりました。その後暫く待つとOnline表示になりセッション履歴を見ると、NTTドコモ→KDDIへ変わっています。plan01sにてNTTドコモへ接続していた後、planの切り替えが行われ、planX1にてKDDIに接続されたことがわかります。以上でサブスクリプションの配信→plan切替→ネットワーク接続が全て完了するのを確認することができました。
なお、サブスクリプションコンテナご利用にあたっては、plan01sの基本料金に加え、以下の料金が発生します。
- サブスクリプション追加費用:$3.0 / 1追加サブスクリプションあたり
- サブスクリプション利用料金:$1.8 / 月
サブスクリプションコンテナの詳細はSORACOM Air for セルラー サブスクリプション コンテナをあわせてご確認ください。
まとめ
今回のアップデート:IoT SIMのラインナップを拡充しました!
- IoT SIM (plan01s)の対象国が145か国まで拡大
- サブスクリプションコンテナにより1枚のSIMで複数planのご利用とデータ通信料金の最適化が可能に
今回のサービスの概要を紹介したプレゼン動画を用意しています。こちらも合わせてご覧ください。
実際に使ってみたい方はこちらをご参照ください。
サブスクリプションコンテナに対応した事で、より各国・地域に特化した料金やローカライズ、新たな通信規格への対応が柔軟にご提供できるようになりました。今回は日本、APAC諸国向けをまずは発表させていただきましたが、今後も各国の通信キャリアさんと連携して、各対地への最適サブスクリプションのご準備を進めていきたいと思います!
ソラコム 大槻
- (*1): 本機能ご利用にあたり、デバイスはOTA、及びSTK(SIM Tool Kit)に対応している事、利用planで提供しているキャリアの周波数、及び各国無線認証に対応している必要があります。詳細についてはこちらをご参照ください
- (*2): 配信完了までの時間はネットワーク環境、ご利用デバイスのパフォーマンスに依存します
- (*3): サブスクリプション追加後、新planを利用した別ネットワークへの接続時間についてはご利用デバイスのパフォーマンスや実装に依存します。”Ready”になったにも関わらずネットワークへ接続できない場合は、デバイス側の再起動や対応キャリアの手動選択をお試しください。