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AI カメラ「S+ Camera Basic」で 「動画プレビュー」機能を提供開始しました

こんにちは、Customer Reliability Engineer (CRE) の加納です。

電源をつなぐだけで通信するエッジAIカメラ「S+ Camera Basic(サープラスカメラベーシック)」に「動画プレビュー」機能が追加されましたのでお知らせします。

S+ Camera Basic はカメラが撮影した静止画の中から必要なデータだけを抜き出してクラウドへ送信するシナリオをメインにサポートしていました。これはまさに、電源をつなぐだけで通信するエッジ AI カメラならではのユースケースとなります。お客様からもプライバシー情報を無駄に取得しない点と、データ通信量を不必要に発生させないという点で安心して運用いただくことができると好評をいただいておりました。

「動画プレビュー機能」は主にカメラを設置した環境においてアルゴリズムの判定精度をあげるために現場の情報を正しく把握する目的でご利用いただくことができます。以下、はじめてS+ Camera Basic についてご覧いただく方にもご理解いただきやすいよう、前提から詳しく解説させていただきます。

S+ Camera Basic とは

S+ Camera Basic はソラコムが開発、販売するネットワークカメラデバイスです。

SORACOM Air のセルラー通信を搭載しており、電源をつなぐだけで通信できます。また、カメラのマウントとして GoPro® マウントを利用できるため、様々な場所に簡単に設置できます。

さらに、画像を撮影するだけではなく、デバイスにお客様が作成したアルゴリズムを遠隔からデプロイして動作させることができます。エッジ側で処理をすることにより、例えば以下のようなことが実現できます。

  • 画像加工によるプライバシー保護
  • 画像 -> 数値変換による通信量削減
  • クラウド側のワークロード削減
「アルゴリズム」について

ソラコムでは S+ Camera Basic やエッジプロセッシングサービス「SORACOM Mosaic」にインストールすることができるアプリケーションを「アルゴリズム」と称しており、本記事でもこれに従って記載しています。

「動画プレビュー」機能登場の背景

S+ Camera Basic はお客様自身が開発されたアルゴリズムの実行はもちろんのこと、機械学習による効果をいち早く体験・検証いただくことができる「サンプルアルゴリズム」も充実しています。

しかしながら、同じアルゴリズムを使用した場合でも機械学習の判定結果はカメラの設置環境に大きく依存します。例えば、設置環境によっては以下のようなことが起こり得ます。

  • 逆光など、日光の当たり方により物体検出が困難になってしまった。
  • 下を見ながら通行する人が多く、カメラで顔を捉えられず顔検出精度が下がってしまった。
  • カメラの設置後、店舗のレイアウト変更に伴い来店客の動線が変わってしまい、アルゴリズムのカウント人数が大幅に減ってしまった。

そのため、アルゴリズムの最終的な精度検証は設置した環境で実施し、検証結果に応じてカメラ設置位置や向きの調整、アルゴリズムの改善をする必要があるのですが、静止画での精度検証が困難な場合は現地に赴く必要がありました。また、現地に行った場合でもカメラの画角と人の視野は異なるため正確な検証は困難でした。

上記のような背景があり、「アルゴリズムの精度検証や、アルゴリズムの判定結果が異常値を示した際の状況確認をより正確に実施できるように」というご要望を受けて、この度「動画プレビュー」機能がリリースされました。

「動画プレビュー」機能の概要

当機能は SORACOM Mosaic コンソール「デバイス詳細画面」の VIDEO タブから操作します。

再生ボタンを押すと動画の閲覧ができます。また、映像を録画して S+ Camera Basic 内に保存することも可能です。録画操作をする時点から最大 10 分遡ってデータを保存できるため、取り逃しを防止できます。

手順及び動画機能の制限などの詳細はユーザードキュメント を参照ください。

動画閲覧時のデータ通信量

動画閲覧時のデータ通信量は当社実績で解像度 1280×640 で 1 時間あたり約 1.4GB です。イベントハンドラー を利用して通信量を制限するなどの対策を検討してください。通信量に応じた金額の算出は料金見積もりツールをご利用ください。

「動画プレビュー」機能の応用

「動画プレビュー」機能は、S+ Camera Basic 内のアルゴリズムと連携もできます。例えば、人物検出のアルゴリズムと組み合わせて、人が写ったタイミングで映像を録画しお客様のサーバなどへ転送する処理を実装することで、小売店舗で来店客が商品選択をしている時の映像のみを収集するというようなことが実現できます。

当社でも上記のような動画に対応したサンプルアルゴリズムの実装も検討中です。今後の展開にも是非ご期待ください!

― ソラコム加納 (kanu)