こんにちは!ソラコム ソリューションアーキテクトの渡邊(ニックネーム: dai)です。
先日開催されたSORACOM Discovery 2024で、新サービス「eSIM Profile Order」が発表されました。本ブログでは、この新サービスの内容や具体的な使い方についてご紹介します。
eSIM Profile Orderは、グローバルにコネクテッド・カーやIoT機器を展開している企業様に適したサービスです。各国でお客様が製品を使い始める際、製造時にソラコム以外のSIMが組み込まれていても、SORACOMのプロファイルを後からインストールできます。
これにより「各国・地域での最適なキャリア選択の支援」といったSORACOM IoT SIMのメリットの1つが、ソラコム以外のSIMでもご利用いただけるようになります。
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eSIM Profile Order の全体像
eSIM Profile Orderは、eSIM対応のIoT機器(特にコネクテッド・カーなど)やスマートフォンに対して、ソラコムのプロファイルをOTA(Over The Air)で書き込むための情報を提供します。お客様はこのプロファイル情報を取得し、QRコードを作成、そのQRコードをLPA(Local Profile Assistant)で読み取ることで、簡単にソラコムのプロファイルを有効化できます。
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こちらの「1. QRコード読み取り」の部分に必要な情報(=Profile)を注文(= Order)する機能であるため、「eSIM Profile Order」と名付けられています。図に示された「2. リクエスト」や「3. iPhone上のeSIMにインストール」では、お客様自身での通信回線やWi-Fiなどのインターネット接続が別途必要となりますので、あらかじめご注意ください。
ソラコムが提供しているSIMにはいくつかの種類がありますが、以下のように分類することができます。
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ソラコムが提供しているSIMの例 (plan01s)
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SIMの形状には、左側のカード型のIoT SIM plan01s (SG002) や 右側のチップ型のIoT SIM plan01s (SGECL01) があります。チップ型のSIMは Embedded なSIMとしてeSIMと呼ばれていますが、ここで言う「eSIM Profile Order」のeSIM は、書き換えができることを表す eUICC 対応のSIMとしての略称です。
eSIMプロファイルの購入
購入はユーザーコンソールの発注画面から行えます。詳細な手順についてはユーザーサイトをご覧ください。購入前に、このブログを最後までお読みいただくことを強くおすすめします。
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デバイスへのインストール
eSIMプロファイルをご購入いただくと、IMSIやICCIDと共にQRコードが発行されます。カメラ付きの eSIM対応のiPhone / Android などのデバイスであれば、QRコードを読み込むことで以下のように簡単にeSIMをインストールできます。
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インストール後は、ユーザーコンソールのSIM管理画面で通常のIoT SIMと同様に管理することができます。
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デバイスには、eSIMプロファイルをサーバーからダウンロードしてインストールする機能が必要です。これを「GSMA SGP.22に準拠したローカルプロファイルアシスタント (LPA) と互換性のあるデバイス」と表現します。eSIM対応のスマートフォンやタブレットではこの機能をOSレベルでサポートしています。
GSMA SGP.22とはいわゆる Consumer eSIM と呼ばれるもので、Soracom Mobile や povo などのサービスで提供されているeSIMと同じ規格のものです。なお、複数のサブスクリプションを同時に有効化できるソラコム独自のサブスクリプションコンテナ (追加サブスクリプション) とは異なりますのでご注意ください。
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また、カメラ付きのスマートフォンやタブレットではQRコードを直接スキャンしてインストールできますが、IoT機器やカメラがないデバイスの場合、QRコードから読み取った以下のようなプロファイル情報を直接指定できるLPAソフトウェアの実装が必要です。
プロファイル情報
LPA:1$<SMDP_ADDRESS>$<MATCHING_ID> |
SMDP_ADDRESS : ダウンロードするサーバのアドレス
MATCHING_ID : プロファイルにマッチするID
複数デバイスへの配布とインストール
eSIM Profile Orderでは、複数のeSIMプロファイルを同時に購入することも可能です。この場合、配布とインストールの方法を事前に検討しておくことが重要です。
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複数のeSIMプロファイルを同時にご購入いただいた場合、CSV形式で一括ダウンロードが可能です。ただし、このCSVファイルにはQRコードが含まれていないため、プロファイル情報をQRコードに変換してメールなどで配布する仕組みを別途構築する必要があります。
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デバイス側では、メールなどで配布されたQRコードを読み込むことでeSIMをインストールできます。この際、メールアプリ上に表示されたQRコードをカメラで読み取れない場合は、こちらのサイトをご参照ください。
企業などで、情報システム部門が一括してデバイス管理を行っている場合は、MDM(Mobile Device Management)と呼ばれるデバイス管理ソフトウェアを使用することも可能です。
以下のサイトでは、iPhoneでMDMを使用してプロファイル情報を配信し、自動インストールする方法について説明されています。
まだまだeSIMの自動インストールに対応したMDMソフトウェアは少ないのが現状ですが、iPhone15からはeSIM専用の機種もリリースされていることから、今後は各社対応した製品をリリースしてくることが予想されます。詳細は、各MDMソフトウェアの提供元へお問い合わせください。
eSIMプロファイルの状態確認
CSVファイルには、eSIMプロファイルの状態も記載されています。eSIMプロファイルの配信後にこれらの状態を確認することで、配布したeSIMプロファイルが適切にインストールされ、有効化されているかを確認できます。
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複数のeSIMプロファイルをメールなどで一括配信する際には、APIの利用が便利です。CSVファイルと同等の情報がJSON形式で取得でき、ダッシュボードなどに組み込むことができます。
API リファレンス: GET /v1/esim_profile_orders/{profile_order_id}/profiles
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まとめ
新しくリリースされた「eSIM Profile Order」について、そのサービス内容と使い方をご紹介しました。このサービスで使用される Consumer eSIM(SGP.22)は、さらに新しい IoT向けのIoT eSIM(SGP.32)も規格化が進んでおり、今後のアップデートが期待されます。
IoTの世界でもeSIMの活用が進むことで、よりフレキシブルなコネクティビティの実現が期待できそうですね。
― ソラコム 渡邊 (dai)