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SORACOM Fluxの新しいアクション「SORACOM API アクション」便利な使い方3選

こんにちは、ソラコムの松下(ニックネーム: Max)です。

生成 AI と組み合わせた IoT アプリケーションをローコードで開発できる「SORACOM Flux(フラックス)」に、新機能「SORACOM API アクション」が追加されました(ChangeLog)。
このブログでは、この新しいアクションについて、活用のヒントになりそうな使い方を3つご紹介します。

SORACOM Flux そのものについては、サービス紹介ページデモ動画(YouTube)をご覧いただくと、理解が深まるかと思いますので、併せてごらんください。

SORACOM API と新機能の関係

SORACOM API は、データ蓄積サービス「SORACOM Harvest」からのデータ取得や、SORACOM IoT SIM 等の通信回線の制御、そして利用料に至るまで、いわゆる Web の管理画面(SORACOM ユーザーコンソール)で利用できるほぼすべての機能が API を通じて行えます。

現時点で400を超える API があり(一覧)、これらを SORACOM Flux から呼び出せるのが、今回の新機能「SORACOM API アクション」です。

SORACOM Flux のアクションとは?

アクションとは、入力データを分析・判断して特定の操作や処理を行うコンポーネントです。操作や処理には、Slack やメールといった通知の他に、Webhook による外部サービス API の呼び出しや、生成 AI への問い合わせの実行ができます。一覧はアクションリファレンスをご覧ください。アクション自体の全体像はユーザードキュメントをご覧ください。

使用例1「今月の利用料金を日次で通知」

SORACOM には、利用料金が設定金額を超えたときにメールで通知ができる「ご利用料金アラート機能」があります。これに加えて、日々更新される利用料金を把握するのに使えるのが、ここでご紹介する方法です。

具体的には Flux の「タイマーイベントソース」と、今月の利用料金を取得できる「Billing:getLatestBilling」を組み合わせることで、毎日1回、利用料金の確認を自動化できます。アプリの全体像は以下の通りです。

下図の上段がタイマーイベントソースの設定です。1日毎にしています※。下段が SORACOM API アクションの設定です。Billing:getLatestBilling を呼び出すようにしています。

この後の連携先には、Email 通知アクションSlack 通知アクションを使うと良いでしょう。

シンプルかつ自動化・省力化の手段にも SORACOM Flux は活用できる例として紹介しました。

ここで使用した機能の詳細は、以下をご覧ください。

※タイマーの開始時刻は、現在のところ当該の Flux アプリの作成・更新時が起点です

使用例2「SIM の使用状況の JSON データを、生成AIで整形」

SORACOM IoT SIM には「使用中」「利用中断中」等、通信回線のステータスが存在しています。回線数が増えてくると、ステータス管理も不可欠です。ステータスを一括で取得できる API (ResourceSummary:getResourceSummary) を使うことで、即座に把握できますが、SORACOM Flux では、さらに一歩踏み込んで、生成 AI にレポートを整形させることも可能です。

以下のように、Flux アプリの中で SORACOM API の出力を AI アクションにつなげて、プロンプトで整形を依頼する流れです。設定のポイントをピックアップしてご紹介します。

SORACOM API アクションでは、ResourceSummary:getResourceSummary を呼び出すように設定します。

AI アクションでは、SORACOM API アクションの出力結果 (${payload})と共に、プロンプトを指定します。ここでは以下のように指定しました。できる限り詳細に、また、読み替え元の情報も一緒に渡しているのがポイントです。

実行結果は、以下のように SORACOM API アクションの出力である JSON を、人間向けに読みやすくしてくれています。

ここで使用した機能の詳細は、以下をご覧ください。

使用例3「ソラカメの映像を取得、生成 AI で画像分析」

SORACOM API の中には、クラウド型カメラサービス「ソラカメ」を操作できる API もあります。ソラカメはクラウドに映像を蓄積でき、その録画データから API で静止画を切り出し、AI アクション経由で生成 AI による画像分析も、SORACOM Flux で実現できます。

静止画の切り出しは「切り出し(エクスポート)の要求」と「実際の取得」と、2つの操作を行うことで実現できます。API はそれぞれ SoraCam:exportSoraCamDeviceRecordedImageSoraCam:getSoraCamDeviceExportedImage です。

以上のようにタイマーイベントソースで定期的な実行、そして API の出力をつなげることでソラカメの映像データから静止画の切り出しができます。後続の処理に AI アクションをつなげて、プロンプトを指定すればマルチモーダル AI による画像解析が可能です。

生成 AI を含め、具体的な設定方法については、ソラコムのソリューションアーキテクト 井出(ニックネーム: takao)のブログ記事「SORACOM Fluxを使って混雑度を可視化する」をご覧ください。

まとめ

SORACOM Flux の新機能「SORACOM API アクション」を紹介いたしました。

SORACOM プラットフォームは API ファースト(API 実装を初期に行う開発体制)であり、プラットフォームの成長とは、API の機能アップとも言えます。今回の新機能は、SORACOM の便利な機能を使って開発や運用の手間を下げたり、これまでに無い機能を実装するのに役立つ仕組みとしておススメできます。

SORACOM API 自体は Sandbox(試験環境)もあり、気軽にお試しいただけます(Flux からは本番の API 呼び出しのみ対応)。いろいろな利用方法をお試しください!

― ソラコム松下 (Max)