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質の高いAWS構成図を作るチェックリスト付きガイド【AWS Summit Japan 登壇レポート】

本ブログのサマリーは、Podcast(音声/約2分)でも聞くことができます

こんにちは、ソラコムのエバンジェリスト 松下(ニックネーム: Max)です。

IoTやクラウドに関する話題を、ビジネスと技術の両面から伝える活動を続けていて、これまでの登壇は通算700回ほどになりました。そんな中で多いのが「構成図(アーキテクチャ図)を描く」ことです。SORACOM はもちろん、AWS の構成図も多く書いています。

そこで気づいたのが「構成図の書き方自体を習う機会が少ない」ということでした。

先日開催された AWS Summit Japan 2025 では、そんな構成図にまつわる悩みや工夫を「AWS アーキテクチャ作図入門」という形でまとめて発表する機会をいただきました。

この記事では、当日のスライドをベースに、

  • 描くときに意識しているルール
  • よく使っているチェックリスト
  • 登壇を通じて感じたこと

といった実務的なノウハウを共有したいと思います。構成図に関わるすべての方に、少しでもヒントになれば嬉しいです。

AWS Summit Japan 2025 とは?

2025/6/25〜26の2日間、幕張メッセとライブ配信で開催された日本最大の “AWS を学ぶイベント”です。約4万人の参加者という規模で、AWSクラウドの事例や技術等をセッションや展示で見ることができるカンファレンスです。私はコミュニティからの情報発信としての「Community Stage」で発表の機会をいただきました。

当日の資料・構成図づくりで気をつけていること

当日の資料は以下の通りです。

構成図で最も大切なのが「正しく・伝わるように」というものです。私が日頃から意識しているのは、こんなルールです:

  • アイコンは公式から最新のものを使う
    AWS Architecture Iconsページを定期的にチェックしています
  • サービス名は正式名称
    → 資料の信頼性を上げることができます。Amazon Q に問い合わせる方法も紹介しました
  • 配色は揃える、矢印は一方向に統一する
    → 説明しなくても「読める」構成図に近づきます

構成図を“描く”というより、“整える”に近い感覚かもしれません。

よく使っているチェックリスト

描き終わったあと、私は簡単なチェックリストで見直しをしています。たとえば:

  • [ ] アイコンは最新版か?
  • [ ] 配色がLight/Darkで混在していないか?
  • [ ] サービス名や機能名は正確か?
  • [ ] 初出時で略称利用をしていないか?
  • [ ] 名称や機能名の改行位置は適切か?
  • [ ] 矢印や線のスタイルが統一されているか?
  • [ ] AWS Cloud領域がわかりやすく囲われているか?

このチェックをするだけでも、チームで共有するときの“伝わりやすさ”がぐっと上がります。

登壇を通じて感じたこととQA

セッション後、「構成図の描き方ってあまり話題にならないけど、意外と大事ですね」というコメントを何人かの方からいただきました。ツールや技術の話は多くても、「図そのものの品質」にフォーカスする機会が少ないと思い、今回共有できて良かったと感じています。

Q. 構成図って、どんなツールで描いていますか?

登壇直後にご質問いただいたのが、この話題でした。

私自身、提出先や用途に合わせて使い分けているのですが、一番使っているのはPowerPointです。
資料の提出形式がPPTX指定というケースも多く、スライド上で構成図を完結させられるのはやはり便利です。

ただし、チーム内での設計レビューや素案レベルの共有では、CacooPlantUMLを使うこともあります。また、展示会向けのパネル制作やカタログの挿絵など、制作物としてアウトプットされる場合は、相手がそのまま使える形式で渡すのが基本です。注意点は、プラットフォームが提供しているアイコンが最新であるかを常に確認する必要があります。

つまり目的は「きれいに描く」ことより、“手間をかけずに伝える”こと。そういう意味では、ツールよりも“届け方”が大事なのかもしれません。

最後に

今回、AWS Hero として登壇の機会をいただけたこと、とても光栄でした。
写真のように、立ち見が出るほど多くの方にお集まりいただき、Xでもセッションに関するリアクションや質問をいただけたことに、心から感謝しています!

この記事で紹介したルールやチェックリストはPPTX内のガイドラインを基に解説しましたが、現場や目的によって正解は違うと思いますし、「こう描くべき」と押しつけたいわけではありません。ベストプラクティスに囚われず、目的を達成することが、クラウドの本質ではないでしょうか。

7/16には、私たちもIoTカンファレンス「SORACOM Discovery 2025」を東京ミッドタウンで開催します。こういった場を通じて、これからもAWSクラウドを含めてIoTやその周辺技術のノウハウをシェアしていきますので、フォローいただければと思います!

― ソラコム松下(Max) / Xアカウント(@ma2shita)