皆さんの所属している会社では、「どういう働き方をすべきか」、という指針のようなものは決まっているでしょうか?
株式会社ソラコムでは創業の前に、ビジョンとミッションについて文書にまとめました。
ソラコムのビジョン: 「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ
そして、そのビジョンをチーム一丸となって成し遂げるため、ソラコムにおける「理想的なリーダーシップ」について リーダーシップ・ステートメント として文書にまとめました。
採用においてもそのリーダーシップにフィット感のあるメンバーを集め、チームを作ってきました。また、定期的に、チームメンバーの間でそのリーダーシップについて膝詰めで話し合い、洗練を続けてきました。
SORACOMのサービスを世の中に発表したのが昨年2015年9月30日なので、ちょうど1周年を記念して、当初からは大分成長してきたソラコムのリーダーシップ・ステートメントについて、こちらで公開したいと思います。
ソラコムのリーダーシップ・ステートメント
SORACOM Leadership Statement
ソラコムのメンバーは、全員がリーダーであり、下記のリーダーシップ・ステートメントを高いレベルで実践していきます。常に周りからフィードバックをもらって改善し、自らリーダーシップを発揮することで、チームとともに事業を成長させていき、次のリーダーを育てます。また、このリーダーシップの中身自体も、チームで定期的に話し合い、洗練していきます。
Customer Centric
顧客中心に考える – 顧客の声を傾聴し、真のニーズを理解し、サービスに反映させていく。競合の動きに囚われない。
Proactive
未来を明るく肯定する – 自らとチームの力で未来が良い方向に変えられると信じ、オーナーシップを持つ。他人のせいにせず、今自分に何ができるかを考え行動する。
Just Do It
まずはやってみる – 常に100%を目指すよりも、適正な品質とスピードを重視する。計算されたリスクをとり、たとえ失敗してもそこから学ぶ。
Kaizen
カイゼンする – あらゆる業務において、現場でのカイゼンで余力を作り、新しいことに取り組む。細かな事象だけに捉われず、抜本的に変えるには何が足りないかを常に意識する。
Think Without Boundaries
殻を破って考える – 既存の制約や組織に囚われず、多角的に広い範囲で物事を観て、より大きな問題解決をし、イノベーションを起こす。
Dive Deep
詳細にこだわる – 本質、理を理解するため、直感のみに頼らず、データを元に検証する。
Respectfully Disagree, and Commit
敬意を持って異議を唱える – 皆のために意見を言った上で、チームの最終的な決定には従う。
Emotionally Mature
豊かな心を持つ - チームの感情やムードの大切さを理解した上で行動し、チームのモチベーションを高める。内省的で、自らの弱さや過ちを口にすることを厭わない。一時的な負の感情に支配されない。
Connected Trust
信頼関係を大切にする – 常に相手に敬意を持ち、責任ある仕事を通じて、信頼を得る。信頼関係を重ね、人と人をつなげる。
Are Right A Lot
正しい判断をする – 良心と良識に基づいた判断をスピーディに下す。多様な意見に傾聴し、自分の意見を訂正することも厭わない。
Likability
一緒に働いて楽しい人に – どんなときもユーモアを忘れず、周囲を力づける。フェアでオープンなプラットフォーム事業を支える一員として、常にふさわしい行動をとる。
Avoid Muda
ムダを省く – 本質的なことにお金や時間をつかう。運用コストを下げてお客様に還元する。
Develop Dream Team
最高のチームを創る – 常に最高の人材を選び、採用の基準を下げない。挑戦と育成を重視し、チーム力を上げる。
Share Everything You Can
良きも悪きも共有する – チーム全体で情報を共有し、喜びは倍増させ、悲しみは半減させる。チーム全体での事実ベースの透明なコミュニケーションを行い、サイロを作らない。
Deliver Results
結果を出す – 目的達成へ、継続的に粘り強く努力し、最後までやり遂げる。
リーダーシップ・ステートメントをまとめておくと役に立つ
上記のように、リーダーシップ・ステートメントをまとめて行くと色々とメリットがあります。
まず、面接の段階で、リーダーシップ・ステートメントを参考に採用活動ができるので、採用プロセスにおいて、議論の土台ができます。この候補者の方は、ここがあっているけど、ここが心配だ、など採用に関わっているメンバーの間で議論すべき項目が明確になります。
また、候補者の方にも、「ソラコムはこういう会社ですが、違和感ないですか?」と、会社にあうかあわないかの判断に役立てて頂くことが可能です。
日々の業務の意思決定にも役立ちます。例えば、Aということをやるか、やらないか、という議論になった場合、「これってJust Do It なんじゃないの?」「Avoid Mudaとしてはどうなんだろう?」など判断基準の手がかりとなります。
そして、個人の成長にも役立ちます。ある人が素晴らしい成果を出したときも、「Deliver Resultが素晴らしい」と具体的な褒めポイントを提示することができますし、万が一、良くない仕事ぶりがあったときでも、「そのやり方はProactiveだったでしょうか?」と問いかけることができ、個人攻撃になりにくいというメリットもあります。
さいごに
このリーダーシップ・ステートメントはあくまでソラコムのやり方です。ソラコムは、ゼロからイチを創り、テクノロジーイノベーションで世界をより良い場所にする会社を目指しており、このリーダーシップ・ステートメントを基準に行動しています。
私がこれまでIBMやAmazonで与えていただいた沢山の経験を反映したものですので、そこかしこにその影響を見ることができると思います(笑。あらためて感謝致します。
日本でも少しずつですが増えてきているテクノロジー・スタートアップにとって、我々のリーダーシップ・ステートメントが少しでも参考になるところがありましたら、この上ない喜びです。ご意見などありましたら、気軽に頂けると非常に嬉しく思います。
ソラコムCEO 玉川憲 (Twitter: @KenTamagawa)