ソラコムの玉川です。本日は、SORACOMプラットフォームのLoRaWAN™対応を発表させていただきました!
前置き
2017年2月7日にSORACOM LoRa Conferenceを開催しており、そのキーノートで、沢山の新サービスを発表させて頂きました。このブログポストでは、キーノート資料を抜粋して、新発表のポイントを解説させていただきます。
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- IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」のLoRaWAN™ 利用においてLoRa ゲートウェイを「共有」する新サービスモデルを開始
LPWA のシェアリングエコノミーを目指す
これまでのソラコムのLoRaWANへの取組
ソラコムは、2016年5月に、M2Bコミュニケーションに出資をして戦略的業務提携を行い、
LoRaWANを利用した通信事業に参入を発表しました。また、2016年7月には、LoRaの実証実験を円滑に行うために、LoRa モジュール、ゲートウェイはもちろん各種セットアップやコンサルティングを含んだパッケージ、LoRaWAN PoCキットを販売開始し、多数のお客様にご利用頂いてきました。
LoRaWAN™ は LPWA(Low Power Wide Area Network) と呼ばれる無線通信規格です。特徴としては、アンライセンスバンド(免許がいらない)であるサブギガ帯域(920MHz帯域)を利用しているため、数km 程度の長距離通信が可能です。例えば、八王子市の実験では、ゲートウェイを5基設置することで、八王子市全体をカバーできるという実証実験も行われました。また、LoRaWANは、低消費電力のためバッテリー等の電源設備の負担を低減できます。モジュールも小型化が期待でき、将来的に数百円を下回る価格で製造できます。
一方で、通信速度は非常に限られており、11バイトを数秒に一度程度しか送れないという欠点がありますが、IoTのラストワンマイルの通信の一手段として非常に注目されています。
SORACOM Air for LoRaWAN発表
今回の発表により、IoT向けデータ通信を提供するSORACOM Airは、SORACOM Air for セルラーと、SORACOM Air for LoRaWANへと拡張しました。
これまでSIMカードを提供し、3G/LTEのセルラーデータ通信を提供してきたSORACOM Airは、SORACOM Air for セルラーとなり、このたび、LoRaWAN対応したことで、SORACOM Air for LoRaWANが新たに提供開始となります。
SORACOMのユーザーコンソール(Webコンソール)から、従来のSIM管理が行えるだけでなく、LoRaデバイスの一括管理や設定も行えるようになりました。
左のメニューの中にLoRaWANが追加されていることがわかります。
個別のLoRaデバイスもデバイス管理画面からコントロール可能です。
もちろんAPIでコントロールすることも可能です。
LoRaデバイスもコントロールできるのは胸熱ですね!
LoRaゲートウェイ、デバイスの個別販売開始
ソラコムのコンソールから、1個単位で、LoRaゲートウェイとLoRaデバイスの購入が可能になりました。
現状、どちらも在庫数が限られているので、購入していただいた皆様から順序3月を目処に発送を開始する予定です。
ゲートウェイの第一弾としては、LoRaインドアゲートウェイを販売開始します。3Gドングルが付属しており、セルラー通信でつながるのでどこでも設置できます。
デバイスの第一弾としては、LoRa Aruduino開発シールドを販売開始します。Arduinoに接続して開発することができます。Arduinoの開発用スケッチも公開予定です。
この開発シールドは、期間限定でキャンペーンを実施していますので、是非、ソラコムコンソールの発注画面を確認ください。また、LoRaモジュール単体をご要望の方は問い合わせフォームにお問い合わせください。
LoRaゲートウェイはセルラー通信込み
LoRaゲートウェイには、セルラー通信料金(ソラコム回線)が込になっていて使い放題なので、セルラーの通信料金を気にすること無く任意の場所に設置して、自営のプライベートネットワークを簡単に構築できるようになっています。
SORACOMアプリケーションサービスとの連携発表
もちろん、SORACOM Beam、 SORACOM FunnelといったSORACOMアプリケーションサービスもLoRaWANに対応しているので、LoRaデバイスからのデータを簡単にWebサービスやクラウドに転送することができます。
SORACOM Beamを使うと、LoRaWAN → HTTP/HTTPSに転送できるので、既存サーバーや新規のサーバーへのデータ転送が簡単に行えます。また、SORACOM Funnelを使うと、Amazon Kinesis/Firefoseもしくは、Azure Event Hubに連携できるので、LoRaからクラウドへデータを直送できます。
今回、あらたに、SORACOM Harvestへも対応しました。Harvestを使うと、サーバーなどを構築することなく、Harvestの中にデータを収集して蓄積できます。そして、下記のグラフのように可視化まで行えます。
LoRaデバイスから送られてくるデータを、Beam/Funnel/Harvestの設定を行うのは下記の設定画面からセットするだけなので簡単です。
例えば、Beamを使うときは、LoRaデバイスから送られてきたデータを送り込みたいURLを設定するだけとなります。Funnelの場合は、クラウドを指定して設定します。Harvestの場合、スウィッチをONにするだけです!
SORACOM Air for LoRaWAN (所有モデル)の利用料金
SORACOM Air for LoRaWANにおいて、ゲートウェイを所有して利用する(所有モデル)の利用料金は、以下の通りです。
LoRaインドアゲートウェイの初期購入費用は、69,800円。月額の利用料金は上記の39,800円ですが、SORACOM Air for LoRaWANの利用料金(コンソールでのデバイス管理、ゲートウェイ管理など)と、ゲートウェイのセルラー料金が含まれています。お客様アカウントで2台目以降をお持ちのときは、29,800円となります。
また、月額の利用料金と同額分をSORACOMアプリケーションサービス利用料としてお使い頂けます。次の、LoRaデバイスの利用料金のほとんどに充当することができます。
LoRaデバイスのSORACOM Air for LoRaWANの利用料金は、無料です。今回のArduino開発シールドの場合、初期の購入費用は7,980円となります。
SORACOMアプリケーションサービスの利用料金は、通常の利用料金と同じなので、LoRaデバイスからBeamを使ってデータを送るのは、1リクエストあたり0.0018円となっています。ですので、例えば、1日1回データを送るユースケースだと1月30日計算すると0.054円となり、非常に安い料金でLoRaデバイスをお使い頂けます。
ユースケース毎の利用料金の試算です。ハードウェア購入費などの初期コストは入っていません。よほど沢山のデータをLoRaデバイスから送らない限りは、ゲートウェイの利用料金が支配的なコストになるので、1台のゲートウェイあたりどのくらいのデバイスを用いるか、によって月額費用例が変わってきます。例えば、電灯監視のような1台のゲートウェイで200台の場合、デバイス1台あたり199円となります。逆に、水道メーターのように中規模の都市にゲートウェイをはりめぐらせて計測する場合は、1台あたり3000個のデバイスとなるので、1月10.2円となります。
所有モデルでは、プライベートネットワークを容易に構築・自営することができます。これに加えて、LoRaゲートウェイの所有者は、LoRaゲートウェイをシェアド・モード、パブリック・モードにするかを設定することができます。
シェアド・モードでは、特定のお客様と共有することが可能となります。
パブリック・モードでは、共有されたゲートウェイの範囲内であれば全ての LoRa デバイスにゲートウェイを公開することも可能です。
まとめ
SORACOMプラットフォームのLoRaWAN対応の発表、いかがでしたでしょうか?
LoRaWANはオープンな標準であるため、誰でも参入でき試すことができるテクノロジーである一方、お客様自ら、デバイス、ゲートウェイ、ゲートウェイの通信手段(ISP、セルラー通信)、LoRaのネットワーク・サーバー、管理コンソール/API、転送先のシステムと、全て取り揃えると非常に手間がかかってしまうのが現状です。
今回の発表により、SORACOMのコンソールから、動作検証ずみのデバイス、ゲートウェイを購入・調達でき、セルラー通信付きのゲートウェイを任意の場所に設置でき、自営のLoRaのプライベートネットワークを迅速に構築できるようになりました。
また、LoRaデバイスから送られたデータを、SORACOM Beamを使ってHTTPSのWebサーバーに転送するか、SORACOM FunnelでAmazon Kinesisにデータをいれるか、もしくは、SORACOM Harvestでデータの蓄積から可視化まで行えるようになりました。
LoRaWANのテクノロジーは数km先からデータを送ることができ、触ってみると非常にワクワクするものですので、是非手にとって試してもらいたいと考えています。
本日より、コンソールから発注でき、3月目処に順次発送を開始していきますので、ぜひご購入ください!また、LPWAのシェアリングエコノミーを目指した共有サービスモデル、というのも発表していますので、そちらも是非お読みください。
玉川憲