ベストポジションというものを探し続けている、ソラコム 松下(max) です。
IoT システム構築で人気のあるアプリケーションが「位置情報」です。自動車や人の位置を知ることで、配車の最適化や見守りなどといった事に利用でき、 SORACOM でも多くの事例があります。
デバイスの位置を知る方法としては GPS (Global Positioning System) を活用する方法が一般的になりますが、空が見えていないと測位が難しく、また、 GPS モジュールは価格も消費電力も高めという面もあります。
今回ご紹介するアップデートは、 GPS モジュールが無くとも SORACOM Air SIM で通信デバイスの位置情報をSORACOM ユーザコンソールに表示したり、 API で取得できるようになりました!
ユーザーコンソール SIM管理画面
ユーザーコンソール SIM詳細画面
基地局を利用した位置測位
セルラー通信が可能なデバイスは 基地局を利用した位置測位 という仕組みが利用できます。今回ご提供しているのも同じ仕組みです。詳細は こちらのページ に解説されていますが、ポイントは GPS モジュールが無くとも位置情報を測位することができる という事になります。
利用可能な条件は?
SORACOM Air SIM 日本向け/グローバル向けを用いた通信であれば位置測位が可能ですが、一定の条件がありますのでご確認ください。
- SORACOM Air for セルラー 日本向け SIM で LTE による通信 を行った時
- リファレンスデバイスとしては Wio LTE JP Version や EC21-J といったものがあります。
- 3G 通信の場合は基地局情報が提供されません。
- SORACOM Air for セルラー グローバル向け SIM で通信を行った時 ( カード型/チップ型 SIM、2G/3G/LTE 問いません )
- リファレンスデバイスとしては Wio 3G SORACOM Edition や MS2131i-8 といったものがあります
※ リファレンスデバイスだけでなく SORACOM 認定デバイス においても、上記条件に該当すれば位置情報測位をサポートできる可能性があります。詳細はパートナー各社にご確認ください
まとめたのが下の表です (クリックすると Google Spreadsheet が表示されます)
測位情報の表示の仕方
SORACOM のユーザコンソールの Menu から SIM 管理を選択し、 SIM 一覧を表示します。
その後、位置情報を表示したい SIM のチェックボックスをつけた後に「詳細」をクリックしてダイアログを表示します。
ダイアログ内で「セッション詳細」のタブをクリックすれば、セッションの履歴と共に位置情報の地図が表示されます。
※一度も測位できていない場合は表示できない旨が表示されます
【参考】ソラコム赤坂オフィス内での測位の結果
実際にソラコムの赤坂オフィス内でチップ型 SIM が搭載されている Wio 3G を利用した測位の結果です。
上記の通り、おおむね近い位置をポイントしています。この誤差については ご注意いただくこと に記載したのでご覧ください。
ご注意いただくこと
今回のアップデートでご利用いただける位置情報は、携帯電話の基地局情報を利用したものになります。そのため、下記のような条件がありますのでご注意ください。
- 日本向け Air SIM では LTE 通信で取得できる基地局の情報をもとに位置情報を表示しています。詳細はこちらを確認してください
- 基地局を基にした測位であるため、通信圏内であれば屋内や地下でも測位が可能になりますが、一方で精度は主に基地局のカバーするエリアの大きさによって大きく異なります
- 位置情報の表示には、基地局情報から位置情報のマッピングにオープンに公開されている基地局データベースを利用しています。オープンソースのデータベースであることから、すべての基地局情報が登録されていないことや、最新の情報が反映されていないことがあり、位置情報が表示されない場合があります。
おわりに
GPS モジュール不要・消費電力面で有利・電波が届けば地下や屋内でも測位可能、という利点は、IoT システムの企画や構築の幅が広がるかと思います。
精度に気を配る必要はありますが、より安価で小型なデバイス製作のお役に立てれば幸いです!
ソラコム “MAX” 松下