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年間講演数100回以上!心に残るプレゼン資料を作るコツ エバンジェリスト max の仕事術(2)

こんにちは。広報のkyonです。前回SORACOMの伝道師、エバンジェリスト max に、長距離移動しながら仕事をこなすための仕事術について聞きました。

今回はエバンジェリストの本業であるプレゼンテーション資料の作り方について聞きます。聞き手の心に残るmax流プレゼンテーションは、どのようなこだわりから生まれているのでしょうか?

松下 享平 / max
株式会社ソラコム テクノロジー・エバンジェリスト
Twitter:ma2shita(気軽にフォロー&お声かけ下さい)

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企業・開発者にIoT活用とSORACOMの価値をご紹介するエバンジェリストとして全国各地を飛び回る。
多数の事例を通じた「IoTの活用法、始め方」の解説の他、デバイスメーカーでの経験を活かし、ネットワーク・デバイス・クラウドといった複数の専門分野をまたがる技術解説が好評。
共著に「SORACOM入門」(日経BP社)「IoTエンジニア養成読本」(技術評論社)

プレゼンテーションのストーリー構成はゴール設定から

Q:プレゼンテーション作成のコツって何かあるんでしょうか?

max :まずストーリー構成を考えます。エバンジェリストのゴールは「講演を聞き終わって、なにか行動してもらうこと」です。「いい話だったな」では行動にはつながりません。開発者だったら「自分で手を動かしてやってもらう」、マネージャーだったら「IoTの重要性を感じて、社内でIoTプロジェクトをリード、社内を説得してもらう」などの具体的な行動をゴールとして設定します。

Q:講演後にとってもらいたいアクションをイメージするんですね。

max :そうです。その後、ゴールに至るためのストーリーを考えます。そのためにはお話を聞いてくださるお客様がどういった方なのかがヒントになります。まず意思決定への関わり方を、経営層、マネージャー層、現場の3カテゴリで考えます。加えて、新しいやり方に対する姿勢・考え方を、保守的、先進的、先進的かつ新技術キーワードの知識も持っているの3カテゴリで考えます。おおまかに3×3の9個のカテゴリーで、お話を聞いてくださる方々をセグメントして考えます。

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セミナー内容を考えるための参加者の9つのセグメント分け

例えば、新しいやり方に対して保守的な人たちのほうが、最新の技術キーワードを知っていることも多いんですよ。

Q:そうなんですか?

max :調べた上で「出来ない」と感じていることが多々あります。その場合は、身近な事例や業界特有の難しさや苦労など共感できる話を織り込んで、「今はもっと簡単にはじめられます」という伝え方をするようにしています。

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たとえば、IoTプロジェクトにおいては「お金がかかる」「現場をできるだけ変えたくない」「センサーや通信をどう選べばいいのかわからない」といった「IoTが出来ない理由」をよく聞きます。それぞれの業界や立場で、なぜ「出来ない」と思っているか具体的に知ることで、ストーリーが見えてきます。

もし「やってみよう」と思ってもらえた場合も、その方が会社の上司や部下に説明する必要があります。肌感覚でわかっても言語化されていないような部分を、上手く言語化してお伝えできればいいなと日々考えています。

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アイコンやアニメーションを利用して、わかりやすく説明する

Q:IoTプロジェクト特有の難しさってありますか?

max :ありますね。技術範囲が広すぎるので、講演を聞いてくださるお客様の知識レベルはまちまちであることが大前提です。なので、専門用語や知らない単語は使わないようにします。途中で「わからない」と一度思われてしまうと「自分には関係ない話」と感じるようになり、セッションを最後まで聞いていただけません。

Q:プレゼンテーションのスライドは何枚くらいがちょうど良いんでしょうか?

max :プレゼンのスタイルによって変わります。私は文字大きめのスライドを多数使って説明するスタイルですが、スライド1枚あたり60秒を目安にしています。スライドは5.6回通しで声を出して読み、かかる時間を把握しておきます。

講演は時間が短ければ短いほど練習が必要です。25分以内の場合はお話する内容を絞り込む必要があります。LT(Lightening Talk 5分程度で行うショートプレゼンのスタイル)は私も繰り返し練習します。

見やすいプレゼンテーションスライド作成術

Q:見やすいプレゼンテーションを作るコツはありますか?

max :気をつけているのはスライドとスライドの幕間です。急に画面が切り替わると前のスライドや話を思い出せなくなります。そこで、スライドの切替時はフェイド効果を使います。ぽわんと前のスライドがうすくなって、その上に次のスライドが出てくる設定です。

具体的な方法としては、PowerPointの場合、前のスライドを図として貼って、鮮明度を変えぼかし、明るさをマイナス50%に設定、これを0.25秒程度の非常に早いスピードのフェイド機能のアニメーションと連携させます。この処理によって、前後の話のつながりがすっと入りやすくなります

<実際に利用しているプレゼンテーションスライド例>

Q:色合いはカラフルな方が伝わりやすいですか?

max :色数を減らしたほうがいいですね。私の場合は、1枚に入る色数は3色程度にしています。

アニメーションは、IoTに関して言うなら構成要素が多すぎるのでアニメーションを使ったほうが効果的ですね。見るべきところをフォーカスしてマークすることで、お話を聞いてくださる方の視線と意識を向けていただくことができます。

Q:具体的ですね。IT系のサービスやプロダクトは形が見えないので、わかりやすく説明するのが大変そうです。

max :そうですね。最近は、実際にデバイスやソフトウェアを操作しながら説明するプレゼンテーションのスタイル「ライブデモ」をやることが増えています。

Q:ライブデモにもコツがありますか?

max :ありますよ!任せて下さい。

次回、エバンジェリスト max の仕事術(3)「その場で操作しながら解説!ライブデモ成功の秘訣」に続きます。