みなさま、こんにちは。
ソラコムでは、これからIoT技術の活用に取り組む方、既にIoT技術の活用に取り組んでいる方が相互に学び合う勉強会として「SORACOM IoT Meetup」を開催しています。今回は第3回「IoTで業務改善 -日々の働くをちょっと便利にする-」の開催報告として、当日の学びを振り返っていきたいと思います。
当日のメインは実践者3名による事例の共有です。3つの取り組み事例から「働きやすい環境作りにも、IoTの活用は有効、そしてIoTデバイスの進化で活用のハードルは大きく下がっている」ということが分かりました。取り組みの中にはAIやエッジコンピューティングという高度技術を活用したケースから、人にボタンを押してもらうというケースまで、人の温かみを感じるIoT技術の活用方法を教えてもらえたのも業務改善というテーマならではだと感じました。具体的に事例を見ていきましょう。
「IoTで業務改善」 3つの事例をご紹介
AIカメラで品切れを検知
まずは「AIカメラを使った社内販売の品切れ検知」です。
社内でパン販売機があるのですが、せっかく買いに行ったのにお目当てのパンが売り切れているとガッカリしてしまいます。この残念な結果をなくすため、AIカメラを使ったモデル生成とエッジ処理に取り組んだ事例を共有いただきました。
お話をしてくれたのは、ソラコムのパートナープログラムの認定済みパートナーでもある、アクロクエストテクノロジー株式会社 シニアテクニカル アーキテクトの鈴木貴典さん。
同社は「働きがいのある会社(GPTW)」ランキング(従業員25~99人部門)で No.1を3回も獲得されています。従業員の技術教育にも非常に力を入れており、技術面でも人材面でも信頼おける方々ばかりというのが私の印象です。
仕組みとしては、どの種類のパンが品切れになったかという情報をAIカメラがエッジ処理、品切れが起こると仕入れ担当者に Microsoft Teams で通知。これにより、パンの仕入れ担当者の方が常に残数を気にすることなく、欠品に素早く気がつくことができたそうです。AIカメラにはソラコムのAIカメラ「S+ Camera Basic」を利用することで、検証のサイクルを素早く回すことができたそうです。
発表内容の資料も公開いただきました。特に工夫した点、構築でハマった点も資料内に記載があります。IoT/AIカメラの活用に興味のある方はぜひご参照ください。
IoTボタンでテレワークの見える化
2つ目の事例は「リモートで働く仲間の状況を把握する」取り組みです。
ここではセンサーやカメラを使って自動的にステータスを把握する仕組みではなく、従業員自らがIoTボタンを押すことで状況の見える化を実現したという事例です。
お話をしてくれたのは、株式会社ジョイゾー 代表の四宮靖隆さん。同社は業務改善プラットフォーム kintone を使ったシステム開発支援を事業とし、社員全員がkintoneのスペシャリスト。kintoneを使ったシステム開発の代表的な手法となった定額モデルを生み出した会社でもあります。
ここで共有いただいたのは、全国各地でリモートワークをする社員をつなげる情報共有の取り組みです。ソラコムのIoTボタンこと SORACOM LTE-M Button for Enterprise を社員ひとり1台配布し、ボタンを押してもらうことで誰がどこで勤務を開始したか、休憩、勤務終了というステータス情報をメインの業務システムとなっている kintone で表示させるという仕組みで、緩やかにチームメンバーのステータス共有をしてみたそうです。自分でボタンを押すこと、業務中にメインで開く画面で各社員の状態が把握できることが、仕組みの面でも心理面でもバランスの良い部分だと感じました。
発表資料は PDF (Dropboxの共有リンク) にて公開いただきました。
IoTポスト作りから見出した、概念検証(PoC)のコツ
3つ目の事例も、2つ目と同様にソラコムのIoTボタンを活用した「郵便受けの投函を知らせる」取り組みです。
発表いただいたのは株式会社グリーンノート 代表の立石彰さん。同社はAI/IoT導入のコンサルティングなどをメインの事業としており、立石さんはIoTにおいて必要な技術要素の経験をあまねく持ってらっしゃるので、幅広い相談に乗ってもらえます。
活用したのはソラコム IoTボタンシリーズの中でも、AWSとの連携に特化した SORACOM LTE-M Button powered by AWS。AWS IoT 1-Click のサポートデバイスとなっているという特長があります。ジョイゾーさんの発表内容と共通しているのは、IoTボタンが電池駆動で場所を選ばす手軽に使える点を活かした点です。郵便受けに郵送物を入れる配達員の方に向けて、依頼文書と共にボタンを設置。ボタンを押してもらうことで、遠隔地にいても郵便物の到着を把握できます。
立石さんからは事例の取り組みだけでなく、IoTにおける概念検証 (PoC) を進める上でのコツも具体的に共有してもらいました。資料も公開してもらっていますのでご参照ください。
継続的な業務改善は「小さく、早く、簡単に」 ~ ライブデモ
事例からも確認できる通り現在はIoTに必要なデバイスやセンサーが安価に1台から購入できるようになり、クラウド技術の普及でデータの活用も容易になりました。アイディアがあれば形にする方法はある、という状況です。
ソラコムのソリューションアーキテクト 桶谷拓也からは、IoTを使った業務改善のポイントとして「小さく、早く、簡単に」そして「真似る、ひらめく、共有する」という点をお伝えしました。これらの要素を意識してもらうことによって継続的な改善を続ける文化が作られ、強いチームになってデジタル化の加速ができるはずです。
また今回の事例でも2社が活用していたソラコムのIoTボタンを使ったライブデモを、ソラコムのテクノロジー・エバンジェリスト 松下享平が披露しました。IoTボタンを購入してから、指定のメールアドレス宛にE-mail通知を届けるまで実際に手元でIoTボタンやソラコムの管理画面を操作している所をご覧いただきました。百聞は一見に如かず、これはぜひ動画で見てもらいたいです。
ライブデモは動画の 1:29:07 から 10分ほどでご覧いただけます。また、手順書も公開されているので、皆さんの手で行っていただく事もできます。
まとめ ~ 次回は「LINE通知を使いこなそう (10/21 18:00~)」
いかがでしたでしょうか。今回「IoTを使った業務改善」をテーマに、AIカメラを使った社内販売の品切れを防ぐ、IoTボタンを使った全国各地でのリモートワーク社員の出勤/勤怠管理、投函タイミングがわかるIoTポスト、といった社内の業務改善をIoTで実現したゲストに具体的なシステム構成や取り組んだ背景について伺いました。当日の参加が出来なかった方も資料や動画を参考に、ご自身の業務改善につなげていただけると嬉しいです。
さて、次の SORACOM IoT Meetup も開催が決まっています。テーマは「IoTでもやっぱり便利に使えるLINE通知」。数ある「通知」の中でも、個人用途からビジネス用途まで幅広く活用されるLINE通知をテーマに、LINE通知のシステム構成や、各種通知方法のメリットやデメリットを解説。具体的な活用事例を通じて、実践者から知見を共有していただきます。2021年10月21日(木)18:00-19:40(懇親会まで参加の方は 20:00)、参加無料、Zoomによるオンライン開催です。
この開催以外であってもソラコムの開催するオンライン勉強会の多くはIT勉強会支援プラットフォーム Connpass で告知をさせてもらうことが多いです。こちらのグループメンバーとして登録してもらうと、今後開催される勉強会イベントのお知らせを受け取ることができるようになりますので、ご興味ある方は気軽にグループメンバーとしてご参加ください。
ー ソラコム 伊佐 (martin)