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失敗しない「生産設備・監視装置のクラウド化」とは?

こんにちは、ソラコム パートナーマーケティングの小出です。

DXの第一歩として注目されている生産設備、監視装置とクラウドを「つなげる」方法・ノウハウをテーマにしたセミナーを開催しましたので、そのレポートをお届けします。イベント動画も公開しておりますので、お時間がある方はこちらをご覧ください。

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DXを考えるとき、現場には各種センサーやカメラなどつなげるべき設備や装置が多くあることに気づきます。しかし、いざそれを実行しようとしたときには、古くから稼働している機器をデジタル化する手段や、クラウドとの安全な通信環境の準備、そして運用の手間と様々な課題があります。

本セミナーは既存産業のDXをお考えの方にむけて、現場の装置をクラウドに “つなげる” 方法の解説から、24時間/365日安定運用するための「失敗を回避できる、最初の一手」について、IoTデバイスのプロのノウハウをお届けしました。

IoTデバイスの専門企業、株式会社アットマークテクノとの共催

ソラコムのパートナー制度において、SPS認定済パートナーとしてSORACOM活用実績を誇る企業です。組み込みプラットフォームのリーディングカンパニーとして、25年にわたり「Armadillo」を始めとしたIoTゲートウェイシリーズを、エッジAIモデルから省電力モデルまで幅広く提供しています。詳細はこちら

​IoT入門、クラウドと設備を安全につなげるパターン解説

最初のセッションではソラコム ソリューションアーキテクトの井出より、現場のIoT化についてどのようなパターンがあるかを「現場の機器」に注目して整理しました。また、現場のセンサーやデバイスをクラウドでつなげるメリットを、実際にIoTを活用している企業の事例も交えてご紹介しました。

次に、「つなげる=デジタル化」に成功したあとに乗り越えるべき「壁」について説明しました。デジタル化が完了したあと、それを安定的に運用していくためにするためには、それを出来る限り省力化して、また停止することなく、安定稼働することが求められます。その際、PoCの時には考慮していない様々な課題が発見されます。

また、現場のIoTを継続的に活用するためには、IoTで実際に解決したい課題以外にも解決すべき課題がでてきます。それらの課題を自分で解決することもできますが、本来の目的である「現場のデータをビジネスに活用する」手前の作業が膨大になってしまいます。また、うまく行った仕組みをほかの現場でも活用したい、といった横展開を考える場合を想定すると、IoTの仕組みはできるだけシンプルにしておくことが有効です。

これらの課題を踏まえ、長期間にわたる安定的稼働やデバイス・システムのメンテナンス、規模の拡大に対応できるデバイスを選ぶ際の考え方をご紹介しました。

ソラコム 井出の講演資料はこちらです。

PoCから実運用まで対応、小型・省電力のIoTゲートウェイ「Armadillo」

株式会社アットマークテクノは1997年の設立以来、組込みプラットフォーム「Armadillo」を中心としたArm+Linuxの製品の開発・製造・販売を手がけるメーカーです。

本セッションでは、あらためてIoTゲートウェイの役割の解説と、Armadillo IoTゲートウェイの特長、それにより解決できる課題について解説いただきました。「組み込み」という限られたリソースの中での開発実績を踏まえて、近年はエッジコンピューティングに対応した高性能化、あるいは現場の使用状況に応じた省電力化の2軸に分けて製品開発を進めており、ニーズに合わせた製品提供が可能になっています。

リファレンスデバイスと違い、長期にわたる製品保証と供給、技術サポートやキッティングサービスなども提供され、PoCから量産まで幅広く同じデバイスでカバーすることができます。また、既存のデバイスの持つ様々な課題を解決した使いやすいデバイス群を提供することで、IoTデバイス市場の広がりを支援しています。

「Armadillo」についての詳しいご説明は、製品サイトをご参照ください。

Armadilloサイト 

専門家に聞く「長期運用を踏まえたIoT、失敗しないノウハウ」

最後のセッションでは、多くの開発現場の経験を持つアットマークテクノの視点からの「失敗しないノウハウ」をお聞きしました。

IoT機器は、電力・ガス・水道などの社会インフラなどに活用されているなど、現場が遠隔であったり行きづらい場所に置かれることが多いので、ハードウェアやソフトウェアの不具合があった場合の対応が困難です。しかしながら、短期的なPoCでは発生しづらく検証がされないまま実運用になってしまっている場合もあり、設置後の課題発生を避けるためには、事前にリモートでのメンテナンスやソフトウェアアップデートを可能にしておく必要があります。また長期的な運用に必須の堅牢性を向上させるためには、ネットワーク切断時のバッファリングなどの対策やストレージの冗長化も考えておく必要があります。

具体的な実現方法については、講演資料をご参照ください。

アットマークテクノ講演資料

質問へのご回答

イベント当日は、多くのご質問をお寄せいただきました。改めて回答します。

質問:Linuxベースのコンテナ管理機能が搭載されているとのことですが、コンテナのアップデートが自動で行える仕組みが提供されているということでしょうか?

回答:クラウドから能動的にトリガーを設定することも、定期的に行う設定をすることも可能です。お客様によっては、安定的に運用できているソフトウェアを自動的にアップデートしたくない、事前に充分なテストをしたい、というニーズもあるため、どちらも選択できるようにしています。

質問:遠隔アップデートを行う場合の、配信元のサーバーはどうしたらよいでしょうか?

回答:アットマークで将来的にはサービス化を考えているが、現状はお客様にてご用意いただく必要があります。自前、またはAWSなどの一般的な環境を活用いただいていることが多いです。アットマークテクノからhawkBitサーバーを使った配信の仕組みを構築するための、Dockerコンテナも用意しています。

質問:現場へのIoTゲートウェイの設置時のポイントがあれば教えて下さい。

回答:アットマークテクノとしては、製品の保証範囲を設定しており、現在は−20~60度までの温度が動作環境になっています。防水・防塵ボックスに入れていただいて活用いただくケースも多いです。

質問:ネットワークだけでなく、電源の瞬断という事態も起こりえますが、何か対策されてますか?

回答:一番避けたい事態は、故障して起動しなくなることです。その対策として起動するためのストレージを安定させる設計を採用しています。Armadilloでは、メインストレージには外付けではなく設定不良の起きづらい内部ストレージを利用する、かつプログラムの書き込みを不可にするなど、電源遮断に考慮した設計をしています。

生産設備、監視装置とクラウドを「つなげる」セミナー、動画公開

本セミナーは、アーカイブ動画も公開しています。詳細について学びたい方は、ぜひ動画もご覧ください。

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― ソラコム パートナーマーケティング 小出 (satoko)