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数千を超えるIoT機器を管理!生成AIで設備運用を効率化するhacomonoの挑戦

遠隔地の設備管理は移動時間を必要とし、リアルタイムに状況を確認できない等の課題があります。無人化とセキュリティを両立する設備の管理・運営、予知保全ソリューションやAI活用によって、効率化とコスト削減は可能です。

最新のトレンドと実際の成果を踏まえた設備の管理・運用方法について、今年7月に開催した当社カンファレンスSORACOM Discovery 2024のセッション「最新IoT事例にみる、設備管理・運用の自動化と省人化」より株式会社hacomono IoT部 マネージャー 岩貞 智氏の発表内容をご紹介します。

株式会社hacomonoは、デジタル化が遅れているウェルネス産業の産業構造を変革し、先進国の健康課題解決を前進させることを目指し事業を展開しています。具体的には、フィットネスクラブやパーソナルジム、公共運動施設などに向けて、入会予約や決済、店舗の中のIoT機器、例えばドアと連携し会員のみが入館できる入退館リーダーの管理まで一括で対応するオールインワンのマネジメントシステムを提供しています。

既に大手フィットネスクラブやジムに広く導入されており、数千を超えるデバイスが全国の施設で稼働中です。特に、QRコードを活用した入退館システムは、多くの施設で導入が進んでおり、スタッフが関与することなく、完全オンラインでの会員管理が可能です。これにより、業務の自動化や効率化が図られ、従業員の負担が大幅に軽減されています。この仕組みのバックエンドにSORACOMを利用しています。

店舗に有線LANがある場合ではセキュアリンクサービスのSORACOM Arcを、ない場合にはSORACOM Airのセルラー通信を利用するという2パターンがあります。店舗の通信環境を問わず、SORACOMのIoTプラットフォームを通じてデバイスの管理を行なっています。

しかし、全国規模で展開するデバイスの管理には課題もあります。具体的には、全国各地に数千のデバイスが点在し、各店舗の環境が異なるため、保守や運用が複雑です。過去のナレッジを踏まえて原因の調査を行いますが、ログの取得など手作業を含めてエンジニアリソースを必要とします。そこで、生成AIを活用して、この問題に対処する取り組みを行なっています。

具体的には生成AIに過去の問い合わせデータを学習させることで、回答を推論させています。そのために、今までは店舗から自由形式で問い合わせをもらっていましたが、問い合わせフォームを通して内容を標準化することで、内容が一律に揃い、生成AIも解釈しやすい工夫をしています。

また手作業が発生していた機器のログ取得についても、Slackから管理コンソールのリンクを呼べるようにして、トラブル時にはSIMの名前からどういう状態のものかといった情報を投稿する仕組みを作りました。

これらの情報を掛け合わせて、生成AIに回答を推論させています。

これにより、エンジニアが直接関与せずとも、簡単なトラブルであれば自己解決できる仕組みができました。貴重なエンジニアリソースは、クリエイティブな業務に専念することができます。

一部の顧客にはこの生成AIシステムを提供し、問い合わせ前に自己解決ができるようになったケースもあります。問い合わせから回答を得るまでの時間も減り、双方にとってプラスになるため、サービスとして提供できないか検討しています。

IoTにおいて生成AIはどう使おうか?と考えていましたが、問い合わせ対応の効率化に使うことで、IoTサービスの品質を上げることができるようになりました。補助情報ではありますが、過去の対応記憶を学習させると、かなり精度がよく生成できていたと言えます。

全てのセンサー情報を取得できれば、トラブル原因を割り出すことは可能だとは思いますが、自社デバイス以外の環境要因が含まれる点への考慮が必要です。現地の情報が必要な部分を全て情報化することはなかなか難しいですが、過去の事象や経験則的にトラブルを見定める際に、生成AIで補って使えると考えています。

技術はすべての問題を解決するわけではありませんが、IoTと生成AIで業務負担を軽減し、効率化を促進する重要な手段として活用できることを実感しています。今後も、この技術を活かして、さらなる業務改善を目指していきたいと考えています。

以上、株式会社hacomono IoT部 マネージャー 岩貞 智氏のセッションサマリーでした。

IoTを活用したQR入退館デバイス開発の詳細は、以下のリンクよりご覧いただけます。

― ソラコム 藤林 (miyuki)