みなさんこんにちは、ソラコムマーケティングの熊崎です。
先日行われた LoRaWAN Conference 2017のキーノートの講演を書き起こしブログをお届けします。当日来られなかった方、ご都合の合わなかった方に是非、新発表の詳細、ソラコムの思いを感じて頂ければと思います。
- LoRaWAN Conference キーノート 全文書き起こし(1)
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- LoRaWAN Conference キーノート 全文書き起こし(3)
- LoRaWAN Conference キーノート 全文書き起こし(4)
SORACOM のLoRaWAN への取り組み
玉川:今日の本題、LoRaWANへの取り組みです。昨年5月にLoRa Allianceの参入メンバーであるM2Bコミュニケーションズ様に出資し、私も取締役としてビジネスの協業を開始しました。このLoRaWANの特徴は無線のテクノロジーで、免許不要な920メガヘルツ帯を使い、Wi-Fiのようにどこでも置けて、数キロ飛びます。そのため、モジュール側は小さく作り込めるので、単価が安くなり約数百円ぐらいと言われ、乾電池で数年動く低消費電力です。一方で送れるデータの容量は非常に少ないです。11バイトを数秒間に1回ぐらい送れる程度で、低消費電力で、距離が飛ぶというメリットがあります。更にLoRaWAN自体は、LoRaのネットワークサーバーと言われるサーバー側の仕組みも込みになっているので、データを上げるときに、IPで変換され、受け取る所の標準まで決まっています。そのため、全て自分で設計する必要がありません。八王子でM2Bが実験をした際、58万人が住んでいる八王子市を、LoRaの基地局5個でカバーできたそうです。通信距離を補うテクノロジーです。我々は日本の中でも、初期からLoRaWANに取り組んでいます。
LoRaWANPoCキットを使った面白い取り組み
ソラコムでは2016年の7月にLoRaWANのPoCキット(実証実験キット)を発売開始しました。LoRaWANは若い標準で様々な会社が参画できるため、デバイス、ゲートウェイ、LoRaWANのネットワークサーバー、アプリケーションサーバー等が存在しています。お客様が使い始めると、その組み合わせを自分で選定・検証し、使い始めなければいけません。それは非常に大変なので、ゲートウェイ(LoRaの基地局)、デバイス、ネットワークサーバー、それからコンサルティングとトレーニングもパックにしてPoCキットという形で提供を開始しました。
より簡単に使っていただくために、ソラコムではLoRaのPoCキットではLoRaゲートウェイにSORACOM AirのSIMカード入れた状態で提供しているので、ゲートウェイをどこでも置いて始められます。ゲートウェイ設置場所から数キロ、LoRaデバイスがつながります。LoRaデバイスからデータを送ると、ゲートウェイを経由して、SORACOMのSIMを経由して、セルラー回線でSORACOMのネットワークサーバーに入り、そこからお客様のサーバーもしくはSORACOMのストレージに入れることができます。より簡単に使うために、SORACOMのプラットフォームと統合していますので、お客様はLoRaデバイスをウェブのコンソールで管理して使うことができます。SORACOMプラットフォームにはアプリケーションサービスがあると話ました。例えば、SORACOM BeamはLoRaで送ったデータを、既存・新規のサーバーにHTTPやHTTPSでデータを送信でき、簡単にシステム連携が出来ます。クラウド利用時は、SORACOM Funnelを利用することで、例えばAmazonのKinesisというIoTサービスや、AzureのIoT Hubを使い簡単にデータが送れます。
このPoCキットは、既に多くのお客様が使っています。例えば、北海道の帯広のファームノート様は、酪農・畜産業向けに非常にスマートなアプリサービスを提供されています。牛管理のアプリとしては、マーケットシェアNo.1の会社です。ファームノート様にもLoRaの実証実験で活用いただきました。牛の首にLoRaデバイスを付け、この牧場にLoRaゲートウェイを設置し、牛の位置情報を1分ごとに取得しています。牛がどこで草を食んでいる所から、搾乳場所まで戻っているかというデータを取っています。牛にもいじめがあるらしく1頭はぐれているような牛がいると、乳の出が悪い事がわかってきたと聞いており、非常に面白い取り組みだと思っています。
また博報堂アイ・スタジオ様は、携帯通信網がつながらないような山で、LoRaのデバイスを登山者に持ってもらい、登山者データを取る新しいサービスを今年提供開始予定です。