SORACOM で HSS/HLR の開発を担当している小熊 (ogu) です。
みなさん、SORACOM Air のグローバル SIM、使ってますか?
私が開発している HSS/HLR は、SORACOM の グローバル SIM がいろいろな国で通信できるようになるために働く、SORACOM のコアコンポーネントの一つです。
具体的には、SIM が現地オペレーター(携帯電話会社)のネットワークに最初にアクセスした際に、そのオペレーターから、
「SORACOM の SIM がウチのネットワークに接続してきたけど、この SIM は本当に SORACOM の SIM ですか?」
ということで、SIM の認証を行うための問い合わせがやってきます。
SIM の認証に成功すると、その SIM が本当に SORACOM が発行した SIM だということがわかります。
3GPP の標準で定められた手続きにのっとって認証を行っており、偽物の SIM を作ってそれで偽って接続したりすることはできません。
続いて、現地オペレーターからその SIM がどの制御装置 (VLR とか SGSN、MME などといいます)の配下に接続しようとしているかというメッセージがやってきます。
たとえばその SIM に SMS を送ったりしたい場合は、その制御装置を経由して送信する必要があるので、HSS/HLR はその制御装置のアドレスなどを覚えておく必要があります。
HSS/HLR は現地オペレーターの制御装置に対して、「この SIM の通信速度は上限をこの速度にしてください」といったような、プロファイル情報を渡します。
場合によっては、「この SIM はあなたのネットワークには接続させないでください」というレスポンスを返すこともあります。
さて、前置きが長くなりましたが、SORACOM Air のグローバル SIM はそのように HSS/HLR が各国のオペレーターの制御装置とやり取りをすることで通信ができるようになります。
そしてこの「各国のオペレーターの制御装置」ですが、いろいろなメーカーのいろいろな製品があります。
すると、こちらからは全く同じプロファイル情報を送っているのに、ある国のあるオペレーターでは通信できるのに別のオペレーターでは通信できない、といったようなことが起こる場合があります。
これにはいろいろな理由があるのですが、それを一つずつ解決して、接続可能国数や接続可能オペレーター数を少しずつ拡大していっております。
2018年5月25日現在、plan01s の SIM が対応している国・地域の数は、3G が 109、LTE が 23 です。
詳しくは、グローバル向け Air SIM のページ をご確認ください。
最近 3G で接続可能になった国の中には、Faroe Islands というところがあります。
イギリスとアイスランドの間くらいにある島国のようですが、検索してみると まるでファンタジー映画のような絶景があるところのようです。
いつかこういうところに行ってみたいものですね。
HSS/HLR の開発のお仕事をしていると、地球上にはまだまだ行ったことのないところがたくさんあるなということを思い知らされます。
そして地球上のあらゆる場所で SORACOM の SIM が使われて通信が行われるようになるということを想像すると、感動のような思いを覚えるとともに、私たちの果たす役割や責任の重大さを再認識します。
ちょっとエモくなってしまいましたが(笑)、SORACOM Air グローバル SIM をお使いのみなさまが、世界中のあらゆる場所を舞台にご活躍される日のために、今後も着々と接続可能エリアを拡大していきたいと思いますのでご期待ください!
ogu