こんにちは。広報のkyonです。前回SORACOMの伝道師、エバンジェリスト max に、長距離移動しながら仕事をこなすための仕事術、そして心に響くプレゼンテーションの作り方 について聞きました。
今回はIT系のサービスや製品の紹介時に、顧客や聴衆の前で実際にデバイスやソフトウェアを操作しながら説明するプレゼンテーションのスタイル「ライブデモ」についてお届けします。ライブデモに成功の秘訣はあるのでしょうか?
松下 享平 / max
株式会社ソラコム テクノロジー・エバンジェリスト
Twitter:ma2shita(気軽にフォロー&お声かけ下さい)
企業・開発者にIoT活用とSORACOMの価値をご紹介するエバンジェリストとして全国各地を飛び回る。
多数の事例を通じた「IoTの活用法、始め方」の解説の他、デバイスメーカーでの経験を活かし、ネットワーク・デバイス・クラウドといった複数の専門分野をまたがる技術解説が好評。
共著に「SORACOM入門」(日経BP社)、「IoTエンジニア養成読本」(技術評論社)
ライブデモの準備
Q:ライブデモとはどういうものなのでしょうか?
max :実際にその場でリアルタイムで製品・サービスを操作しながら説明するデモンストレーションの形式です。ライブデモをすることで、その製品やサービスの便利さを実感してもらうことができます
Q:ライブデモで便利さを伝えるんですね。
max :「意外と簡単」を感じていただくためには、準備から結果がでるまでが5-7分程度、その時間内で終わる内容ならライブデモでその価値をお伝えできると思います。ダラダラと長いライブデモはまとまりません。
Q:5−7分以内で終わる内容を考えるわけですね
max :ライブデモの目的は「意外と簡単」と感じていただくことです。「すごい!」と思っていただく必要はありません。ここはとても大事なポイントです。
ライブデモのシナリオ作りは3週間前から
Q:ライブデモのシナリオはどう決めていきますか?
max :デバイスの準備が必要なIoTのケースでは、本番の3週間前にはシナリオを決めます。プレゼンのストーリーに合わせて「何を簡単だ」と伝えるか、そのために必要な機材をリストアップして、今ないものは手配します。2週間前には、シナリオ通りに一度動かしてみます。
1週間前には仕上げです。ライブデモとしては完成します。どこを強調して見せたいか、そのために初期セットアップはどこからスタートすればよいかなどを決めます。どこからやれば、お話を聞いてくださるお客様が「自分でもできるかも」と感じていただけるかチェックします。
Q:残りの1週間は何をするんでしょうか?
max :練習する!の一言に尽きます。どこで失敗する可能性があるか、あらゆるケースをあぶり出すことが大事なのでいろんな環境で練習します。私は前回の記事でご紹介したように長距離通勤に加え出張が多いですので、オフィスの中はもちろん、新幹線の中でも練習します。(笑)環境が変わると「あ、ネットワークが弱いとこういうことが起きるのか」「ここは手元の切り替えが難しいな」といった様々な気付きが得られます。とにかくいろいろな場所でやってみます。
そして前日は荷物の準備。そして迎えた本番当日は、21回目の練習みたいな気持ちで挑みます。
かっこいいライブデモを助けてくれる道具
Q:ライブデモをやるにはまず何を準備すれば良いですか?
max :私が普段ライブデモ用に準備しているモノを紹介します。
- HDMI/D-Sub変換器
- HDMIケーブ
- クリッカー(コクヨ製 黒曜石)
- ウェブカメラ
- USB給電の小型ライト
- リップクリームとニベア(ハンドクリーム)
- マスク
- 龍角散
- FITBIT
Q:それぞれ解説お願いできますか?
max :まず、ケーブル類。プロジェクタに投影することができるよう、HDMIとD-Subは、接続確認済みの変換プラグを両方用意しておきます。HDMIケーブルは、講演会場などではケーブルが断線などで故障しているケースがたまにありますので常備します。短くてもクリッカーがあればなんとかしのげます。
クリッカーは、KOKUYOの黒曜石を愛用しています。リング型で指にフィットして使いやすいです。
Q:次にウェブカメラですか。
max :これはIoT、SORACOMを使うデモに必要な項目かもしれません。IoTの場合はセンサーとAruduinoやRaspberryPiなどのマイコンデバイス、USBドングルなどの通信モジュール、SORACOM IoT SIMを組み合わせて、その場でモノとクラウドをセルラー回線で接続しデータを送信するようなデモになります。デバイスとセンサーなどは小さいので、会場では見えません。カメラでライブ撮影してスクリーンに投影することで、臨場感あふれるライブデモになります。
手元にカメラがない場合は、パソコンについているカメラを用いてWindowsなら「Camera Viewer」、Macなら「QuickTime」を利用して撮影しながら投影するという方法もありますが、プレゼン操作も考えると慣れていないと操作が難しくなります。
Q:IoTのライブデモではウェブカメラは必須なんですね。
max :そして「USB給電の小型ライト」があると便利ですよ。たいてい登壇席は手元が暗いんです。ライトがあればさっと明るくデバイスを照らすことができます。それ以外にも、暗い場所で光源がある場合その照り返しを防ぐためにも使えます。Amazon.co.jpで数百円で手に入ります。
Q:次は・・・お手入れセットですね。
max :講演に声は必須です。なのでマスクと龍角散。そして、ニベア。これもIoT特有ですが、デバイス設定をライブ動画でお届けする際に手元が写りますので、エバンジェリストはハンドケアも大事ということで(笑)
Q:そしてFitbitですか?講演中の歩数をカウントしているんですか?
max :いやいや、カウントタイマーとして使います。バイブレーションで5分前に知らせます。とはいえ腕につけるとライブデモ中だと気になってしまうので、ポケットに入れておきます。
Q:ライブデモは時間管理も大変ですね。
max :聴衆の反応をいただくと、追加の話も折り込みたくなってしまいます。私も時間管理方法はまだまだ研究中です。良い方法があれば教えて下さい。
ライブデモに挑戦しよう
Q:ライブデモをする機会はこれからまだまだ増えますか?
max :「意外と簡単」に使えるテクノロジーが増え続ける以上、ライブデモが必要となるシーンは今後も増えるでしょう。スライドを用いたプレゼンテーションが上手な人はいても、ライブデモの達人はまだ少ないですので、今がチャンスですよ。
IoT界隈の技術はさらに民主化されて使いやすくなるはずです。「簡単にできるの?やって見せてよ。」と言われたら、「できるよ!」と応じられるとかっこいいですね。まずは勉強会のLTなどから挑戦してみてはいかがでしょうか?
3回に渡ってお届けしてきたエバンジェリスト max の仕事術シリーズは今回で一旦終了になります。こんな事も聞きたいという方は、ぜひTwitterなどでmaxに聞いてみて下さい。