こんにちは、プリンシパルエンジニアの松井です。
2016年の SORACOM Connected. で SORACOM Canal / Direct (VPG Type-C/D) が登場してから早くも4年半が経過しました。その間、様々なユーザ様のユースケースでご利用いただき、貴重なフィードバックもたくさんいただきました。
本日、その4年目の回答として、新世代の VPG Type となる VPG Type-E / Type-F がリリースされました。
その特徴などをご紹介したいと思います。
VPG(Virtual Private Gateway) とは
VPG を一言で説明すると、ユーザごと・用途ごとに独立したモバイルネットワークを構成するための基本となるコンポーネント、となります。モバイルネットワークを構成するためのパケットゲートウェイ装置を、(実質的に)自分専用に持つことができます。
これまでも SORACOM Canal や Gate、Direct や Door といったサービスをご利用になるにあたっては、VPG を作成してグループに割り当てることで、デバイスを閉域網に接続したり、Gate でデバイス間通信をしたり、と利用されていた方も多いでしょう。
VPG に関する詳しい説明は、Virtual Private Gateway 開発者向けガイドをご参照ください。
新世代のVPG
新世代の VPG Type は、インターネット接続に特化した VPG Type-E と 閉域網接続が可能な VPG Type-F の2つとなります。
新世代のVPGはこれまでと何が違うのか
新世代の VPG Type となる VPG Type-E / Type-F は、これまでの VPG Type である VPG Type-C / Type-D の後継となります。こちらが機能比較表になります。
簡単に言えば従来タイプ(Type-C/D)に比べて新世代(Type-E/F)は「価格メリット」があり(ユースケースによります) 、また「新しい機能」が使えるという点が異なります。
価格メリット
まず閉域網以外の用途に VPG Type-C を使っていらっしゃった方は、VPG Type-E がサポートする VPG の基本機能(後述)で要件を満たす場合には基本料金が 5分の1 となります。
また現在 VPG Type-D を使って専用線やVPNによる閉域網接続を利用されている場合、VPG Type-F に移行されることで VPG の基本利用料金が 6分の1 となります(※)。
(※) Type-D 基本料金に含まれていた1本目の VPN 利用料金については、Type-F では1本目から発生する点にご注意ください
新しい機能
本日同日リリースとなった SORACOM Peek のご利用やグローバルカバレッジで VPG ランデブーポイント を利用するためにリージョンを指定した VPG の作成、AWS Transit Gateway との閉域接続(Type-F のみ)など、従来の Type-C/D ではお使いになれず、新世代の VPG でのみお使いいただける機能がございます。また今後の機能拡張についても、新世代 VPG でないと実現ができない機能である場合は、既存の VPG Type-C/D ではお使いいただけない場合もありますため、ご注意ください。
VPG タイプの選び方
ユースケースにより利用する VPG Type の選び方がこれまでとは変わっています。
簡単にまとめたのが下記の表になります。
用途 | 旧世代 | 新世代 |
---|---|---|
(閉域網接続以外の)基本機能(※) | VPG Type-C | VPG Type-E |
閉域網接続(AWS) | VPG Type-C | VPG Type-F |
閉域網接続(専用線/VPN) | VPG Type-D | VPG Type-F |
(※) 閉域網接続以外の用途としては、以下のような機能があります
- SORACOM Gate D2D (デバイス間通信)
- VPG アウトバウンドルーティングフィルター
- VPG 固定グローバル IP アドレスオプション
- SORACOM Beam/Funnel/Funk のサービス利用料金が無料
- カスタムDNS、CHAP認証機能の利用料金が無料
シンプルに「閉域網接続をしない場合には Type-E」「閉域網を利用する場合は Type-F」をご選択いただくとお考えください。
移行について
現状、既存の VPG Type-C/D でお使いいただけている機能は全て新世代の VPG でもご利用いただけますので、移行ガイドを参照いただき、VPG Type-E または F への移行をご検討ください。
最後に
これまでの VPG は (主に) Canal 用を Type-C、Direct/Door 用を Type-D としていましたが、Type-E/F の E や F は何を表すのでしょうか。
実はこれについては、答えはありません(笑)。皆さんに使って欲しいという意味で Type-Everybody、おトクに使える Type-Economy。機能が全部のっている Type-FullArmor、最後のタイプとなるかもしれない(?) Type-Final、など、いろいろ想像してみてください。
サービスの概要を紹介したプレゼン動画を用意しています。ぜひご覧ください:
実際に使ってみたい方はこちらをご参照ください:
ソラコム 松井