みなさま、こんにちは。
IoTの活用シーンは、コンシューマサービスとしての展開、工場など施設の見える化、業務の自動化に向けた取り組み、と様々な用途に広がりを見せています。同時にIoTを使った問題解決に取り組むビジネスパーソンやエンジニアの方も増えてきていることを実感しています。
このような背景からソラコムでは、これからIoTを使って問題解決を検討しているビジネスパーソンやエンジニアの皆さまと共にオンラインで共に学ぶ勉強会として「SORACOM IoT Meetup」を立ち上げました。
2021年5月13日 開催の第一回:SORACOM IoT Meetup 〜現場のデータを集めたその先へ〜
(イベントページの下部には公開資料が掲載されています。)
2021年7月6日開催の第二回:SORACOM IoT Meetup #2 〜IoTで活用できるサーバーレスアーキテクチャーを学ぶ〜
(イベントページの下部には公開資料が掲載されています。)
このブログでは開催報告として学びをギュッと凝縮して振り返っていきたいと思います。
第1回「現場のデータを集めたその先へ」を振り返る
第1回目は「現場のデータを見える化させる」という点に着目し、様々な産業から4名のゲストに具体的な事例と取り組みの手順をご紹介いただきました。本ブログではオルガン針株式会社 田中 健太朗さんの発表内容を共有します。
オルガン針株式会社は暮らしに寄り添うミシン針や手芸用のフェルト針などを製造販売する、創業 100年を超える会社です。「IoTで実現する工場設備の可視化」というタイトルで事例をお話いただきました。
データが見えるようにする狙いは、稼働記録の自動化、故障時の迅速な対応、機器の調整時間や設備ごとの生産能力の把握と改善といったあたり。しかし田中さんは事前にこれらの効果すべてを予見できたわけではなく、データが見るようになったことで想像していなかった別の価値がうまれた側面もあると言います。これから取り組む方に向けて「目的ははっきりしないけど、とりあえずデータを取ってみたい」という進め方もありだと思うとのこと。
設備の可視化にSORACOMサービス、PLC連携もパートナーデバイスで実現
工場設備の可視化に向けた具体的なステップとしては、まず計測に必要なセンサー類を選定、データ通信も社内インフラに負荷をかけない携帯電話通信(セルラー通信)を選択、さらには機器のデータ通信から送られるデータの格納場所や可視化のダッシュボードを SORACOM に集約したことで、スピード感を持って結果を出すことが出来たと言います。この段階では特にダッシュボード作成/共有サービスの SORACOM Lagoon が活躍したということです。
そこから改善のプロセスを回すのですが、そこでは自社製造設備にPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)が搭載されていることに着眼し、ソラコム 認定デバイスの中からPLCのデータ連携が容易で SORACOM Air for セルラー でデータ通信できるデバイスを探したところ、コンテック社のM2M Gateway を見つけ、本格稼働へと展開したとのこと。
ちなみにコンテック社はSORACOMの認定済みパートナーとして、産業用コンピューターやPLC接続に長けているデバイスを展開されています。
これから取り組む予定の参加者の方々は、まずは「スピード」を優先して現場のデータを見えるようにする、という点に大きく共感されていました。
オルガン針様の資料以外にも、イベント資料をこちらからご覧いただくことができます。
第2回「IoTで活用できるサーバーレスアーキテクチャーを学ぶ」を振り返る
2回目のMeetupでは主にエンジニアの方に向けた内容で開催しています。IoTシステム開発において活用が進む「サーバーレスアーキテクチャ活用」をテーマとして開催しました。
AWS / Microsoft Azure / Google Cloud それぞれのサーバーレス IoT が一堂に
必要なタイミングのみサーバーを生成することから「サーバーレスアーキテクチャー」と言われるシステム構成は、Webサービスだけでなく業務システムでも利用されるケースが増えてきました。この流れはIoTシステムの構築でも同様です。
AWS Lambda、Azure Functions、Google Cloud Functions といった代表的なサーバーレスサービスを活用したIoTシステム構成の知見について、クックパッド 石川さん、KDDI DIGITAL GATE沖縄 栗木さん、神戸デジタル・ラボ 中西さんにゲスト登壇いただきました。
本ブログでは、KDDI DIGITAL GATE沖縄 栗木さんの発表内容を共有します。
栗木さんはデザイン思考とアジャイルのアプローチで沖縄県の法人企業・スタートアップの業務改善や新規サービス検討を支援されています。その中で今回は、大規模スポーツイベントへの来場者向け体験の向上と運営の最適化を目指して開発した「アクセスナビゲーションシステム」の事例をお話いただきました。
イベント来場者の移動体験を向上させるために、注力したのは移動手段の要となるシャトルバスの運行状況、そして来場者が自家用車を止めておく近隣駐車場の空き情報でした。どちらも異なる利害関係者との調整が必要になること、そして現場の方はいずれもデジタル化に対する抵抗感をお持ちであったと振り返ります。栗木さんは開発展開のフェーズを小さく区切ってフィールドテストと現場でのインタビューを実施。機能面だけでなく、バス運転手さんや駐車場の管理者さんにとっての心理的負担にならないデバイス設置方法やデバイスのインターフェース(外装や利用手順を含む)に着目をし、良い成果へとつなげたと語ります。「人に優しいデジタル化で誰も取り残されないことを考慮した」という言葉が特に印象的でした。
サーバーレス IoT は「運用管理やビジネス面で見ても不可欠」
そしてサーバーレスアーキテクチャの部分ですが、サービス構成図にあるように Google Cloud を活用されています。IoTシステムにおけるサーバーレスアーキテクチャの考慮点として特徴的なのは現場データの入力経路がIoTデバイス経由になる所です。デバイスからクラウドへのデータ送付部分までデバイス側に実装また、独自に中継サーバーを開発することも可能ですが、栗木さんは開発コストを大きく割くようなことなく SORACOM Beam / SORACOM Funnel の機能を使ったクラウドデータ連携をしたことが開発スピードを早めることにつながったと言います。
スピードに加え、現場の声を聞きながら素早い仮説検証を繰り返す開発においては、特にサーバー管理が不要、利用時のみ課金といった運用管理やビジネス面からもサーバーレスの活用が不可欠と解説されていました。
栗木さんの資料はKDDIファイルストレージサービス(Web公開用)のリンクからPDF形式でダウンロードすることが出来ます。また、イベント資料のページでは、IoTで活用できるサーバーレスの解説をはじめとして、AWSを活用したクックパッド様のブログやMicrosoft AzureのサーバーレスIoTの実現をした神戸デジタル・ラボ様の資料をご覧いただくことできます。
そして第二回は登壇者の皆さまに動画公開もOKいただきました!見逃した方や当日参加された方の内容の振り返り用としてご活用ください。
ミートアップならではの懇親会
SORACOM IoT Meetup ではZoomミーティングのブレイクアウトルーム機能を使って懇親会も開催しています。
事業会社で自社の問題を解決したいと考えて参加される方、すでにIoTへの取り組みは実施しているがさらに学びを深めたい方、IoTデバイス開発メーカーの技術者だがIoT活用の最前線を学ぶために参加というパターンもありました。懇親会もオンラインということに、正直物足りなさも感じますが、移動せずとも全国から様々の立場の方が集まれる良さがあるのも実感しています。
これからもSORACOM IoT Meetup は継続開催していきますので、次回以降も楽しみにしていてください。
なお、ソラコムの開催するオンライン勉強会の多くはIT勉強会支援プラットフォーム Connpass で告知をさせてもらうことが多いです。こちらのグループメンバーとして登録してもらうと、今後開催される勉強会イベントのお知らせを受け取ることができるようになりますので、ご興味ある方は気軽にグループメンバーとしてご参加ください。
ー ソラコム 伊佐