本日は、先日公開したばかりの水族館のデジタル化のIoT活用事例をご紹介します。
IoTを活用し水族館の水位異常を検知、漏水事故防止で安全な展示を実現
センサや通信を使った業務のデジタル化は、水族館でも取り入れ始めています。来場者の視点からみると、チケットの予約や、展示されている魚についての説明などでデジタル化が進んでいると感じるかもしれません。
今回は水族館の舞台裏、水槽のメンテナンスや管理作業の効率化、ミス防止にIoTが活用されている仕組みの話です。
どんなところにIoTが使われているのか、一部抜粋してご紹介します。
水族館に欠かせない水設備の管理を効率化したい
アクアリウムを核に、舞台美術やデジタルアートが融合する劇場型アクアリウム「AQUARIUM x ART átoa(アトア)」(神戸市中央区新港町、運営:株式会社アクアメント)。この水族館の施設では、現在IoTを活用した漏水防止の研究が行われています。
水族館には、展示用はもちろん、生育用の水槽や給水などの設備を含めると多数の水設備があります。水族館の従業員は、水族の世話だけではなく、これらの水設備をメンテナンスする必要があります。
予期せぬ濾過水槽でのパイプのつまりや電源などのトラブル、設備の老朽化に加えて、水槽の水の入れ替え時の給水ミスなど、漏水の可能性は様々な場面にあり、課題となっている施設が少なくないそうです。
ソラコムのパートナー2社が協力して課題解決を支援
今回の水族館のデジタル化を支援した神戸デジタル・ラボ(KDL)は、水族館の漏水防止に注目。静電容量式水位センサを提供する帝国通信工業とともに、漏水防止ソリューションの開発に取り組みました。
神戸デジタル・ラボは、「デジタルで未来を創る」をスローガンに、デジタルビジネスを軸に、事業開発・DX支援、デジタルプロダクトやアプリ開発、情報セキュリティサービスなどを提供する独立系ベンダーです。
帝国通信工業は、フレキシブルなフィルム素材とプリンテッドテクノロジーをベースとした「フィルム・インテグレーション・テクノロジー」を中心に、設計自由度の高い各種センサの開発に実績を持つデバイスメーカーです。
この2社は、IoTプラットフォームSORACOMの活用に実績をもつSPS認定パートナーで、今回は協力して、デバイスからクラウド連携、ダッシュボード作成まで一気通貫で支援しています。
水族館の漏水検知を防ぐ仕組み
共同研究では、水族館の現場に知見があるátoaのスタッフとディスカッションを重ねながら、手軽に導入できて設置が簡単で、かつ問題があった場合には手元のスマートフォンで通知が来る仕組みを開発することになりました。
帝国通信工業が、フィルム式の静電容量式センサを水族館向けに改良した「No-Blue(ノーブル―)」を開発。KDLは、センサまで水位が達すると、飼育スタッフのスマートフォンのメッセンジャーアプリ「LINE」に通知が届く仕組みと、検知データを可視化する仕組みを構築しました。
このシステムの通信部分にはSORACOM LTE-M Button Plusが、可視化とアラート通知には、データ収集・蓄積サービスSORACOM Harvest Dataと、ダッシュボード作成・共有サービスSORACOM Lagoonが使われています。
3者は、引き続き、漏水検知ソリューションの適用範囲を拡げるとともに、水槽の巡回にカメラを代替活用するアイディアなど、水族館のデジタル化をすすめていくとのことです。
水族館のデジタル活用をお考えの方、同様の水設備点検の効率化やアラート通知に関心がある方は、この事例の詳細をご覧いただき、帝国通信工業、神戸デジタル・ラボにご相談ください。
― ソラコム田渕