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スイングバイIPOにて、ソラコム本日上場

株式会社ソラコムは、本日(2024年3月26日)、東証グロース市場(証券コード:147A)へ上場いたしました。スタートアップが大企業の支援を受けて上場を実現する、「スイングバイIPO」となります。

現在に至るまでソラコムの成長を支えてくれたチームメンバーとそのご家族やパートナー、お客様、パートナー企業様、KDDIやWiLをはじめとする株主や投資家の皆様、全てのステークホルダーの皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございます。

2014年の創業以来、「世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会へ」というビジョンを掲げ、「テクノロジーの民主化」のミッションを達成するために、ソラコムのリーダーシップ・ステートメント(ソラコムメンバーの行動指針)を作成し、それに共感するメンバーが集まることで事業を成長させてきました。

これまで「お客様がIoTサービスの創出をより簡単にできる」を目指して、IoTプラットフォームSORACOMを提供してきましたが、おかげさまで2万以上のお客様にお使いいただき、600万以上のデバイスがSORACOMを通じて繋がっています。またサービス開始以来、米国、欧州にもオフィスを置いて、グローバルプラットフォームとして取り組んできましたが、グローバルの売上も、全体の30%を超えています(2024年3月現在)。

私たちの上場が、日本、世界のお客様にとって、さらなる安心感となれば幸いです。

“スイングバイIPO” ― 誕生の背景と裏話

私たちソラコムは、2014年に創業してから、2017年にM&AによりKDDIグループへ参画しました。その際に、KDDIによるM&Aを、「Exitというより、むしろ、これまで単独では届かなかった領域に道を拓くEntrance」と当時のブログで表現しました。

大企業の一員になることで安心するのではなく、その力を使って、「世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会へ」というビジョンの達成に邁進したい。特に、「世界中」という言葉は、言うのは簡単ですが、これまで日本発のIoTスタートアップが真のグローバルプラットフォームになりえたことはありません。そんな歴史の事実を突き抜けて、必ずや「グローバルプラットフォームになる」。そのための道として選んだのが、夢と志を共有することができたKDDIグループへの参画でした。

じつは、当時は「スイングバイIPO」のようなコンセプトは、まだ産まれていませんでした。我々がその時に考えていたのは、ただただ、「自分たちのプラットフォームを、世界中のもっと沢山のお客様に使って頂けるようになりたい」ということでした。

そして、KDDIの支援もいただきつつ、事業に邁進しているうちに、沢山のお客様に使っていただけるようになり、M&A当初は8万回線であったものが、2019年には100万回線を超えることができたのです。こうして大きな基盤が整ってきた中で、創業メンバーとも相談したところ、さらに事業のアクセルを踏めば、そして、色々な事業会社と資本連携/業務連携をすれば、我々の創業以来の夢であるグローバルプラットフォームにより早く近づくことができると考えました。

そこで、2019年の秋に、KDDI髙橋誠社長をはじめ、経営チームの皆様に、さらなる成長戦略のアイデアとして、上場の相談をさせていただいたのです。髙橋社長は言うまでもなく、皆様が、我々の「グローバルプラットフォームになりたい」という夢に対してサポーティブでした。一点だけご要望を頂きました。「ソラコムが一度グループに入って、それから上場していくとなると、事情を知らない外部から見ると疎遠になる印象もあるから、何かポジティブなメッセージを考えてほしい」と言われたのです。家に帰って、頭を悩ませました。

その時、ふと思い出したのが、KDDIグループに参画した直後の2018年の年始の出来事。チーム全員でその年のスローガンをディスカッションしていました。創業メンバーの一人であるエンジニアのogu(注: ソラコムでは全メンバーのことをnicknameで呼びます)が、宇宙用語「スイングバイ(※大きな惑星の引力を使うことで、宇宙船や探査機を再加速し、より遠くまで進む技術)」を比喩として持ち出して、「KDDIという大きな惑星の引力により、宇宙船であるソラコムも大きく飛躍したい」、と言ってくれたのです。

その言葉を思い出し、びびっときました。その「スイングバイ」と「IPO」をくっつけると、「スイングバイIPO」。まさに、大企業であるKDDIの支援を得てスタートアップであるソラコムがIPOをし、はるか遠くにある大きな目標と未来へ旅を続ける。我々が成長のための手段として選ぼうとしている “航法” として、最適な言葉だと思いました。

髙橋社長も「そのコンセプトで行こう」と後押しして下さり、そうして、大きな船が動きはじめたのです。

「スイングバイIPO」実現に向けて

2020年のSORACOM Discoveryという年に一度のイベントで、髙橋社長と一緒に「スイングバイIPO」のコンセプトを発表しました。

2021年の春には、さらなる成長とグローバル展開を加速させるため、セコム株式会社、ソースネクスト株式会社、ソニーグループ株式会社、日本瓦斯株式会社(ニチガス)、株式会社日立製作所、World Innovation Lab(WiL)の6社様と資本提携を含むパートナーシップを発表しました(プレスリリース)。

2022年11月には遂に上場申請するものの、株式市場の動向などを総合的に勘案して上場申請を取り下げました。この時は、市況の動向とはいうものの、皆様の期待に応えることができず、大変悔しい思いをしました。

しかし、満を持して、2023年11月に再度上場申請し、WiL様、Suzuki Global Ventures様、アセットマネジメントOne様に親引けという形で支援をいただきつつ、この度、遂に「スイングバイIPO」を実現し、上場することができました。

上場のご報告を広告で ― ボツ案も公開!

今回、上場日26日の新聞朝刊で1面広告を出す機会を頂けました。
新聞広告には、ソラコムの会社概要やビジョンなどを全面に出すアイデアも勿論ありました。

しかし、今回は、スイングバイIPOの引力となっていただいたKDDI、ソラコムの創業期からのリード投資家であり、6社出資から今回のIPOの親びけに至るまで支援いただいたWiLの3社のメッセージとしての「スイングバイIPO」をテーマにすることにしました。

この難しいプロジェクトを手伝っていただいたdofの齋藤太郎さん率いるチーム(アートディレクター CC社の戸田宏一郎さん、コピーライター 五島列島なかむらただし社の中村直史さん、プロデューサー dofの石井岳さん)には、我々の立場に立って親身に考えていただき、思いを汲み取っていただいた素晴らしい文章とデザインを作って頂きました。

以下の文章のドラフトが出来上がり、オンラインミーティングではじめて読み上げていただいた時、これまでのことが走馬灯のように頭に浮かび、思わず感涙してしまって、恥ずかしながら感想を一言も発することができませんでした。

見送りとなったボツ案 ― しかし、とても感動したのを覚えています!

「日本の重力を、突き抜けるために」というコピーは、読んだ瞬間に惹きつけるものがあり、私はこのコピーを非常に気に入りました。

どんなに難しかろうと、日本にとどまらずグローバルを目指す意志がそこには込められていました。そして私達のサービスを利用して、DXや新しい価値創造に挑まれているパッションあふれるユーザーのみなさまを思い浮かべて、一緒に現状を突き抜けて世界中のモノとヒトが共鳴し合う時代を見たい、という熱い想いがあふれてくるのを感じました。

しかしながら、この「重力」という言葉のもつ力強さの反面、ネガティブな印象を持たれる可能性に懸念があり、なにより、ソラコムのリーダーシップの一つである、”Likability” にもそぐわない可能性がありました。社内でも何度も議論を重ね、最終的にこの言葉は今回は使わない「ボツ案」となりました。

dof様チームやチームメンバーとも議論させていただいた結果、もう少しまろやかな、ソラコムらしい “Proactive” 未来を明るく肯定するメッセージとしました。それが「彼方へまで、飛ぶために。」です。

スイングバイIPOを “Proactive” に表現したコピー

そして、紙面のデザインとしては、スイングバイのコンセプトの絵を入れたわかりやすいものにするアイデアもあったのですが、多くの方に読んでいただけるメッセージを押し出したものを選択しました。

日の目を見なかった「ボツ案」の広告 ― こういう可能性もありました

こちらが、日本経済新聞に掲載された広告です。

2024/3/26 日本経済新聞に掲載された広告

今回「スイングバイIPO」を実現することができ、この新聞広告も世に出すことが出来て嬉しく思っています。私たちの想いをより深くご理解いただけるかもしれないと思い、日の目を見なかったメッセージやビジュアルもここに記録しておきたいと思います。

さいごに

上場は私たちにとって新たなスタートラインであり、ゴールではありません。

IoTテクノロジーはデータ活用社会において、水や電気のようなインフラとなる技術です。今後は、社会の公器として、孫の世代まで誇れる会社として、これまでと変わらず謙虚にサービスを磨き続け、「世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会へ」というビジョンの実現に一層邁進して参る所存です。

今回のスイングバイIPOを経て、ソラコムはKDDIの子会社から持分適用会社となりますが、KDDIとソラコムは、これまでと変わらない緊密な関係を保ち、「新たなIoTビジネスの創出、グローバルIoTビジネス基盤の構築、次世代ネットワーク開発検討、ソラコムのグローバル展開」に力を合わせて取り組んでまいります。

書籍 ”Zero to One 君はゼロから何を生み出せるか (ピーター・ティール (著))” にも、「新しいものを作り出している限り「創業」は続き、それが止まると「創業」も終わる」とありますが、我々ソラコムは今後も、新しいものを作り出していき、第3の創業期を迎えたいと考えています。

お互いを信頼した素晴らしいチームが集い、お客様をワクワクさせる素晴らしいサービスを作ることに全力を捧げてきました。それを今後も続けたいと思います!

まだ生まれたことのない「日本発のIoTグローバルプラットフォーム」を目指します!

テクノロジーイノベーションで、世界をよりよい場所にすることに貢献します!

引き続きの温かいご支援を、どうぞ宜しくお願い致します。

Still Day One

株式会社ソラコム
代表取締役社長CEO
玉川憲 (ken)