国内の3Gサービス終了予定が2026年3月に迫り、IoTシステムの通信方式移行は喫緊の課題となっています。3G停波は、多くの企業や組織が利用しているIoTシステムに影響を与える可能性があり、早急な対応が求められています。
2025年1月29日に開催されたソラコム主催のウェビナー まだ間に合う!3G停波後のIoT通信「IoTシステム更改と最適な通信とは」 では、3G停波に伴う課題解決に最適なデバイスやソリューションが紹介されました。
本記事では、ウェビナーの内容を振り返りながら、3G停波後のIoT通信における注意点や、ソラコムが提供する最新IoT通信プラットフォームを活用した解決策を詳しく解説します。
3G停波を前にした不安 – よくある質問と課題の整理
3G停波を前に、多くの方が様々な疑問や不安を感じていることでしょう。「デバイスを4Gに変えるだけでいいの?」「システム刷新もしたいけど、何から始めればいい?」「クラウド化って難しそう…」といった声もよく聞かれます。
これらの疑問や不安を解消するために、まずは3G時代のIoTシステムについて振り返ってみましょう。
出典:「令和2年版情報通信白書」(総務省)より作成 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd111100.html
3Gの全盛期、2010年前後に構築された多くのIoTシステムは、当時の技術環境に合わせて設計されています。クラウドサービス(AWS IoTなど)はまだ黎明期で、オンプレミス環境が主流でした。そのため、シリアル通信やIPベース通信、閉域ネットワーク、オンプレミスサーバーといった構成になっているものが少なくありません。
3G停波後のIoTシステム – 移行の選択肢
3G停波後のIoTシステムの移行には、いくつかの選択肢があります。
- デバイスのみリプレースする場合
シリアル-IP変換機能を持ったデバイスや、ルータータイプの機器を導入することで、低コストな移行が可能になります。
サーバー側の仕組みに手を入れない場合、現状維持を優先する場合に有効です。ただし、将来的な拡張性やアップデートの可能性は低くなります。 - デバイスとサーバー側の両方を置き換える場合
OSとしてLinuxが採用されている通信機を選定することで、従来のサーバーとの通信プロトコルからクラウドとの通信プロトコルに変更する際の差分を吸収することができます。
クラウド(PaaS, SaaS)への移行を検討する場合、今後の拡張性や運用コスト削減を重視する場合に最適です。
デバイス選定のポイント – 通信方式だけでなく、システム全体を考慮
デバイス選定の際は、通信方式だけでなく、システム全体を考慮することが重要です。
- 必要な通信インターフェース
シリアル、Ethernetなど、必要なインターフェースを確認しましょう。既存システムとの互換性を考慮する必要があります。 - 通信プロトコル
装置との通信プロトコル、サーバー側との通信プロトコルを確認しましょう。プロトコルの変換が必要になる場合もあります。 - エッジコンピューティング
エッジコンピューティングを導入する場合は、対応しているデバイスを選びましょう。データ処理の分散やリアルタイム性が向上します。 - その他
デバイスマネジメントシステム、耐環境性、Dual SIMなども考慮することで、運用管理の効率化や冗長性の確保につながります。
SORACOM 認定デバイスをチェックしてみてください。きっと最適なものが見つかるはずです。どれを選べばいいか分からないときは、ソラコムのSales/SAに相談してください。
事例紹介 – 四国電気保安協会様 × 株式会社システムゼウス
3G停波を契機にIoTシステムを刷新し、業務効率化やサービス品質向上を実現した四国電気保安協会様の事例をご紹介しました。
四国保安協会様の事例では、3G停波を契機にシステム更改を行うのであれば、オンプレミスからクラウドに移行し、そのメリットを最大限に活用することが推奨されています。
同じように、3G停波によるシステム更改を迫られている方の中には、クラウドへの移行を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは、事例の中でクラウドへの移行を担当されたシステムゼウスの飛田様にお話を伺います。
IoTシステムのクラウド導入 – メリットと注意点
IoTシステムのクラウド導入には、多くのメリットがあります。
- 運用コスト削減
サーバーの運用コストやメンテナンスコストを削減できます。 - スケーラビリティ向上
データ量の増加やアクセス数の増加に柔軟に対応できます。 - 拡張性
新しい機能やサービスを容易に追加できます。
また、クラウド移行パターンとしては、
- LIFT → SHIFT
既存システムをそのままクラウドに移行した後、最適化する - PoC → Production
PoCで検証後、本番環境に移行 - 一気にLIFT & SHIFT
既存システムをクラウドへ移行する際に、同時に最適化する
などがあります。
Amazon Web Services (以下AWS)の各サービス(Amazon EC2, Amazon RDS, AWS Lambdaなど)を活用することで、効率的なシステム構築が可能です。しかし、クラウド導入には注意点もあります。セキュリティ対策やデータ管理、ネットワーク環境などを十分に検討する必要があります。
クラウド導入における難所と対策 – システムゼウス社の事例から学ぶ
クラウド導入には、いくつかの難所もありますが、ソラコムのインテグレーションパートナーであるシステムゼウス社の飛田様より、以下のよくある難所とその対応方法をご紹介いただきました。
- セキュリティ対策
閉域網とTLS通信、SORACOMとAWSの仕組みを活用した安全な管理 - データロスト防止
エッジでのリトライ、データ蓄積、バイパスルート作成 - アラート到達時間保証
バッファリングと遅延を考慮したシステム設計
クラウドを活用する際は、クラウドに関する専門知識に加えて、IoT分野における固有の技術や業界特有の背景を理解していることが重要です。そのため、最適なパートナー選びが重要になります。ソラコムでは、お客様に最適なパートナーをご紹介できますので、お気軽にご相談ください。
まとめ – 3G停波はIoTシステムの進化のチャンス!
3G停波対策の重要性と、将来を見据えたシステム構築の必要性を改めて強調します。ソラコムのパートナーエコシステムと、システムゼウス社をはじめとするインテグレーションパートナーの知見を活用するメリット、IoTシステムのクラウド化と最新技術導入によるビジネスの可能性について解説をしました。3G停波を機に、IoTシステムを最新化し、より効率的で安全な運用を目指しましょう。
― ソラコム井出 (takao)