みなさん、こんにちは。
IoT という単語の後ろに「モノのインターネット」というカッコ書きが最近無くなってる事に気が付いた、ソラコムのテクノロジー・エバンジェリスト “Max” 松下です。
ソラコムでは月1回のペースで「先月公開された IoT 関連のブログや記事の紹介」を通じて、IoT や SORACOM の活用ノウハウをお届けできるようにしております。
※過去の記事はこちらからご覧いただくことができます。
今回は 2020年6月に公開されたブログや記事をご紹介していきます!
SORACOM Air ― IoT データ通信を使う
SORACOM では IoT に最適なデータ通信サービス「SORACOM Air」を提供しています。3G/LTE といったモバイル通信(セルラー通信)だけでなく、Sigfox という省電力の無線データ通信もご利用いただくことができるため、環境や用途に応じてお選びいただけます。実際にお試しいただいた方の記事をご紹介です。
こちらのブログでは、昨今の事情もあり動画配信のニーズが高まっている中で、その配信の回線に SOARCOM の大容量アップロード用 LTE 通信「plan-DU」の使用感を購入からセットアップまで詳細にレポートいただきました!www.yamamanx.com
余ったモバイルルーターを活用したとの事。plan-DU は NTT ドコモの LTE 回線であるため、 SIM フリーもしくは同回線が利用可能であれば使える可能性があり、記事内でも実際に利用できていました。
記事内にもあるように動作確認はお客様自身に行っていただくことになりますが、安心してご利用されたい場合は SORACOM 認定デバイスからお選びいただくこともできますので、ご活用ください。
こちらのブログでは NVIDIA Jetson にセルラー通信機能を付加する方法を詳細に解説いただいています。dev.classmethod.jpNVIDIA Jetson とは AI を高速に実行できる小型コンピュータ、いわゆる「エッジコンピューティング」が実現できるハードウェアとして人気が高まっています。標準では Wi-Fi や有線ケーブルによるネットワーク機能が提供されていますが、ここにセルラー通信機能をつけてどこからでもアクセスできるようにしよう!という試みです。
実はセルラー通信機能は「SORACOM IoT SIM を入れた USB ドングル型モデム」を USB ポートに挿し、数ステップの作業で実現できます。作業手順も上記記事にまとまっていますのでご確認ください。もちろん USB ドングル型モデムも1個からお求めいただけます!
次は SORACOM Air for Sigfox を使ってクラウド連携に挑戦いただいた記事がこちらです。スライドはデバイスの利用まで、そのあとの記事は IBM Cloud でデータを活用する手順となっています。
スライドの3枚目に書かれていますが、5月に開催したブログを書くとノベルティが当たる ― Try! SORACOM キャンペーンにご応募いただき、その当たったデバイスにて記事を書いていただいたとのこと、ありがとうございます!! speakerdeck.com
qiita.comビジュアルプログラミング環境である Node-RED を IBM Cloud 上に準備しておき、そこへデータ転送サービス SORACOM Beam を経由して送り込むという構成です。私はあまりクラウドに詳しくないので IBM Cloud のデータ蓄積先として IBM Cloudant というサービスがあることを知れて個人的にありがたい記事でした!
次のブログは API の活用です。IoT は多くの機器がネットワークにつながります。そうなると必要となるのが管理の仕組みです。SORACOM は Web ブラウザで管理いただける SORACOM ユーザーコンソールをご用意していますが、実は API もありまして、こちらの記事では API から通信回線の一覧を CSV 形式で取得する手順をまとめていただいています。qiita.comAPI からのデータ取得には curl コマンドを利用しています。このコマンドは Linux や macOS だけでなく最近は Windows でも標準で利用できることから、環境を選ばず API を呼び出せます。取得できるフォーマットは JSON という形式であるため、これを jq というコマンド CSV に変換している手順となります。
ターミナル(通称: 黒い画面)を使うため、ちょっと戸惑ってしまうかもしれませんが、これを機に試してみるのはいかがでしょうか?
大人気!GPS マルチユニット SORACOM Edition 活用
「4 つのセンサー/LTE-M/充電式バッテリー」を内蔵し、 SORACOM IoT SIM を挿すだけでセンサーデータが SORACOM Harvest Data を始めとしたクラウドで活用できるセンサーデバイスが GPS マルチユニット SORACOM Edition です。
電子工作いらずで IoT ができるとあって、発売開始から大変好評をいただいており、また、まとめブログでも常連の IoT デバイスですが、今月もご紹介となりました!
こちらのブログのタイトルが「遊ぶ」という言葉が入っていたのでライトな内容かな?と思いきや、最後の「GPSマルチユニットはGPSロガーの代わりになるか?の考察」は、非常に参考になる内容となっているのが、こちらのブログです。qiita.com記事ではクラウドファンクションアダプタ SORACOM Funk から AWS Lambda を呼び出してデータの整形をしつつ、IFTTT 経由で Google Spreadsheet に記録するという構成も紹介されています。GPS マルチユニットからのデータの分解方法としても参考になる内容となっています。
こちらのブログは5月に紹介しました GPSマルチユニットSORACOM Editionと簡易位置情報の続編となります。SORACOM IoT SIM の plan-KM1 というサブスクリプション(プラン)で利用できる簡易位置測位機能を GPS マルチユニットで利用する試みで、通信の接続時に位置情報が更新されることが分かったのが前回まで。今回はそれを自動化するチャレンジとなりました。果たして…?qiita.com紆余曲折あったようですが「これで無事GPSマルチユニットにplan-KM1のSIMを挿して簡易位置情報を取れるようになりました!」というゴールに!
詳細はぜひ記事を見ていただきたいのですが、この記事から私は「答えは1つじゃない(かもしれない)」ということを感じました。様々な可能性や自分が扱える機能を組み合わせて実現するのがこれからのシステムの在り方ではないでしょうか。
身近な環境を IoT でカイゼン!
IoT は気軽に取り組めるようになりました。そこでここでは IoT を活用して身近な環境をカイゼンした事例をご紹介していきます!
こちらのブログではテクノロジーで家族・家庭に関するお悩みを解決する「ファミリーテック」に取り組んでいる内容が紹介されています。SORACOM LTE-M Button を利用してお子様に関する情報を LINE で共有しています。www.1ft-seabass.jpボタンを押すという簡単な操作を基に、 LINE のグループチャットに「ミルクをあげたよ!」といった情報を流す仕組みです。家族間での情報共有って疎かになりがち(私だけですか?)ですが、これなら伝え忘れも防げそうですね。
この機能は実は奥様から好評だった仕組みの追加版とのことで、やはり IoT は「ポンチ絵見せるより現物見せてフィードバックもらって改善する」というのが大切だなというのも感じます。
次のブログは、昨今の事情から通販の注文が増えている方に見ていただきたい記事です。通販で小物を注文すると最近はポスト投函で配達完了してしまう事があるのですが、気づかない事もあります。
こちらでは SOARCOM LTE-M Button Plus というセンサーインターフェイスを持つ IoT ボタンデバイスを利用して、ポストへの投函を感知するようにしています。dev.classmethod.jp読み進めるとセンシングで苦労されていたのですが、実は2020年5月に出荷を開始した「IoT 体験キット 〜磁気センサー〜」に同梱されているセンサーが、この記事で苦労されていた「ポストの投函口が開くと信号を検知」を満たすセンサーだったわけです。もうすこし早くお伝えできていればと悔やまれます。
SORACOM では最新情報をブログや Twitter でお知らせしていますので、そちらを是非チェックいただければと思います!
さて、部屋での生活時間が長くなりがちですが、そんな中「部屋の空気」に着目して可視化しようという試みをM5Stackダストセンサとして5月に紹介しました。今回は温湿度センサーを加えて、より快適な住環境を作り出そうという試みがこちらのブログです。
クラウドサービスとつなげる IoT
IoT はデータをクラウドで活用する事で真価を発揮します。ここではクラウドサービスの活用から見た IoT の記事を紹介します。
SORACOM では、電源をつなぐだけで、通信するエッジAIカメラ「S+ Camera Basic」というかデバイスを提供しています。(“S+” は “サープラス” と読みます)
本記事では「来店人数分析&お得意様ご来店お知らせシステム」を S+ Camera Basic と AWS を組み合わせて実現する方法が紹介されています。aws.amazon.comカメラデバイス上は「顔を認識」したらその時点の画像をクラウドへアップロード、AWS 上では人数をカウントしつつ、追加で「その顔はお得意様?」を Amazon Rekognition を用いて判定するようになっています。
S+ Camera Basic はセルラー通信を搭載しているため、電源さえあればクラウド通信が可能ですので、設置環境に依存しないソリューションの例として紹介いただきました。本記事はソラコム側の記事と連動していますので、そちらもお読みください!
こちらの記事は LTE モデムモジュール EC21-J を直接利用して Google Cloud Platform と連携する手順を解説いただいています。qiita.com手軽に IoT を行うというよりは、IoT デバイスづくりに近い技術の紹介です。
本来であれば様々な暗号化ソフトウェアを導入しなければならないところを、データ転送サービス SORACOM Beam を利用することで、モデムモジュールを直接操作する AT コマンドのみでクラウド接続を果たしています。
IoTデバイスづくりを検討されている方にお読みいただきたい内容です!
この記事では Wio LTE JP Version という LTE モデム搭載プロトタイプ向けデバイス上で リアルタイムOS(RTOS) の一つである FreeRTOS を動かす方法を解説いただいています。lab.seeed.co.jpマイコンを用いたプログラミングは OS を利用せずにハードウェア上で直接動作させる「ベアメタルプログラミング」と呼ばれる手法があります。この手法は扱うセンサーやモデムなどの周辺機器が少ない場合に利用されます。少しのプログラミングで済むことから、実装やメモリ使用量も少なくて済みます。一方、扱う周辺機器が増えてくると欲しくなるのが「複数の仕事を切り替えながら効率よく処理をしていく方法」、即ち並行処理です。この並行処理の仕組みを提供してくれるのが OS です。Windows や Linux といった OS も同様の仕組みがあるため、メールを書きながら(キーボード入力と画面出力の処理)しつつ、音楽を聴く(スピーカー出力の処理)を同時に実現できています。
この記事ではマイコン向け OS である FreeRTOS で LED を点灯させつつ LTE モデムで SORACOM Harvest Data にデータ送信を実現しています。
RTOS は並行処理だけでなく応答時間(処理を開始してから終了するまでの時間)を保証したりと、Linux などの OS とは異なるマイコン向けならではの機能がありますので、ご興味のある方は検索などしてみてください。
IoT への取り組み方 ~ 心構えからお客様事例まで
ここからは IoT への取り組み方について心構えや考え方から、実践されたお客様のお話を紹介していきます。
こちらの記事は、AWS 導入や運用のコンサルティングを主としているクラスメソッドの年次技術イベント「Developers.IO 2020 CONNECT」で、ソラコムの大瀧(@takipone)が、IoT プロジェクトへの関わり方を登壇した時の様子が記事になっています。dev.classmethod.jp「作」は作業の意味として、「創」は価値創造の意味として解説しています。作業をせずに価値を創り出す方法として「組み合わせて使う」というのがポイントです。クラウドだけでなく、ハードウェアも GPS マルチユニットや SORACOM LTE-M Button といった「ありもの」活用がキーになってくるのだと思います。これから IoT へ取り組まれる方にお読みいただきたい内容です。
こちらは、AWS(Amazon Web Services)が行っている IoT@Loft という「IoT 関連ビジネスで開発を担当するデベロッパーのためのイベント」があるのをご存知でしょうか?
IoT のユーザー事例を基にした学びのイベントなのですが、そちらに SORACOM をご利用いただいている北海道ガス株式会社(以下、北ガス)のご登壇記録のご紹介です。aws.amazon.comAWS IoT Analytics というデータ収集・分析基盤を用いてデータレイク(データ蓄積先)を Amazon S3に構築し、Amazon QuickSight で可視化を実現しているという事例なのですが、データを集めるための通信部分に SORACOM Air for セルラー、そして AWS IoT Analytics へのデータ送信の開発工数を最小限にする目的でクラウドアダプタサービス SORACOM Funnel をご利用いただいているとご紹介いただきました。
登壇当日は私も拝見していたのですが、開発初期はデータ蓄積サービスの SORACOM Harvest Data を利用しつつ、それを土台に活用するクラウドサービスを決めて移行していったという動きが印象的でした。まさに前述の「組み合わせる」を実践されていた内容です。
大勢の方にも見ていただいたようで、質問も活発に出ていました。当日の登壇資料や QA の内容は以下のブログに掲載されていましたので、そちらも併せてご覧ください。aws.amazon.com
SORACOM では学生向けオンラインハッカソンイベント「SORACOM Summer Challenge 2020」を開催していますが、その中でアイデアを公開している方がいらっしゃったのでご紹介します。qiita.comこれからチャレンジされる内容ではあるのですが、Raspberry Pi と各種センサーを組み合わせて Google Spreadsheet に情報を記録するだけでなく、ポンプを操作するところまで検討されており、現場の制御までよく練られていると感じました。
ぜひ成功していただきたいと思います!
コミュニティのありかた
最後にご紹介するのはコミュニティのお話となります。
SORACOM には SORACOM User Group (略して SORACOM UG と書きます)という、業種や職業問わず、IoTやIoTプラットフォーム SORACOMについて関心を持った方、既に利用されている方、これからIoTを始める方が誰でも参加することが出来るコミュニティがあります。
6月にはコミュニティマーケティングについて考え、アウトプットするカンファレンス「CMC_Meetup MAX」に社長の玉川(Ken)がお邪魔して、企業と有志であるコミュニティとの関係について登壇させていただいたのですが、その時の様子をレポートいただいたブログのご紹介です。note.com私はSORACOM UGの立ち上げに携わり、その後「なかのひと」になってもSORACOM UGとずっと走り続けてきたこともあり、企業側からの視点で見るのが少々難しい中、企業側・コミュニティ側それぞれの視点や期待を見ることができて良かったと感じています。
印象的だったのは「個人としてつきあう」というところでしょうか。企業の看板というよりも個人の尊重というのがコミュニティの根幹にあるのかなと思います。
おわりに
非常に多くの記事が公開され、大変うれしく思います。ありがとうございます!
先日 7/14 には年次カンファレンス SORACOM Discovery 2020 ONLINE が開催され、新発表や新サービスが公開されました。また多くの記事が紹介できると思うとワクワクしております。
皆さまも IoT や SORACOM に関連するブログを書きましたら @SORACOM_PR へご連絡ください!
― 松下 “Max”