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Raspberry Pi、JetsonとUSBドングルではじめる!製造・小売店舗のIoT活用事例 – Device Meetup #2 開催レポート

皆さんこんにちは、ソラコムnao(熊崎)です。
先日Raspberry Pi(略称:ラズパイ)やJetsonで利用できるIoT通信に焦点を当てたカジュアルな勉強会「SORACOM Device Meetup #2」を開催しました。このブログでは当日の様子を資料と共にご紹介いたします。イベント当日の様子は、YouTube動画でもご覧いただけます。

SORACOM Device Meetup とは?

IoTデバイスの概要や技術情報、活用事例を通じて、IoTで何ができるのか?どんなことに使えそうか?を皆さんと考えていく勉強会です。IoTデバイスの利活用や開発方法を学んだり、購入前の情報収集として参加いただけるイベントです。

SORACOM マークで集合写真

はじめに:Raspberry PiやJetsonで使えるIoT通信のご紹介

1つのボードにCPUや外部インターフェイスなどが搭載されているデバイスを、シングルボードコンピュータと言います。今回はRaspberry Pi とJetsonという代表的な2つのデバイスで使えるIoT通信についてソラコム テクノロジー・エバンジェリストの松下(@ma2shita)がお届けしました。

通信は、Wi-Fi、PAN、セルラー、LPWA等様々ありますが、消費電力や通信距離、速度面に違いがあり、用途に合わせて選んでいくことが可能です。特にRaspberry PiやJetsonで使われることが多い、USB型の機器「ドングル」のセットアップ方法や、SORACOMと一緒に使うと便利な機能を一挙公開しました。

新デバイス「SORACOM Onyx LTE USB ドングル」誕生秘話

事業開発マネージャー堀尾が、3月に販売開始となった新ドングル「SORACOM Onyx LTE USB ドングル」をご紹介。本デバイス一台で、140の国と地域で利用できます!海外でビジネスを展開されるお客様は、エリアごとに異なるバンド対応の製品を用意する必要があり、要件が複雑だったという課題がありました。こういったお客様からの課題をもとに、この度ソラコムで製品を企画しました。デバイスの詳細はこちらのブログでもご紹介しています。

メカトラックス様:SMSでRaspberry Piを起動させる仕組みのご紹介

続いては、Raspberry Pi向けの4G(LTE)通信モジュールや、死活監視ができるモジュール(slee-Pi3)などを提供しているメカトラックス社よりエバンジェリストのしかじろう氏に、Raspberry PiをSMS起動するお話を伺いました!SMSでRaspberry Piを起動させられるため、例えば遠隔に設置したRaspberry Piの再起動などもでき、便利になりますね。

製造業、小売店舗で始まるIoT事例4連発!

ラトナ様:エッジAIシステムの異常検知システム

AI/IoTプラットフォーム「AION」を手がけるラトナ株式会社からは、伊藤 陽生氏、村上 尚仁氏が登壇し、検品向けのエッジAIシステムの異常検知システムをご紹介いただきました。Jetson内にはセンサー制御やクラウド連携を担うマイクロサービスが多数動いており、サービス間をgRPCでつなげて一つの大きなシステムのように動かしているとの事。クラウドで良く用いられる技術をエッジデバイスに持ち込んだところがユニークであり、特許にもなっているそうです。マイクロサービスを追加することで機能拡張できることから、Jetson内のシステム異常を検知しSlackに通知する仕組みを披露いただきました。SORACOMを活用する事で、ネット環境が無い場合でもJetsonからの通知が実現できたこと、また、SORACOM Napterによるトラブルシューティングが期待できるとお話されていました。

異常検知システムの構成図

資料はこちら

ダイキン工業様:空調機運転データの遠隔監視

続いて、空調機運転データの遠隔取得装置のIoT化をダイキン工業 サービス本部 島 喜芳氏にお話いただきました。 空調機の点検のため、お客様の空調機に設置した機器から得られるデータを定期的に回収する必要があります。しかし、日程調整や訪問だけで多くの工数ががかかるという課題がありました。今回、Raspberry PiとドングルAK-020を使い自動でデータを回収する仕組みを構築されました。SORACOM サービスも多数ご利用いただき、スモールスタートが実現できたとのことです。

空調機運転データの遠隔取得装置の構成図

アイテック阪神阪急様:ビルの設備保全のIoT化

阪急阪神東宝グループに所属するアイテック阪急阪神株式会社は、グループ会社のITを支えています。川西秀一氏が登壇し、ビルの設備保全の交換時期の目安を検知するための仕組みをご紹介頂きました。

ビル屋上の空調熱源システムに振動センサーを設置し、SORACOM IoT SIMが入ったドングルIoTゲートウェイに挿して、Azureにデータを蓄積します。 当初はLPWAのSigfoxを考えていたようですが、アップリンクの上限(1日140回)が、希望するデータの取得頻度と合わないと考え3G通信に決めたようです。月数百円から利用できること、ドングルをゲートウェイ内に修めることができる点を評価いただき、SORACOMを採用されました。

ビルの設備保全システムの構成図

CCCマーケティング様:入退店カウントシステム

最後は、CCCマーケティング株式会社 データベースマーケティング研究所 三浦 諒一 氏と岸部 友裕 氏が登壇し、店舗に設置したカメラからお客様の情報を取得する仕組みをご紹介いただきました。

多くの方が利用されているTカード。店舗では、このカードを利用した方のデータは取得できているが、利用していない方や、未購入者のお客様情報が得られないという課題がありました。そこで、カメラ映像から人物をトラッキングすることで有益なデータが取れるのではと考え、まず社内で実験を始めました。ネットワークカメラをJetsonに繋げ、SORACOM IoT SIMが搭載されたドングルを経由し、Azure上でデータを解析する構成です。今後は、SORACOM Napterを使い遠隔監視をすることも視野に入れられているとのことです。

入退店カウントシステムの構成図

おわりに:SORACOM IoT ストアのご紹介

ソラコムは「IoTのデバイスが1個から注文できる、すぐ届く」IoTデバイス通販サイト “SORACOM IoTストア” をご用意しており、今回ご紹介したドングルもお買い求めいただけます。また、他にもIoTを始める際に便利なデバイスもご用意しておりますので、これを機会にご覧ください。

ソラコム nao(熊崎)