こんにちは、ソラコム パートナーマーケティングの小出です。
拠点間の通信を支えてきた通信回線、ISDNは2024年にサービス終了します。また老朽化した専用線/閉域網のリニューアルなど、各種産業の現場で通信を利用されている方々にとっては、通信設備の置き換えは「待ったなし」の状況です。
そこで、「今からでも間に合うISDN・専用線置き換え対策セミナー」と題したセミナーを開催しました。イベント動画も公開しておりますので、お時間がある方はこちらをご覧ください。
本セミナーでは、IoTプラットフォームを提供する株式会社ソラコムと、自社開発のIoTデバイスとクラウドソリューションを提供するアムニモ株式会社が、多くのプロジェクトに携わった経験をもとに、「今からでも間に合う方法」と陥りやすい「移行時の注意点」をお伝えしました。
総務や情シスが今知っておきたいスケジュールや代替案【基礎編】と題して、情報をまとめています。併せてご覧ください。
https://blog.soracom.com/ja-jp/2022/11/18/isdn-migration-for-2024-basic-kb/
IoT向け製品・サービスを提供する、アムニモ株式会社との共催
ソラコムのパートナー制度において、SPS認定済パートナーとしてSORACOM活用実績を誇る企業です。横河電機株式会社の新規事業として100%出資により2018年5月に発足したアムニモ株式会社(以下「アムニモ」)は、IoT業界での知見とノウハウを融合させ、独自に自社設計・開発したIoTデバイスやクラウドサービスを展開しています。詳細はこちら
事例から学ぶ、ISDNや専用線の置き換え基礎知識
最初のセッションではソラコム テクノロジー・エバンジェリストの松下より、ISDNサービスの基礎知識とサービス終了のスケジュール、代替となる回線についての考え方や技術的な実現方法をご紹介しました。
こちらの内容は、「基礎編」「技術編」に分けてソラコム公式ブログでも公開されておりますので、併せてご覧ください。
ISDNのサービス終了とは?総務や情シスが今知っておきたいスケジュールや代替案【基礎編】
ISDNをセルラー回線に置き換える利点と、パターン別構築例・費用【技術編】
次に、置き換えの際に課題となる通信におけるセキュリティに関して、ソラコムがご提供しているサービスをご説明しました。
セルラー通信を使う場合、無線通信部分はすでに様々な暗号化技術によりセキュリティが担保されていますが、クラウドへの接続に通常使われるインターネット回線は、用途によってセキュリティ強化が必要な場合があります。SORACOMでは、クラウド上に通信の交換機相当のソフトウェアを構築し、セルラー通信とクラウドをセキュアな状態で接続する方法を提供しています。
他拠点への通信については、セルラー通信でつなげる方法(SORACOM Air)、VPNを使う方法(SORACOM Arc)、クラウドと直接接続する方法(SORACOM Canal)などのサービスを選択することができます。このような方法で「閉域網」を構築することで、専用線と同等のセキュリティレベルを保持することができます。
ISDN回線からSORACOMのセルラー通信をベースにした回線に代替した場合のコストシミュレーション、実際の活用事例などを詳細については、講演資料をご覧ください。
Dual SIM搭載型のIoTルーター・ゲートウェイを用いたISDN・専用線置き換え方法のご紹介
セミナー後半では、アムニモの開発部マネージャーの和田様より、まずISDN・専用線置き換えの際のデバイス側の要件について整理いただきました。ISDNからの置き換えのタイミングでは一度に多くのデバイスが必要となることから、低コストで供給が安定していることがまず求められます。加えて、ISDNや専用線を使っている場合の多くは通信障害が少ない、クリティカルな環境での運用が前提となっているため、置き換える場合はデバイスの動作仕様にも高い堅牢性が求められます。
そのような要件をクリアして、アムニモの製品が実際に導入、運用されている事例として、機械警備、ATM、コピー機・プリンター・複合機などのユースケースを、導入の背景からソリューションの概要、それにより解決された課題とともにご紹介いただきました。
また最後には、アムニモのデバイスの高い信頼性の根拠となる様々な機能について、デモンストレーションを交えてご紹介いただきました。デモンストレーションの様子はアーカイブでご覧いただけます。
アムニモの最新のソリューションは、複数のSIMが1台に搭載でき通信ネットワーク障害に対応できる点、バックアップ電源を用いた瞬停対策機能によるメモリークラッシュの抑制、その他ファームウェアの二重化や保守運用のためのクラウド連携などの独自の機能で、屋内屋外含む様々な環境のインフラ設備でも採用が進んでいます。
和田様の講演資料はこちらです。
「コンパクトルーターAC10」についての詳しいご説明は、製品サイトをご参照ください。
参加者からの質問と回答
イベント当日は、多くのご質問をお寄せいただきました。ご参考までに、改めて掲載します。
質問:AC10を利用して、制御盤を24時間365日監視したいのですが、通信のSIMの二重化は必須でしょうか?
回答:必須ではなく、通信障害が起こった場合に、どのくらいのサービス中断を許容できるか、にかかっています。実際アムニモのお客様でも、実際に二重化しているお客様は半分以下で、SIM1枚での運用も多くのケースで見られます。置き換え対象のサービスで現状求められているクオリティと、費用対効果により判断するところになります。
質問:ISDNルーターの置き換えを検討していますが、LTEの通信環境があまりよくない場合はキャリアに相談するしかないのでしょうか?
回答:AC10にはアンテナのコネクタがあるため、ケーブルを電波の良いところまで延ばすことは可能です。Ethernetを延ばす、などの別の方法で対応するケースもあります。また、場所によって通信事業者によるつながりやすさの差異もあるため、つながりやすい事業者を選択するというのも一つの方法です。
質問:監視カメラでフレッツISDNを利用しています。2024/1以降でもフレッツISDNは提供されるのでしょうか?
回答:フレッツISDNというのはインターネット接続のためのサービス名称ですので、ISDNで接続するという点において、ISDNサービスの終了と同時に利用はできなくなります。
質問:コンパクトルーターAC10は、地域BWAには対応していますか?(*地域広帯域移動無線アクセス(地域BWA:Broadband Wireless Access)システム 地域の公共サービスの向上やデジタル・ディバイド(条件不利地域)の解消等、地域の公共の福祉の増進に寄与することを目的とした電気通信業務用の無線システム)
回答:AC10は対応していませんが、対応している機種も複数用意しています。
質問:コンパクトルーターAC10の価格は?
回答:アムニモのサイトにてご紹介のある代理店にお問い合わせください。(アムニモ パートナー一覧)
質問:レガシー機器の継続利用のご説明の中で、BRIのインターフェースのみを持つ電話の回線の置き換えについてご説明がありましたが、このケースは「通話モード」ではなく「ディジタル通信モード」に該当するのでしょうか?
回答:通常の使用であれば「ディジタル通信モード」になると思われます。
質問:アプリケーションの仕様上、固定のIPアドレスが必要になります。セルラーでの通信の場合、固定のIPアドレスを持つことはできるのでしょうか?
回答:固定のIPというのは、グローバルIPアドレスの固定なのか、プライベートアドレスでもよいのでIPアドレスを固定したい、というお話なのかの二種類があります。いずれの場合も可能ではありますが、アプリケーション条件やIPアドレス固定のオプションなどにもよりますので、個別に詳細をお問い合わせください。
ソラコムへのお問い合わせはこちら
質問:ISDNなどと比べて、セルラー回線の安定性はどのようなものでしょうか?
回答:つながっている状況であれば遜色はありませんが、電波状況の影響があります。
質問:有線から無線に変更することでメリットが出た事例はありますか?
回答:一般論でいうと、例えば拠点を増やす場合などの回線コストの低減が挙げられます。
質問:ISDNを使った場合と、ソラコムサービスを使った場合の価格比較はありますか?
回答:同じセキュリティや品質を保つための仕組みを入れていただいてもコストメリットが出ると思っております。詳しくは講演資料にございますのでご確認ください
今からでも間に合うISDN・専用線置き換え対策セミナー、動画公開
本イベントは、アーカイブ動画も公開しています。詳細について学びたい方は、ぜひ動画もご覧ください。
― ソラコム パートナーマーケティング 小出 (satoko)