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「屋外でのIoT活用」の課題と解決方法とは?

こんにちは、ソラコム パートナーソリューションアーキテクトの井出(ニックネーム: Takao)です。

昨今、農業や防災など様々な現場で利用が進んでいる「IoTの屋外利用」のノウハウをテーマにしたセミナーを開催しましたので、そのレポートをお届けします。

イベント動画も公開しておりますので、お時間がある方はこちらをご覧ください。
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ますます広がる、IoTの屋外利用

センサーやカメラで現場をデジタル化する技術「IoT」は、防災・減災の河川監視システムから交通インフラでの逆走検知・渋滞監視などにも広がっています。

しかし屋外でのIoT活用では、環境に応じた温度耐性や防水対応だけでなく、電源の取り方や通信方式など考慮すべき課題がたくさんあります。本セミナーは屋外の現場でIoTを活用する際の課題と解決方法について、IoTデバイスのプロのノウハウをお届けしました。

ネットワーク機器の豊富な経験、株式会社センチュリー・システムズとの共催

株式会社センチュリー・システムズは、ソラコムのパートナー制度「SPS」の認定済パートナーとしてSORACOM活用実績を誇る企業です。IP ネットワーク技術を中心として、ソフトウェアとハードウェアの両面から様々な業界で利用されるネットワーク製品を幅広く提供しています。

​屋外IoTは「組み合わせ」で要件を満たす ― ソラコムセッション

最初のセッションではソラコムのテクノロジーエバンジェリスト  松下より、IoTの3つの要素、モノ(センサー/デバイス)・ネットワーク・クラウドそれぞれに対して屋外IoTに取り組む際のポイントを解説しました。

はじめに、「モノ」つまりデバイスを選ぶ際に重要となる考慮点を説明し、屋外IoTではデバイス本体とケースやケーブルなどを「組み合わせ」ることで要件を満たすという考え方がポイントとなることを、実際に屋外でデバイスを活用している事例とともにご紹介しました。

次に、ネットワークについてIoTで利用できる通信技術が通信距離と、消費電流・通信速度に応じていくつかの選択肢があることをご紹介しました。屋外IoTでは、場所によって最適な通信方法が異なることから、どれか1種類の通信を選択するのではなく、場所によってセルラー(LTE、LTE-M)やLPWA(Sigfoxなど)、そして有線やWi-Fiを組み合わせる事や、さらにセルラーについても設置場所で繋がりやすいキャリア選択をという考え方が重要となります。

SORACOMのデータ通信サービスは、異なる通信技術・異なるキャリアのセルラー回線を組み合わせて利用し、SORACOMを経由してひとつのシステムに連携できる、まとめて管理ができるという特徴があります。

クラウド側は「屋外IoTだからといって特別なことは無い」と解説されていました。データは蓄積するだけでなく、可視化や通知を組み合わせたアプリケーションが不可欠です。

まとめでは、屋外IoTはシステム全体を通して様々な技術を「組み合わせ」ることで要件を満たしていくという考え方が有効と締めくくりました。

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屋外の課題 ― センチュリー・システムズ セッション

続いてはセンチュリー・システムズ株式会社 川嶋氏より、屋外IoTの実例を紹介いただきました。

同社はインターネットの基盤となっているIPネットワーク技術を中心として、各種ネットワーク製品の開発・製造・販売を手がける、1985年設立のメーカーです。

本セッションでは、あらためてIoTゲートウェイの役割の解説と、屋外の現場でIoTを実現する際の4つの課題とそれらに対応するために製品に実装されている機能や対策について事例と合わせてわかりやすく解説していただきました。

1つ目の事例はソーラー型の水位監視システムの事例について、電気や有線の通信のない現場に多額の初期投資をせずに実施した事例についてご紹介いただきました。この事例では、防水・防塵といった耐環境性への対応だけでなく、カメラやセンサの計測を省電力で行うためのノウハウについてもご紹介いただきました。

2つ目の事例は、高速道路の車両速度計測による渋滞検知・逆走検知・カメラを使ったソリューションの事例についてご紹介いただきました。この事例では、屋外設置に対応したIoTゲートウェイなどのハードウェア製品だけでなく、センサーデータを処理するソフトウェアの開発やIPカメラの死活監視機能、さらにはデバイスだけにとどまらずクラウドサービスまで提供することで、屋外の現場を「つなぐ」ことをトータルで支援しています。

タフで省電力な「FutureNet MAシリーズ」

今回紹介された事例の中で実際に使用されている「FutureNet MAシリーズ」の特徴を紹介いただきました。屋外という厳しい環境で利用できる耐環境性を兼ね備えているのはもちろんのこと、ファームウェアの破壊や電源の瞬間的な停止などの障害が発生しても動作ができるようにするための機能、さらには通信キャリアの障害が発生した際にキャリアの切り替えを行うことができる機能が実装されています。

さらにLTEやLANなどの通信インターフェースのほかに、シリアル通信やデジタル入出力などの多彩なインターフェースを持っていることと、機器をスリープさせる機能で省電力を実現しています。IoTゲートウェイのデジタルインターフェースとPoE(Power over Ethernet)インジェクタを組み合わせて電源制御をすることで、省電力なカメラによるデータ収集の仕組みを構築することも可能となっています。

「FutureNet」についての詳しいご説明は、製品サイトをご参照ください。
FutureNet サイト 

海外でのIoT実現に立ちはだかる3つの壁

本セッションの最後に、海外での事例についての紹介がありました。この事例をもとに海外でIoTにチャレンジする際に越えなければならない3つの壁とその越え方について説明をしていただきました。

1つ目は、「認証の壁」つまり、通信のために電波を発生するIoTデバイスに対する現地の法規制への対応、2つ目は「現地販売の壁」で、現地の代理店を含めた商流を構築しなければ輸出できない国が存在する点、3つ目は「キッティングの壁」ということで、現地代理店から調達した後に現地でデバイスの設定を実施しなければならないという課題でした。

1つ目および2つ目の課題に対して、MA-Sシリーズの海外モデルは39カ国の認証に対応し8カ国の代理店と商流を構築済みとなっています。そして、3つ目の「キッティングの壁」にはSORACOMブート機能という、本体のスイッチを変更して電源を入れると自動的に設定が反映される仕組みを搭載しているので、3つの壁をクリアし海外でも現場と「つなぐ」を実現できます。

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ご質問への回答

イベント当日は、FutureNetに関して多くのご質問をお寄せいただきました。改めて回答します。

質問:FutureNetの動作温度は-20〜60℃とありますが、電源アダプターも対応していますか?
回答:電源アダプターは標準ではついておらずオプション品となっていて、0〜40℃に対応したものと−20〜60℃から選択して購入いただけます。

質問:カメラの事例の中で紹介のあったPoEインジェクターに関する質問で、電源ON/OFF制御のために入力する接点信号はどのような仕様となっていますか?
回答:接点信号の状態が一定時間継続したらON/OFFが制御できる仕組みとなっています。詳細な仕様はウェブサイトをご確認ください。

質問:太陽光パネルと組み合わせる場合にどのぐらいの出力のパネルが必要になりますか?
回答:条件に応じて変わります。まずは、何日間無日照で動かさなければならないかということを決めていただき、アプリケーションやシステムを構成するデバイスなど(カメラであれば何分に一回取りたいか、センサーはどのようなものを使うか)からバッテリーの容量が決まります。これらの設計情報と現地の日照情報をもとに、安全のための係数を考慮して設定するようなイメージになります。

質問:道路に設置されているような事例がありましたが、停止しては困るような現場でデバイスが故障した時のサポート体制はどうなっていますか?また、海外の対応はいかがでしょうか?
回答:現場に設置したものに対するサポートとしては、センチュリー・システムズのパートナーと協力してオンサイトの交換に対応している例もあります。ただし、気軽に行くことができない現場が多いため、お客さんと一緒に行くことが多いです。サポートの拠点は日本にしかないので日本時間での対応となっています。

質問:マルチキャリアに対応したSIMを使用する場合に、通信キャリアを切り替える機能があるとのことですが、通信状況の良い回線に自動的に切り替わるのでしょうか?
回答:標準では通信が切れた際に通信キャリアが切り替わる設定です。Linuxがインストールされているので、公開しているサンプルプログラムを元にユーザーが作り込むことができます。

質問:昨今の半導体不足の状況で納期の不安定なハードウェアが多いですが、今回紹介されたIoTゲートウェイの供給の状況はどうなっていますか?
回答:今回紹介したIoTゲートウェイ:MA-Sシリーズの納期は安定していますのでご安心ください。

質問:海外展開をする場合、ユーザーが日本から輸出しなければならないですか?
回答:アメリカなど販路に制約がない国であれば直接輸出していただくことが可能です。その場合は該非判定書もセンチュリー・システムズから発行できます。現地代理店から購入しなければならない国の場合は、直接現地代理店より調達してください。

質問:今後のデバイス開発のロードマップについて教えてください。
回答:Wi-Fi HaLowや、LoRaWANへ対応したデバイスの発売を検討しています。

質問:事例の中で紹介があったセンチュリー・システムズが開発したクラウドを使ってみたいのですが、センチュリー・システムズのデバイスを持っていれば使うことができますか?
回答:事例で紹介したクラウドは特定のお客様向けに用意したクラウドとなっていて、汎用的に利用できるクラウドは用意していません。データの送信先のクラウドはお客様の方で自由にお選びいただければと思います。

質問:データ通信先のクラウドとしてAWSやAzureやGCP以外のVPSでも利用は可能ですか?
回答:データ転送支援サービス「SORACOM Beam」などを使っていただくことで、様々なクラウドと容易に連携可能です。2022年12月のアップデートで Authorization ヘッダに対応しました。Basic 認証や JWTを含む Bearer トークン、AWS 署名バージョン 4(SigV4)が使えるため、より多くのサーバーシステムとセキュアな連携が可能です。

屋外の現場をデジタル化!IoT実践セミナー、動画公開

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― ソラコム パートナーソリューションアーキテクト 井出 (takao)