投稿日

ノーコードで開花するカメラとAIの可能性 ― ノーコードで始められる ChatGPT x AIカメラ活用 セミナーレポート

こんにちは、ソリューションアーキテクトの内田(ニックネーム: jet)です。

2023年11月21日に開催した「ノーコードで始められる ChatGPT x AIカメラ活用」のレポートをお送りします。当日は非常に多くの方にご参加いただき、ご質問も多くいただきました。ご参加いただいたみなさまありがとうございました。

このブログでは、開催したセミナーの雰囲気を少しでもお届けできるように、セミナーの内容を振り返っていきます。また、合わせて当日いただいたご質問についても記載をしてありますので、これからソラカメを活用していこうと思っている方に少しでも参考になれば嬉しいです。

【セッション1】AI連携にも使えるクラウド型カメラ「ソラカメ」の概要

最初のセッションは、セールス / 事業開発リード (ソラカメ)  の高見より、クラウド型カメラ「ソラカメ」の概要説明と実際の活用事例を紹介しました。

まずはなぜ「クラウド型カメラ」を選択すべきなのか?そのメリットとは何なのか?からスタートしました。安価なクラウド型カメラだからこそ、利用できる場所や台数を気にせず導入できるため、これまで導入が検討されていなかった箇所への設置ができる状況となっています。

これまでは現地に行って確認する必要のあった作業や業務が、このようなクラウド型カメラを導入することによって、遠隔地からリアルタイムで確認できるようになります。実際にソラカメを活用して業務の効率化を進めている事例として、株式会社ベイシアさんの事例を紹介しました。

株式会社ベイシアさんは、SORACOM Discovery 2023 でもカメラ活用に関してお話ししていただいています。資料も公開されているので併せてご確認ください。

その他ソラカメ導入事例は、ソラカメのWebサイトに掲載されていますのでソラカメの最新情報と共に是非ご確認ください。

続いてソラカメを現場に設置する時にネットワークが利用できない場合や、そもそも既存のネットワークが存在しない場合に助けとなる「ソラカメ専用セルラーパック」の紹介を行いました。

そして、今回のテーマになっているカメラとAIの連携について「ソラカメAIマーケット」の紹介を行いました。ソラカメを利用してAI活用を行いたい場合に、すでにノウハウをお持ちのAIパートナーを紹介できます。

最後に、実際にソラカメを試してみたい場合に利用できる、「ソラカメ無償トライアル」を紹介しました。SORACOMアカウントさえあれば、無償で何度でもご利用可能ですので、ぜひ実際に試してみてください。

ソラカメの概要説明と実際の活用事例を紹介したセッションでしたが、具体的な事例やAIを活用するためのパートナー紹介があり、より具体的に利用のイメージを思い描けたのではないでしょうか?

【セッション2】ChatGPTで始める画像解析はじめの一歩

続いてのセッションは私(内田)より、ChatGPTを使って画像解析にチャレンジしてみるための、簡単なデモを含めた手順や実際のプロンプトを紹介しました。

まずは2023年11月時点での、ソラコムにおける生成 AI への取り組み状況を共有しました。IoTプラットフォームSORACOMでは「SORACOM Harvest Data Intelligence」で生成 AI を活用しています。すでにSORACOMユーザーコンソールから利用できますので、ぜひお試しください。

ChatGPT を使って画像解析を試していくために、避けて通れないのはプロンプトの工夫です。プロンプトを工夫することで、引き出される情報が異なるため、自分が引き出したい情報を引き出すためのプロンプトを工夫していくことになります。これはChat型のインターフェースがあることで、画像に対しても自然言語で問いかけを行えるため手軽かつクイックに試せる部分は大きなメリットになるかと思います。

プロンプトエンジニアリングの話を含め、生成 AI については以下のブログもぜひご覧ください。

今回は ChatGPT を使って画像解析を試してみようとしているわけですが、これまでと何が違ってどういったメリットがあるのかを共有しました。これまでと大きく異なる点は特別な事前準備が必要なく、確認する対象の画像を準備するだけで、あとは普通にチャット(プロンプト)で質問していけば良い点です。加えて、チャット入力で手軽に質問できるため、知りたいことや試したいことを簡単に試せます。その結果、アイディアを形にするプロセスを素早く検証することができるようになります。

セッション後半は、実際にSORACOMユーザーコンソールを使って、ソラカメのクラウド録画映像から静止画をダウンロードする手順を紹介しました。その際に「広角補正」のオプションを適用すると、画像の歪みを補正する際に、画像自体がトリミングされるため、確認したい物や人をなるべくカメラの中心で撮影する方がよい点を説明しました。

その後は、実際にソラカメで撮影した画像とChatGPTを使って画像を解析する簡単なデモを紹介しました。デモの中では、画像の内容を解説してもらうようお願いしたり、どんな商品が置いてあるのか聞いてみたり、画像から認識できる文字があるのかどうかを確認してみたりしました。

これらの内容をChatGPTを使わずに行おうとすると、Image CaptioningVisual Question Answering (VQA) に対応したAIモデルを用意する必要があります。さらに Optical Character Recognition / Reader (OCR) を行う場合は、OCRに対応した別のAIモデルが必要になる場合があります。

これまではこういった準備がが大変でしたが、今はChatGPTを利用することで、この準備をする必要なく簡単に試すことができます。

デモを実行して ChatGPT からの返答を確認してみると、画像には写ってない商品を解説している部分があります。ハルシネーション という言葉を聞いたことがある方もいるかと思いますが、生成 AI が生成する情報の中には間違った情報も存在します。今回の場合は日本語のOCRがうまくいってない可能性もありますが、細かい精度を求めていくのであれば、別途専用のモデルを利用することを検討する必要があります。

Demo を見ただけで終わってしまうと。次のアクションに進めないと思うので、実際のユースケースで活用できそうなところがあるかどうかを共有しました。Image Captioning をはじめとして、VQA、OCR共にすでに実用化されていることもあるので、活用する時のイメージが付きやすいと思います。

最後にまとめとして、チャレンジのサイクルを早く回すためにChatGPTを含めたAIをうまく利用する、使えるものは手軽に使ってみて、それでもうまくいかない、もしくはもう少し本格的に進めていきたいというフェーズまできたら、専門家に相談しながら進めるのが良いのではないかという共有を行いました。

全体としてソラカメの内容が少なくなってしまいましたが、デモを見ていただくことで簡単に試せて結果から発見があることを共有できたセッションだったと思います。次の機会があれば、もう少し色々なパターンのデモを見せられると良いのかと感じました。

当日お寄せいただいた質問へのご回答

本セミナーでのご質問に対する回答を掲載しています。併せてソラカメの最新情報や操作方法については、それぞれ「ソラカメ」紹介サイトと「Soracom Cloud Camera Services」のユーザーサイトをご確認ください。

ソラカメ関連のご質問

Q: 不特定多数が往来する場所にカメラを設置する場合、個人情報の懸念が多いとよく言われますが、どうしたら良いでしょうか?

A: 経済産業省、総務省が、カメラの利活用に関するガイドブックを公開しているので、ガイドブックを確認してみてください。

Q: ソラカメを屋外に設置する場合、防水性能はどうなっていますか?

A: カメラ本体は防水性能がありますが、電源周りは屋外BOXなどで処理が必要となる場合があります。

Q: ソラカメの機能の中に、LLMとの連携や画像解析が組み込まれる予定はありますか?

A: いろいろな可能性を検討中ですが、現時点でお話しできるような内容はないです。発表できるようなことがあれば「ソラカメ」紹介サイトでアナウンスしますので、チェックいただけると嬉しいです。

Q: ソラカメを利用するためには何を用意する必要がありますか?

A: ソラカメを利用するには、カメラが利用する電源と2.4GHz帯のWi-Fiが必要となります。Wi-Fiの用意が難しい場合は「ソラカメ専用セルラーパック」をご検討ください。

Q: ソラカメ1台でどの程度の範囲をカバーできますか?

A: 撮影したい対象物との距離によって設置する個数や範囲も変わるので、一概には言えません。導入事例で紹介した株式会社ベイシアさんだと、1店舗で約30台程度設置されているそうです。これは、撮影している対象の箇所を限定しているため、この個数で対応できている部分もあります。

Q: ソラカメで撮影した映像や画像を自社で管理しているクラウドに保存できますか?

A: 現時点ではソラコムが管理するAWS上に保存されます。直接お客様が管理するクラウドに保存することはできません。ソラカメはAPIを公開しているため、APIを利用することでデータを取得できます。データ取得については変更可能な上限が設定されていますので、内容をご確認の上、APIをご利用ください。

Q: ソラカメのハードウェア(edge)でのAI検知は可能でしょうか?

A: ハードウェア(edge)で独自のAIモデルを使った検知や検出には対応していません。カメラの機能としてモーション検知は利用できます。モーション検知した際に記録された映像は、イベントとしてSORACOMユーザーコンソールでの確認や、API経由で情報を取得できます。

Q: ソラカメを利用してサービスを企画したいのですが、その場合の注意点はありますか?

A: ソラカメのAIパートナーでは、すでにソラカメを利用してサービスを展開しているところもあります。注意点としてはSORACOM アカウント (オペレーター) の単位でカメラが紐付けされるため、アカウントの構成を検討していただく必要があります。お困りの場合はお気軽にソラコムにお問い合わせください。

Q: ソラカメの設定で、定期的に決まった動作を行ったり、静止画を撮影したりできますか?

A: 定期的に決まった動作をしたり、静止画を撮影したりする設定はできません。静止画はAPIで取得できますので、定期的にAPIを呼び出して取得することを検討してください。

Q: ソラカメで録画した映像をローカルPCで再生して、独自のAIモデルを使って物体検出を試したいのですができますでしょうか?

A: 映像の再生はローカルPCでもできます。SORACOMユーザーコンソールでの再生と同じく、API経由で再生できます。独自のAIモデルを利用するのも可能かと思いますが、API経由で取得できる映像ストリームは、MPEG-DASH (Dynamic Adaptive Streaming over HTTP) 形式となるため、お手元で利用されている環境で対応可能かどうかをご確認ください。

Q: 駐車場を出入りする車のナンバープレートの読み取りを考えています。ソラカメで実現できますか?

A: カメラの性能もそうですが、設置の画角や車が通過する速度など、環境に依存するところが大きので一概には言えないです。AIパートナーの中には、ナンバープレート読み取りの対応実績のあるパートナーもいるので、お困りの場合はお気軽にソラコムにお問い合わせください。

Q: 画像に写った人物の顔だけにモザイクをかけたいのですが、ソラカメで実現できますか?

A: ソラカメの機能として、人物の顔だけにモザイクをかけられるような機能はありません。AIパートナーの中には対応実績のあるパートナーもいるので、お困りの場合はお気軽にソラコムにお問い合わせください。

ChatGPT関連のご質問

Q: OCRの機能で丸型のアナログメーターは読み取れますか?

A: アナログメーターの読み取りは、試したことがないのでわからないのですが、アナログ時計の読み取りはしてみたことがあります。読み取りできたり、できなかったりとバラツキが大きかったので、実際に対象のアナログメーターで試してみてください。認識の精度や専用のモデルが必要になったなど、お困りの場合はお気軽にソラコムにお問い合わせください。

Q: 果実の育成状況をカメラで記録しています。果実の大きさを画像から計測することはできますか?

A: 実際に試したことがないので、正確なところはわからないですが、画像から直接大きさを推定するのは難しいと思います。例えば、果実の近くにメジャーなど大きさがわかるものを一緒に写す工夫をすれば、メジャーのメモリを読み出せるかもしれないです。実際に試してみて、お困りの場合はお気軽にソラコムにお問い合わせください。

Q: LLMと生成AIの違いがよく分かりませんでした。

A: 説明不足でご迷惑をおかけしました。こらのBlogに生成AIについていろいろと記載されているので、良ければ参照してみてください。

Q: 今回のデモはすべてWebブラウザー経由で操作されていましたが、自動化やプログラムから利用することはできますか?

A: はい。ソラカメはAPIを公開しているので、API経由で画像を取得できます。APIの利用サンプルも用意してありますので参考にしてみてください。ChatGPTもAPIを公開しているので、画像を利用するのであれば該当するAPIを利用することで実現可能かと思います。

Q: 今回のデモで使用していたのは ChatGPT Plus でしょうか?

A: はい。ソラコムでは福利厚生として ChatGPT Plus の利用料金が全額補助されているため、ChatGPT Plus の GTP-4 を利用しました。このモデルを利用すると、モデルが持っていない情報に関してはWebを検索して取得するような動作をするようです。

まとめ

約1時間のセミナーでしたが、QAの数をみていただくとわかるように、みなさん大変熱心に参加していただきました。lありがとうございました。ソラカメはこれからもアップデートを続けていきますので、「ソラカメ」紹介サイトをチェックしていただけると嬉しいです。

生成 AIについても、ソラコムでは今後も取り組みが続きますのでぜひ楽しみにしていてください。


― ソラコム内田 (jet) @uchimanajet7