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求められる倉庫搬送業務のDX化 今こそ低コストかつ短期間でスモールスタートを

以下、ITmediaに掲載された内容です。
提供:株式会社ソラコム / 記事出典:アイティメディア営業企画/制作:アイティメディア編集局

製造業にとって倉庫搬送業務のDX化は不可欠だがコスト面や人材面の制約で着手できていない企業も多い。IoTを活用したDXを低コスト・短期間でスモールスタートでき、倉庫搬送業務のDX化を後押しするソラコムのソリューションを紹介する。【株式会社ソラコム 提供】

IoTデータ連携のハードルは高くない

 IoT向けの通信やクラウド連携サービスを通じて、DX化の課題解決を支援しているのがソラコムだ。IoTプラットフォーム「SORACOM」を活用すれば、IT/OT人材が不在でもIoTを活用したDXを低コストかつ短期間でスモールスタートできる。

ソラコム テクノロジー・エバンジェリスト 松下享平氏

 同社テクノロジー・エバンジェリストの松下享平氏は「スモールスタートできる方法があることを知らずに最初から大々的な導入を試みて計画が頓挫したり、知識や経験がないことで余分な時間やコストがかかってしまったりするケースが見受けられます」と指摘する。

 製造業における倉庫搬送業務のDX化の重要性について松下氏は「製造業のDXは、局所最適ではなく全体最適が求められます。いまだ人手に頼っている倉庫搬送業務のIoT化までを視野に入れない限り、全体の最適化は達成できません。製造業にとってメインのビジネスではないけれども、必要不可欠な倉庫搬送業務のDXにどう切り込んでいくか。これが製造業におけるDXが次のステップに向かう鍵だと考えます」と説明する。

 松下氏はIoTの本質について「IoTデバイス」「IoT通信」「クラウドサービス」という3つの要素で構成されていると説明する。

図1 IoTの本質はIoTデバイス、IoT通信、クラウドサービスの3要素で構成

 「IoTデバイス」はカメラやセンサーを使って現場をデジタル化する役割を担う部分であり、IoTデバイスから収集したデータを活用するための仕組みが「クラウドサービス」、IoTデバイスとクラウドサービスをつなげるものが「IoT通信」という考え方だ。ソラコムはこれら3要素に属する多彩なソリューションを提供しており、これらをまとめてIoTプラットフォーム「SORACOM」と称している。

図2 SORACOMのサービス

 「私たちは、いわゆる通信事業者です。しかし通信だけあればIoT化が実現するかと言うと、そんなことはありません。現場のデジタルデータをクラウドと連動させる場面一つを取っても、クラウドサービスを使えば自分たちの目的が解決できるのかどうか、そのサービスを使うためにはどの形式でデータを保存したらいいのかなど、現場からは技術的な課題も挙がってきます。そこで私たちはこのような、IoT分野におけるお客さまの困り事や手間を解決するサービスをご用意しています」と松下氏は説明する。

 これら多岐にわたるソリューションによって、顧客が既に保有しているIoTデバイスなどのリソースや利用中のクラウドサービスを活用しつつIoTソリューションを構築できる。足りない部分のみを補完してカスタマイズすることで、低コストでスモールスタートできるのがSORACOMのメリットだ。

 「今はIoTデバイスが安価に手に入りやすく、クラウド連携などのさまざまなソリューションも提供されています。GPSマルチユニットなどのIoTデバイスから取得したデータをダッシュボード作成/共有サービス『SORACOM Lagoon』と連携させることで、インフラやサービスを用意することなく手軽にデータを可視化できます。IoTデータ連携はコスト面、技術面から見ても難しいことではありません」と松下氏は強調する。

専門家集団に加え、独自のパートナー制度も有するソラコム

 ソラコムが製造業をはじめさまざまな業界のIoT導入にこれほどきめ細かなソリューションを用意できる理由は、その成り立ちにある。同社は2015年9月にSORACOMの提供をスタートしたIoTベンチャーの草分け的存在だ。2015年のサービス開始時点で、IoT向けのコネクティビティーを提供するサービス「SORACOM Air」とIoTデバイスが送信したデータにプロトコル変換やTLS暗号化などの処理を加えて任意の接続先に転送する「SORACOM Beam」を備えており、通信事業者でありながらクラウド連携を含めたIoT活用の重要性に目を向けていた。

 ソラコムには、大手通信キャリアで経験を積んだメンバーに加えて製造業出身のメンバーも多数在籍している。製造業と通信に強みを持つ専門家集団だからこそ、ユーザーが意識することなく簡単にIoTを導入可能なソリューションを提供できるのだ。「2015年のサービス開始から、お客さまの困り事と共にSORACOMはアップグレードを続けてきました。お客さまの声をそのまま形にするのではなく、よりお客さまに使っていただくためにはどうしたらよいのか、私たち自身が咀嚼(そしゃく)して新しいサービスを追加し続けています。7年間にわたり2週間ごとのアップデートを提供し続けていることも、お客さまにご支持いただいている理由の一つだと考えています」(松下氏)

 ソラコムは独自のパートナー制度「ソラコムパートナースペース」(SPS)も有している。センサー、デバイス、ネットワーク、セキュリティ、クラウドなどさまざまな専門領域に強みを持つ950社を超える企業(2023年現在)がSPSに参画しており、SORACOMのユーザーはSPSパートナー企業の支援を受けることもできる。数多くのIoT事例に精通したソラコムのIoTプロフェッショナルコンサルタントがIoTプロジェクトを支援する「SORACOM プロフェッショナルサービス」を提供するなど、企画から運用まであらゆる場面でIoTプロジェクトを支援する。「私たちは『IoTは1社で完結して実施するものではない』と考えています。ご相談いただければ、自社のサービスやパートナーを通じて適切なサポートを提供できるエコシステムを構築しています」と松下氏は説明する。

専門家でなくてもIoT活用ができる環境づくりを

 ソラコムはIT/OTの専門家でなくてもIoTを活用できる環境づくりを目指しており、「IoTでドアの開閉モニタリングをしたい」「IoTで車両のトラッキングがしたい」など、IoTで解決したいことや実現したいことをベースに、準備すべき物と具体的な手順を紹介する「IoT DIYレシピ」を公開している。各レシピで紹介されるデバイスは「SORACOM IoTストア」で1つからオンラインで購入可能で、手順書に沿って設定するだけでIoTを始められる。SORACOM IoTストアはWi-Fi経由でカメラの映像をクラウドに常時録画できる「ソラカメ」など、プログラミングが一切不要なデバイスも用意している。ソラカメはパートナー企業が提供するさまざまなAIソリューションとも連携可能だ。

 ソラコムは、自社が有するIoTや周辺技術の知見を主にエンジニア向けに共有する無料のオンラインセミナー「IoT-Tech Meetup」をシリーズ開催している。テーマはRaspberry PiやM5Stack、クラウド型カメラといったハードウェアから、サーバレスIoTやAIといったクラウドソフトウェア、ChatGPTなど多岐にわたり、IoTを活用するエンジニアに役立つ内容を網羅している。また、技術者以外の方にも分かりやすく解説する、事例を中心としたセミナーや資料も多数用意している。

「作らずに創る」 IoT活用の鍵は自前主義からの脱却

 IoTプラットフォームSORACOMの導入によるDX成功事例も数多くある。エレベーターやエスカレーター、動く歩道の専業メーカーであるフジテックは、世界中のエレベーターの保守メンテナンス業務にSORACOMを導入した。エレベーターの製造時に通信機能を組み込むことで、エレベーターのモニタリングができるシステムを構築。エレベーターの稼働データをSORACOM Airに対応した通信ゲートウェイ経由でAmazon Web Servicesに構築したシステムに送信して可視化した。ネットワークの敷設やサーバ準備の時間が不要なため、約2週間でプロトタイプが完成したという。

 トヨタ自動車は、SORACOMを導入することで工場内の物流カートの運行状況をスマートフォンでモニターできる仕組みを構築した。さらに「生産設備やPLCからデータを収集したい」という現場の要望に対して、ソラコムがソリューションパートナーであるGUGENの「PUSHLOG」を紹介したことで、データ収集から可視化までの仕組みを5日間で構築することに成功した。

 「私たちはいつも皆さまに、経験ゼロでもIoT化を素早く始められるということをお伝えしています。それを象徴するのが『作らずに創る』という言葉です。“つくる”という漢字をあえて変えることで、作業と価値の創造を分けて考えています。全てを自分で開発する自前主義に陥って『難しそう』とIoT活用に頭を抱えるのではなく、皆さんの現場にあるものとSORACOMにあるもの、パートナーがお持ちのものを最大限に活用して価値をうまく創り出していただく。これが結果的に経験ゼロでも始められる一番の近道だと考えています」(松下氏)

図3 経験ゼロでもIoT化を素早く始められるということを象徴する“作らずに創る”

 ソラコムは、今後もSORACOMを次世代のIoTプラットフォームとして随時アップデートするという。「私たちは、お客さまと共にロードマップを作っていくことを信条としています。皆さまが実現したいことやソラコムの通信に望むものについてのお声が道しるべになります。一方で、私たちもテック企業として先進的な姿をお見せしていきたいと思っております。2023年7月には法人・自治体向けの衛星通信サービス『STARLINK BUSINESS』とIoTプラットフォームSORACOMを組み合わせてご利用いただける『SORACOM STARLINK BUSINESSキット』の提供を開始しました。これからも、どこからでもつながる環境を広げていく努力を続けてまいります」(松下氏)