皆さんこんにちは、ソラコム熊崎(ニックネーム nao)です。
10月29日(木)に開催した「Hello SORACOM Online テクノロジー編」の開催レポートと当日お寄せいただいた質問とその回答をご紹介します。
様々な業界で始まっている豊富なIoT事例を基に、IoTへの取り組み方を紹介するのがHello SORACOMです。
この中でも特に、開発エンジニアがIoTプロジェクトに取り組む際に知っておきたい技術要素を学べる場として開催したのが「テクノロジー編」です。
10/22には「ビジネス編」を開催しています。設備点検の自動化をIoTで実現した東急スポーツオアシス様や、当日の質疑応答の様子はそれぞれのブログをご覧ください。
セッション動画の公開
当日のセッション動画をYouTubeで公開していますので、是非ご覧ください。
最初は、15分間でIoTの基本的な単語や考え方ソリューションアーキテクトの大瀧(ニックネーム:takipone)が解説しました。
次に、ソリューションアーキテクトの小梁川(ニックネーム:koya)から、様々な業界のお客様事例を基にSORACOMサービスの活用方法や、選択理由をご紹介しました。
最後にテクノロジー・エバンジェリスト松下(ニックネーム:max)より、デバイスを用いてIoTシステムを構築する始め方をデモを通じてお伝えしました。
セッション終了後は、実機デバイスを使いお客様と一緒に簡単なIoTシステムを構築するワークショップを開催しました。
今回は通信機能が搭載されたボタン型デバイス「SORACOM LTE-M Button for Enterprise」を使いボタンをクリックしたらメールに通知を送る仕組みを作成。参加者からは「IoTを身近に感じることができた。」「実際に手を動かしてIoTの手触りを得ることができた。」と言ったコメントをいただきました。
当日お寄せいただいた質問と回答のご紹介
当日は多くのご質問をいただき、登壇講師がライブで回答いたしました。ここでは当時の質疑応答の内容をご紹介します。
IoT事例に関するご質問
Q. 写真業界で働いています。デジタルカメラを利用したIoT事例があれば教えていただけますか。
A. カメラ画像を使って遠隔で状態を監視する事例として、エッジAIカメラのS+ Camera Basicをご利用いただいた交通量の調査など、画像から意味や価値を想像することを検討されているエッジ活用のご相談や事例は増えております。
Q. デバイスのモニタリングを実現後は、IoTデータを企業の中で利活用していくことが重要だと考えますが、収集したIoTデータを会社のシステムに連携して、企業価値を高めた会社の事例があれば教えていただけますか。
A. IoTの多くは製品の価値を高めることや、製造工程の可視化や不良率を下げるための活動をされている様な取り組みが大半であり、総じて企業価値に対しての貢献があるものと考えています。例えば弊社の事例になっているエレベーターを提供するフジテック様は、IoTを導入し異常にいち早く気づくことで停止時間を短くする取り組みをされています(フジテック様のIoT事例)。また、電子機器製造を手がけているJOHNAN様は、同社の製品にセンサーを取り付けフィルターの状況をセンシングし、データをクラウド上に集めることで適切な交換管理を実現しています(JOHNAN様のIoT事例)。
SORAOMサービス、リファレンスデバイスに関するご質問
Q. SORACOMが提供しているデータ保存サービスのデータの保存は無制限でしょうか。容量制限はありますか?
A. データ蓄積・可視化サービスは、SORACOM Harvest DataとFilesがございます。保管期間は SORACOM Harvest Data の標準では40日間、データ保持期間延長オプションをONにしていただくと731日間となります。また、SORACOM Harvest Files は標準で731日間となります。送信できるデータの上限はSORAOM Harvest Dataで1KB、SORACOM Harvest Files で5GiBです。詳細や注意事項はこちらをご覧ください。
Q. SORACOM プラットフォームからLINEへの連携はありますか。
A. LINEはAPI(Application Programable Interface; プログラムからの呼び出しに連携できるインターフェイス)があるため、外部のシステムからLINEにアクセスすることができます。SORACOMからこのようなAPIを呼び出す方法はデータ転送支援「SORACOM Beam」や、クラウドファンクション「SORACOM Funk」を経由する方法があり、LINEのAPIを呼び出せるサービスとつなげることでLINE連携が実現できます。これらの組み合わせ例としては、当日のデモで利用したAzure Logic AppsはLINEと連携できるため、SORACOM Beam から Logic Apps、そしてLINEという組み合わせで実現可能です。また、SORACOM Funk から AWS Lambda を経由してLINEにアクセスするといった方法も考えられます。このように様々なアーキテクチャが考えられますが、利用経験がある、もしくは得意とするサービスとの連携を見つけ出すことが、アーキテクチャを見つけ出していくポイントとなるでしょう。
Q. SORACOM LTE-M Buttonのデータ送信時の電流と送信時間、送信していない時の電流を教えてください。
A. 電力消費等の詳細仕様については公開しておりませんが、SORACOM LTE-M Button for Enterprise が発売されてから1年以上が経過しており、ユーザーの様々な情報がありますのでそちらをご紹介します。内部の単4電池二本で500~700回の送信ができたというお話をうかがったことがあります。また、待機による電力消費ですが、発売直後から利用し始めたデバイスでも利用できている実績があるため、送信頻度が少なければかなりの期間で待機できると考えられます。また、 SORACOM LTE-M Button for Enterprise(Plusも同様)は送信データ内に batteryLevel という値が入っており、4段階で電池残量目安がわかるようになっていますので、交換時期などにご活用ください。
IoTアーキテクチャに関するご質問
Q. 1ms毎にデータを送る事は出来るでしょうか?
A. IoTにおいてデータの送信は、まずデータの送信元において1回あたりのデータサイズ、データの発生頻度や送信周期、送信源の数を検討することで、期間内の必要とされる保存領域サイズや通信経路への負荷を見積もることができます。次はそのデータサイズを許容時間内で送信可能な通信技術の検討と進めていくのが技術面です。また、データ発生から実際に利用できるまで許容できる遅延やデータ欠損の可否といった、データを実際に活用する側からの要件が加味されていくわけです。一般的にこれらの条件と費用や技術的難易度は比例します。1ms毎、即ち1秒間に1000回という条件は、それ単体でもIoTのみならず通信を利用するシステムの一般論としても難易度が高い部類となります。また、データサイズや送信源の数によってその難易度は高まるため、技術的チャレンジと費用、そして実現までの時間という3つの面で負担が発生すると考えられます。幸いなことにデータの発生頻度と送信の周期は必ずしも同じにする必要はありません。例えばデータ発生頻度は1秒間に1000回だとしても、送信の周期は10秒に1回と、内部で10秒間分の10000データを一時蓄積しておく、いわゆるバッファリングといった方法が考えられます。また、バッファリング時に圧縮をするなどで通信経路の負担を減らすことも検討できます(いわゆるエッジコンピューティングの一種となります)。一方で、データ発生から実際に活用できるまでの遅延が確実に発生するため、こういったバランスを取っていく、もしくは技術的チャレンジを行っていくといった選択が必要となるでしょう。このような全体アーキテクチャの検討は専門的な知識が要求されます。是非ソラコムにご相談ください。
Q. 3Gの回線は数年以内に停波すると聞いたことがあります。今から開発するものは4G以降にした方がよい、と思いますがいかがでしょうか?
A. 3Gの停波は各社様での検討事項で調整が進んでおります。現行システムとの制約がない新規案件であれば4GやLPWAのLTE-Mなどを中心にご検討ください。どの通信方式が良いのかお悩みがある場合にはぜひソラコムにご相談ください。
IoTのテクノロジーをより深く知る、新たなスキルを手に入れることができる
「SORACOM Technology Camp 2020」
デバイス、クラウド、セキュリティ、データ分析、通信技術と言った複数のIoTテクノロジーをより深く学び、新たなスキルを手に入れる3日間のオンラインイベントを開催。テーマに合わせてお好きなセッションだけご視聴いただくことも可能です。是非ご参加ください。
SORACOM Technology Camp 2020
日程:2020年11月17日(火)〜19日(木)
配信方法:オンラインイベント ・ライブ配信
参加費:無料
詳細・お申込みはこちらから
ソラコム 熊崎