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IoTプロトタイピングでオフィスIoTを実現!【SORACOM Discovery 2023 展示レポート】

みなさん、こんにちは。ソラコムバックオフィスの平(ニックネーム:asako)です。

2023年の7/5・6と二日にわたって、IoTカンファレンス「SORACOM Discovery 2023」をお届けしました。2日目は4年ぶりに会場で開しました。このブログでは「IoTプロトタイピングコーナー」に社員有志で出展した、3つのオフィスIoTプロトタイプをご紹介します。

IoTプロトタイピングコーナーにてオフィスIoT実践例を展示・実演

2023年7月6日。イベントが開催された都内ホテルの一角には、IoTプロトタイピング専用のコーナーがあり、そこでオフィスIoTプロトタイプを展示、デモを行いました。

このコーナーは企画・開発・デモ全てソラコム社員の手によるもので、普段よりIoTプラットフォーマーとして様々なお客さまに課題解決のサービスを提供する自分達が、自らの課題解決のために自社サービスをドッグフーディング(自分たちで使ってみること)した内容を見ていただく、という構成でした。ありがたいことに、来場された多くのお客様に興味・関心を持って見て頂きました。

7/6 IoTプロトタイピングコーナーの様子

オフィスIoTを考えたきっかけ

実はソラコムは2023年2月末にオフィスを移転しており、環境が変わった新しいオフィスで稼働を始めているのですが、総務担当やオフィス出社する社員を中心に、新たな課題やアイデアも出てきていました。それをIoTで解決してみよう!と試みた内容が今回の展示で、これからご紹介する3つのプロトタイプです。

ちなみにソラコムでは、こういったオフィス課題も自前のIoTで解決しよう、という根っからのエンジニア気質な文化があり、以前にオフィス移転した際にも、出てきた困りごとをオフィスハッカソンで一気に解決したこともありました。今回は2回目のチャレンジになります!

どんなプロトタイプを作ったのか?

IoT × 植物水やり

まずは植物水やりのIoTプロトタイプをご紹介します。こちらは、オフィスの観葉植物の鉢の土が乾いていたら、タンクから水を吸い上げて自動で給水してくれる仕組みです。同時に、カメラを使ってタンクの様子も遠隔から定期的にモニタリングしているので、正常に水やりができているか、オンラインでチェックをすることもできます。

枠で囲った部分が「IoT × 植物水やり」

新しいオフィスにはお祝いでいただいたものも含め、10本近くの観葉植物があります。彼らは空間に癒しと潤いを提供してくれるとてもありがたい存在な一方で、生き物なので、当然お世話をする必要があります。ただ、ソラコムは元々リモート主体の働き方なことに加えて、コロナ以降はバックオフィス機能もリモート化しているので、有志による当番制などで工夫をしつつも、水をやりすぎてしまったり逆に少なすぎたり、なかなかタイムリーな水やりをすることができず、担当者の心理的な負担になっていました。

この課題を解決したい総務社員が、とある会社のイベントでソリューションを募集したところ、手をあげてくれたのがエンジニアのoguこと小熊でした。オフィス生活の困りごともIoTで解決してみましょう、と腕まくりしてくれ、そして颯爽と実現してくれたのは、本当に頼もしい限りです。作成者ならではの開発秘話はoguにお任せすることとして(後日ブログが公開予定だそうですのでお楽しみに!)、ここではどのような仕組みなのかを簡単にご紹介します。

<材料>

<構成図>

<仕組み>

  • 鉢に挿してある土壌センサーが土の乾燥度合いを定期的にチェック → 閾値を超えたら給水ポンプユニットがタンクから水を吸い上げて給水
  • Wi-FiとSORACOM Arcを経由してセンサーの情報をSORACOM Harvest Dataに送付 → Lagoonで可視化
  • ソラカメを使い、タンクの様子を静止画として定期的にSORACOM Harvest Filesに送付 → リモート監視

IoT × 温湿度可視化&通知

お次はオフィスの不快な状態をアラートで知らせてくれるIoTプロトタイプです。室内の温湿度を定期的に計測して、モニタリングマップ上に最新の状態をイラストで表示してくれる仕組みです。また、温度が一定以上/以下になった場合には、自動でSlackにアラートを通知してくれるため、自らLagoonの画面や温湿度計を見に行かずとも気が付くことができます。

枠の部分が「IoT × 温湿度可視化&通知」

こちらもオフィス移転をきっかけに出てきた課題を解決するためのソリューションでした。コロナが空けて以前よりも多くの社員が出社するようになり、またオフィスも以前より広くなり、エリア毎の空調ができるようになったところまではよかったのですが、人によってちょうど良いと感じる温度がまちまちなため、エアコンの設定がバラバラとなって返って効率の悪い空調となっていたり、どのタイミングで温度を変更すべきか迷ったりと、一元的にベストな空調を管理することが難しくなっていました。

この課題の解決に向けて手を上げてくれたのが、ちょうどオフィス移転プロジェクトに参画してくれていたエンジニアのkinuこと絹原でした。kinuは普段はネットワークエンジニアとして、サービスの裏側を支える仕事を担当しているのですが、今回良い機会だからと自社サービスを使ったソリューションを考えてくれました。普段あまり触ったことがない、と言いながらも、ぐんぐん知識を吸収して短期間で2つの構成(お手軽だけど設置数が多いと費用が掛け算になる構成: GPSマルチユニット バージョン と、手間はかかるけど費用が抑えられる構成: SwitchBot バージョン)を作ってくれたのは圧巻の一言でした。

<材料>

<構成図>

<仕組み>

  • GPSマルチユニットで計測した温湿度をSORACOM Airを経由してSORACOM Harvestに送付 → Lagoonで可視化(マップ上にイラスト表示)
  • SwitchBotで計測した温湿度をBLE経由でRaspberry Piに集約、Raspberry PiからWi-FiとSORACOM Arcを経由してSORACOM Harvestに送付 → Lagoonで可視化(マップ上にイラスト表示)
  • 温度が閾値を超えるとSlackへアラートを通知

IoT × 富士山検知

最後はオフィスから見える富士山を検知してお知らせしてくれるIoTプロトタイプです。オフィスに設置してあるカメラにて、オンデマンドで富士山方面の窓景色を静止画像として切り取り、富士山がきれいに写っているかどうかをクラウド上のAIで判定して、その解析結果を画像と共にSlackにポストしてくれる仕組みです。

枠の部分が「IoT × 富士山検知」

新オフィスの一角には、よく晴れた朝には富士山が遠くのビルと並んできれいに見られる絶景スポットがあって、朝から出社する社員は、運がいいと富士山がくっきりと映える姿を堪能することができます。ただ残念なことに、晴れていても湿度が高かったりすると富士山は見えないため、実は拝めるチャンスはそんなには多くなかったりします。そこで、富士山が見えるラッキーな日には、その写真をオフィスから撮影&Slackに投稿して、これから出社する社員に「今日は富士山が見えるぞー」とワクワクする気持ちを届けてはどうか、という楽しい企画が持ち上がりました。

そんな楽しみを実現してくれたのがエンジニアのmickこと三國です。CREとしてお客様の課題解決を日々サポートしているmickは、社員が自社サービスに触れることも普段から積極的に推進してくれる、とても頼もしいメンバーです。望遠レンズがないカメラでどうやって遠方の富士山を写すか、試行錯誤を重ねながらも、最後にはついにくっきり富士山を捉えることに成功しました。以下に仕組みを簡単にご紹介します。

<材料>

<構成図>

<仕組み>

  • SlackのBotに呼び出しを掛ける → AWS Lambdaのイベントハンドラが起動、ソラカメを経由して静止画像をエクスポート
  • エクスポートした画像の解析をAWS Lambdaで実施 → 静止画像と共に解析結果をSlackに通知

以上、簡単でしたがいかがだったでしょうか?
ソラコムオフィスだけでも、IoTで比較的短期間で課題解決や面白いことができることがわかり、改めてスモールスタートのしやすさを感じた今回のコーナー展示でした。また、来場されたお客様の中には、似たような仕組みを既に作られていたり、展示の内容を発展させてこういうことはできないか、と更に発想を膨らませる方もいらっしゃり、オフィスだけに止まらない広がりも感じました。来年のSORACOM Discoveryが開催される頃にはどんなプロトタイピングが増えているか、今から楽しみです。

― ソラコム 平(asako)