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IoTで新価値を:東京電力エナジーパートナー、ピクシーダストテクノロジーズ、三菱電機 登壇レポート

2023年7月5~6日に開催された「SORACOM Discovery 2023」は4年ぶりの会場実施ということで、約4000人のお申し込みをいただき大盛況のうちに幕を閉じることができました。改めまして、協賛いただいたパートナーさま、ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました!

今回は、新発表も相次いだ2日目に会場のANAインターコンチネンタルホテル東京で行われた基調講演の様子を、マーケティングチームの北川がお届けいたします。

4年ぶりに対面でReconnect

最初に登壇したソラコム代表の玉川憲は、「4年ぶりに会場実施でみなさまと再びお会いしてReconnectすることができて、嬉しく思います」とご挨拶。ソラコムのお客様が2万を超え、SPSパートナー数も国内で159社(23年7月6日現在)、グローバルでも22年の23社から40社まで拡大したことをご報告しました。

さらに、次世代SIMテクノロジー「iSIM」の商用化と対応モジュールを2023年中に提供することや、衛星通信の「STARLINK」のビジネス法人・自治体向けにIoTプラットフォームSORACOMと「STARLINK BUSINESS」を組み合わせてご利用いただける「SORACOM STARLINK BUSINESSキット」のご提供を発表しました。

今回の基調講演では、上記サービス以外にもソラコムの新しいサービスや取り組みが続々発表されました。後半でお伝えしますので、どうぞ最後までお読みください。

登壇各社のIoT活用

今回の基調講演には、東京電力エナジーパートナー株式会社、筑波大学発のスタートアップ企業ピクシーダストテクノロジーズ株式会社、三菱電機株式会社からゲストスピーカーが登壇してくださいました。

データドリブンなカーボンニュートラル|東京電力エナジーパートナー

東京電力エナジーパートナー(以下、東電EP)常務執行役員販売本部法人営業部長の勝岡伸圭氏は、2050年までに二酸化炭素の排出実質ゼロをめざすカーボンニュートラルに向けて、各社取り組みを加速化させている脱炭素施策への同社のIoT活用についてお話されました。

藤岡氏によると、CN推進には4つのメソッドがあると言います。エネルギー消費量そのものの削減を目指す「シェイプアップ」、燃焼式機器を電化することにより省エネ化する「電化」、自社で太陽光発電に取り組みエネルギーを創出する「創エネ」、再生可能電力の調達による「ネットワーク」です。藤岡氏は、「創エネまでの3つのメソッドで可能な限り対策をして、ネットワークについては最後の手段とすべきである」と持論を述べられました。

東電EPでは、IoTで可視化されたデータを用いて多様な業種業態のお客さまに省エネの状況をお伝えされています。同一業態内での達成率をランキングしたり、多店舗経営のお客様には店舗ごとの省エネ効果を測定してグラフ化したり、数値化された結果を目の当たりにすることで、省エネへの意識を高める効果があるとのお話いただきました。

IoTで波動制御技術製品の新価値創出|ピクシーダストテクノロジーズ

「『社会的意義』や『意味』があるものを連続的に生み出す孵卵器となる」をミッションに掲げるピクシーダストテクノロジーズは、筑波大学発のスタートアップ企業です。同社の取締役CRO(Chief Research Officer)の星貴之氏は、同大学で超音波を研究した超音波のスペシャリストでもあります。同社のコア技術である「波動制御」を用いて音響技術の向上や、難聴者のサポートなどヘルスケア分野にも取り組まれています。

様々な取り組みのなかでこの日紹介されたのは、テレビにつないでテレビ音声をガンマ派変調させるスピーカー「kikippa」です。普段よく耳にしている音声を、聞きなれない40ヘルツに変調することで聴覚を刺激する技術が搭載されています。実際に会場ではガンマ派変調後の音声も再生され、やや「びりびり」とした音を体感しました。

製品価値を高めるために、(1)常に最新の技術にアップデートされて視聴記録も残る、(2)スイッチを入れるだけで簡単にネットワーク接続ができる、(3)家族の視聴ログを確認できゆるやかな見守り機能も搭載する、という3点をソラコムのeSIMやSORACOM IoT プラットフォームを用いたIoTで実現できたとご説明いただきました。「デバイスごとの証明書が不要で開発負荷も軽減でき、新たな提供価値も得られました」(星氏)

ITの民主化は時代とともに進化|三菱電機

三菱電機からは、執行役員DXイノベーションセンター長 兼 リビング・デジタルメディア事業本部 IoT・ライフソリューション新事業推進センター長の朝日宣雄氏がご登壇されました。同社で35年にわたり新事業に携わり続ける朝日氏は、「多岐にわたる同社の事業のノウハウをDXで融合し新価値提供を目指す」と同センターの位置づけをご説明されたあと、ITの進歩と民主化に言及。

個別ネットワークでハードウェアが主役の第1世代「メインフレーム時代」から、インターネット/イントラネットが普及してソフトウェアが主役となった第2世代「オープンシステム時代」を経て、モバイルネットワークが発達した今はデータが主役の第3世代「クラウド時代」であり、「ITの民主化が時代とともに進んできた」と、朝日氏は指摘されました。

「だれでもいつでもどこでもつながる」時流に合わせて、同社でも2022年、9つの事業部を領域ごとに「壁を取り払ってConnectし」(朝日氏)、5つのビジネスエリアに編成。製品・ヒト・サービスをつなげた新しいソリューションを展開するにあたり、「ソリューション成長・拡大のフライホイール」モデルを考案されたという朝日氏。

(1)顧客のインサイツ / ニーズを理解して、(2)顧客体験を向上させれば、(3)利用者が増加する。そこで、クローズドにならずにオープン化し、(4)パートナーを増やせば、(5)ソリューション数の増加にもつながる―という流れです。この取組のなかで生まれた、総合IoT共通基盤の「Linova」「MyMU」、データ統合分析基盤の「KOTOLiA」といったソリューションを活用した家電の稼働状況による見守りサービス「ミアモール」もご紹介いただきました。

また、DXプロジェクトの立ち上げを加速するため、仮説検証のためのPoC開発の高速化やMVP開発に向けたアジャイル手法の導入を実現するため、SORACOMの新しいワークショップ型DX推進支援サービス「SORACOM Booster Pack」を活用いただきました。「約3か月でPoCを完了することができた」とのお話もいただきました。

SORACOMの9つの新サービス・製品が続々発表!

冒頭でお伝えしたiSIMSORACOM STARLINK BUSINESSキット以外にも、以下の新製品・サービスが続々と発表されました。詳細につきましては、各リンク先のリリースをご参照ください。

SORACOM Discovery 2023は、プラチナスポンサー7社、ゴールドスポンサー10社、シルバーパートナー18社、メディアスポンサー2社に支えられて開催することができました。既にお気づきの方も多いと思いますが、SORACOM Airからスタートしたソラコムのサービスはアルファベット順でサービス名が付けられていました。今回、SORACOM Query、SORACOM Relayが相次いで発表され、SORACOMの”S”まで一巡いたしました!ソラコムはこれからも日本から、世界から、たくさんのIoT プレイヤーが生まれるよう更なる進化を遂げていきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(左から)基調講演に登壇したソラコムの最高技術責任者の安川健太(kenta)、取締役社長の玉川憲(ken)、上級執行役員SVP of Engineeringの片山暁雄(yaman)、執行役員 VP of Salesの齋藤洋徳(hiro)