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SORACOM Air 提供開始5周年!IoT向けデータ通信サービスSORACOM Airの進化を振り返る

SORACOM Airは、2015年9月30日にサービス提供開始し本日5周年を迎えました。これもソラコムを応援してくださった皆様、IoTを実践するクリエイティブでパッションあふれる皆様のおかげとチームソラコム一同心から感謝申し上げます。SORACOM Airは5年間で最もアップデートが多く、進化したサービスです。そこで、本日は、特にコネクティビティに関する5年間の進化を振り返ってみたいと思います。

IoT向けデータ通信サービスSORACOM Air とは

SORACOM Airは、2015年9月30日に提供開始したIoTに特化したデータ通信サービスです。サービス開始時は、IoTに特化した低廉なコストが注目されました。その後、お客様のニーズに応えてサービスの範囲や利用シーンを大幅に拡張し、IoTの「つなぐ」を簡単にするSORACOMプラットフォームの顔となるサービスとして成長しました。

  • 契約回線数は、200万回線を突破
  • 大企業からスタートアップまで1.5万を超えるお客様が利用
  • 地域や用途で選べる3つのサービス(セルラー、Sigfox等)、8種類のサブスクリプション(回線契約)
  • 140を超える国と地域でご利用いただけるSORACOM IoT SIM
    (数値は2020年6月時点)

SORACOM Airサービス開始時のコンセプト

2015年、IoTデータ通信サービスSORACOM Airは1種類からスタートした。

「モバイル通信とクラウドを融合したIoTのための新しいプラットフォームを創ろう」と熱い情熱を持った創業者3名と数人のエンジニアからなる初期ソラコムチームによって、SORACOMプラットフォームは誕生しました。データ通信SIMは、SORACOMプラットフォームの入り口となるサービスと位置づけられていました。

セルフサービスで利用できる、IoT通信サービス:2015年9月
「クラウドのように、ユーザーがセルフサービスで必要なときに必要なだけ使えるIoTサービスを創ろう」というコンセプトに基づいて、開発当初からウェブサイトでSIMカードをすぐに購入できる仕組みや、ブラウザからの操作によりデータ通信SIMの回線管理を可能にするSORACOMユーザーコンソールが開発されました。

そして2015年9月30日の満を持して発表されたのが、IoTプラットフォームSORACOMと、IoT向けデータ通信サービスSORACOM Air、データ転送支援サービスSORACOM Beamです。当時のSORACOM Airは、NTTドコモ回線を利用し日本国内のみでご利用いただけるものでした。パートナープログラムであるSORACOM Partner Spaceや、ユーザー向けのドキュメントが揃った開発者サイト、そして管理の自動化や省力化を支援するAPIも同日から提供開始しました。

初出展となった日経ITproEXPOのソラコムブース。10社のパートナーと共に出展。

SORACOMプラットフォームを発表した日経ITproEXPOでの講演の内容はBLOGに書き起こし記事があります。初々しくも力強い、ソラコムCEO玉川による初めてのSORACOMプラットフォームについての発表内容を知ることができます。

SORACOM Airのグローバル展開、世界中でつながるSORACOM IoT SIM

左)SORACOM IoT SIM 右)2020年9月現在のご利用いただける国と地域

ソラコムでは「IoTは日本だけでなく世界で利用されるテクノロジー」と考え、サービス開始当初からグローバル展開を視野に入れていました。初期からご利用いただいていた製造業のお客様からも「SORACOMのグローバル展開」への期待の声が寄せられました。

欧米での販売開始:2016年12月、2017年2月

2015年12月からはグローバル事業に取り掛かり、2016年7月に「グローバルPoCパッケージ」を提供開始しました。2016年11月には米国で、2017年2月には欧州でSORACOMサービスを現地でお買い求めいただけるようになりました。

eSIMとeSIMのリール

1枚のSIMで世界中でつながる、SORACOM IoT SIM誕生:2017年5月

2017年5月からは日本でもグローバルにご利用いただけるSORACOM IoT SIMをウェブコンソールから1枚単位で提供開始し、あわせて極めて少量のデータ通信を行う機器に最適化された月額45円から利用可能な新料金体系「Low Data Volume」を提供開始しました。

機器に組み込めるチップ型SIM(eSIM)の提供開始:2017年10月

2017年10月にはSORACOM IoT SIMが大幅にアップデート、加入者管理機能の実装により、使用しない間は費用がかからないより柔軟な料金体系の提供が可能になり、あわせて機器への組み込みが可能なeSIM(チップ型SIM)の提供を開始しました。


eSIMは、量産するようなコンシューマー製品でも採用が進みました。ソースネクスト様のAI通訳機POCKETALKにはSORACOMのeSIMを搭載することで世界中での利用を可能にしています。

SORACOM AirのLPWAN対応

SORACOMのConnectivity Agnostic戦略。様々な通信と様々なクラウドをSORACOMがつなぐ。

SORACOMプラットフォームでは、セルラー以外のIoT通信も使えるように拡充してきました。複数の通信規格をSORACOMを通じて同じシステムに連携することができれば、エリアや用途にあわせた複数の通信規格を組み合わせたり、システム構成を変えずに通信を変更したりすることが容易になります。

アンライセンスLPWANへの対応:2016年2月/2017年7月

省電力で長距離の無線通信ができることからIoT用途でも着目されたLPWAN(Low Power Wide Area Network)にも、いち早くSORACOMは対応していきました。2016年2月にはSORACOM Air for LoRaWANを、2017年7月にはSORACOM Air for Sigfoxを提供開始しました。

LTE-M Buttonシリーズ。左がSORACOM LTE-M Button powered by AWS

セルラーLPWAN/LTE-Mへの対応、ボタンデバイスの提供開始:2018年9月

またセルラーLPWANであるLTE-Mについても、2018年9月KDDIが商用提供開始すると同時にSORACOMプラットフォームでも利用できるようにしました。ソラコムでは、この最新の通信を誰もが活用しやすくするために、乾電池を入れれば使える通信搭載デバイスSORACOM LTE-M Button powered by AWSを開発、提供開始しました。種類が増えたLTE-M Buttonシリーズは、初心者でも比較的容易にIoT装置をつくることができるデバイスとして、またネットワークと電源がない場所でもIoTを始められるデバイスとして、今や機器の監視や残量検知などのフィールドワークや、農業などの1次産業といったさまざまな場所にIoT活用を届けています。

SORACOMのSigfox/LTE-Mは、2019年7月に日本瓦斯様の既存のスマートメーターをIoT化する新型NCU「スペース蛍」で採用されました。スペース蛍は急ピッチで設置がすすんでおり、2021年3月期中には85万台を取付完了しスマート検針による配送効率化を予定しています。

地域・用途で選べるSORACOM Air for セルラーの種類

2015年の提供開始時は、NTTドコモの回線で国内のみの利用が可能だったSORACOM Air for セルラーは、地域・用途で最適な回線を選べるように次々と拡充されていきました。前述したグローバルにご利用いただけるSORACOM IoT SIMや、LPWANへの対応の他にも、2018年5月からはKDDI回線(plan-K)に対応、2019年7月にはネットワークカメラ等に使える 10GB / 50GB のアップロード通信料込の料金体系plan-DUを提供開始しました。

SORACOM AirのSIMカード、中央はeSIM(チップ型SIM)

<SORACOM Air for セルラーの種類>
SORACOM IoT SIM

  • plan01s(グローバル140を超える国と地域で利用可能)
  • plan01s – Low Data Volume(低量データ通信に特化、月45円〜)

特定地域向け IoT SIM(日本国内向け)

  • plan-D (NTTドコモ回線)
  • plan-K (KDDI回線)
  • plan-KM1(KDDI回線/LTE-M)
  • plan-DU(10GB / 50GB のアップロード通信料込)

テクノロジーイノベーションで進化するSORACOM IoT SIM

SORACOMプラットフォームのユニークさは、クラウド上にソフトウェア構築されたコアネットワークにあります。

サービスの接続拠点ランデブーポイント新設による通信性能向上:2019年7月

2019年7月には、通信性能の向上施策として、セルラーネットワークを終端して外部ネットワークと接続する拠点であるランデブーポイントをアメリカ西海岸と、日本に新設しました。これにより、ネットワーク経路が最適化され、日本及び北米地域での通信遅延が低減され、信頼性および性能が向上します。

SORACOM IoT SIMは、サブスクリプションコンテナ機能によって複数の回線契約を追加できる

1枚のSIMに複数の通信契約を追加可能に:2020年7月

2020年7月には新たな機能「サブスクリプションコンテナ」と、新たなサブスクリプションアジア・パシフィックに最適化されたplanP1、 日本で低廉に使えるplanX1を提供開始しました。サブスクリプションコンテナは、SORACOM IoT SIMが1枚のSIMに、サブスクリプション(回線契約)を複数追加し、利用できるようにする機能です。世界中に出荷するような製品においてplan01sによるつながるエリアを最大限に活かしつつ、特定の国や地域においては料金を抑えることも可能となります。

  • plan01s(グローバル140を超える国と地域で利用可能)
    • サブスクリプションコンテナによって次のサブスクリプションを追加可能
      • planX1(日本でより低廉に使える料金体系)
      • planP1(アジア・パシフィックでより低廉に使える料金体系)

今後の予定 eSIMテクノロジー&5Gの可能性 

SORACOMのテクノロジーを様々な分野に拡張していくための取り組みも行っています。

アプリで簡単に契約、eSIMのデータ通信が利用可能なSoracom Mobile

海外旅行者向けeSIMデータ通信サービス「Soracom Mobile」:2020年2月

2020年2月には、IoTプラットフォームで培ったeSIMの技術を応用し、 iPhone および iPadに予め組み込まれたeSIMに通信契約をインストールすることができる、海外旅行者向けeSIM データ通信サービス 「Soracom Mobile」を提供開始しました。

5G MVNOに向けて:2020年7月

2020年7月には、2020年度内に、KDDIとともに5G にも対応していくことを発表しています。

IoTテクノロジーの民主化を目指して

SORACOM IoT SIMにおいては、より使いやすく、よりリーズナブルにご利用いただくべく新機能の拡充はもちろん、継続的な運用効率化にも取り組んでいます。この5年間でSORACOMプラットフォーム全体としては12回の値下げを実現しています。

また、SORACOM Airにはここに書いたコネクティビティ以外にも便利な機能がたくさんあります。それについては、また機会があればご紹介したいと思います。

ソラコムは、今後も最新のIoTテクノロジーを誰もが使うことができるようにする「IoTの民主化」を掲げて取り組んできました。その結果、サービス提供開始時には思いもしなかったような様々なアイディアがIoTで実現しています。次の5年はどのような5年間になるのかチームソラコム一同ワクワクしています。引き続き、SORACOMプラットフォームをよろしくお願いいたします。

チームソラコム